<台湾>蒋介石父子の埋葬巡り、遺族と政府が対立

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070331-00000067-mai-int


 【台北・庄司哲也】親子で台湾総統を務めた蒋介石蒋経国両氏の遺体埋葬を巡り、遺族と台湾政府の対立が続いている。両氏の遺体は台湾北部に薬物保存された状態で仮安置されているが、遺族側は「遺言通り中国大陸で埋葬を」と主張。これに対し、「脱中国化」を狙う政府はすでに台湾郊外に墓地を造成、遺族らに公開するなど説得に当たっている。しかし、調整はつかず、2人が「安らかに眠る」には時間がかかりそうだ。

 蒋介石氏は国共内戦に敗れて台湾に逃れ、国民党独裁体制を築き75年に死去。長男の経国氏は、88年に亡くなった。両氏は生前、生まれ故郷での埋葬を希望。そのため政府はいったん、父子の遺体を中台統一後に中国大陸に埋葬することを決定したが、3年前に経国氏の夫人らが、台湾での埋葬を認め台北郊外・五指山への埋葬を願い出た

 これを受けた台湾政府は方針を変更、約3200万台湾元(約1億1000万円)をかけ五指山の軍人墓地の一角に墓地を造成、05年に完成させた。しかし、同夫人の死後、別の遺族が埋葬延期や遺言通りの埋葬を要求し、埋葬計画は頓挫した。陳水扁政権は最近、蒋介石氏の威光を排除するキャンペーンを展開しており、遺族が同政権下での埋葬を望んでいないことが背景にある

 台湾国防部(国防省)は3月28日、報道陣や遺族を対象に墓地を初公開。完成をアピールすることで、遺体を埋葬すべきだとの世論の盛り上がりを狙ったとみられるが、国防部によると、父子の評価について遺族との意見調整がつかず墓碑銘も刻まれていない状態だ。