東欧ミサイル防衛 米施設、露に公開 国防総省が意向、反発配慮

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070420-00000012-san-int

 【ベルリン=黒沢潤】米国防総省ミサイル防衛局のオベリング局長は19日までに、ポーランドチェコの東欧2カ国に建設を予定する米ミサイル防衛(MD)施設を将来、ロシアの軍事関係者に公開する意向を表明した。米国は同計画に猛反発するロシア側に配慮し、ブリュッセルで同日開かれた北大西洋条約機構NATO)の大使級会合「NATOロシア理事会」でも説得を試みたが、ロシアのイワノフ第一副首相は米国への協力を拒絶した。

 オベリング局長はMD施設公開について、「米国にはロシアを攻撃する意思がないことを(ロシア)自らが確認してほしい」と強調した。ただ、ポーランドに建設する10基の迎撃ミサイル発射施設の公開については、ロシアとポーランドの歴史的関係から、ポーランド政府の十分な理解が必要との認識も示した。

 イランからのミサイル攻撃に備えるとして、米国が同構想を発表して以来、ロシアはMD施設がいずれ攻撃用施設へと性質を変える可能性を強く懸念し、中距離核戦力(INF)廃棄条約からの脱退も示唆している

 米国はこのため、NATOロシア理事会で「欧州の安全保障に貢献する計画だ」と説明したほか、MD施設公開や、早期警戒システムなどMDの共同研究・開発を正式に提案したもようだ。

 だが、モスクワからの報道によれば、イワノフ第一副首相は記者団に対し、「(米国との協調は)空想的だ。このようなシステムがなぜ東欧に必要なのか理解できない」と、改めてMD設置構想に反対を表明した。

 米政府はロシアのこうした姿勢は折り込み済みで、23日にゲーツ国防長官、5月にはライス国務長官をロシアに送り込み説得を試みる方針だ。

 MD構想をめぐってはNATO(26カ国加盟)も“一枚岩”ではない。トルコやブルガリアギリシャなどは自国をMD網に含めるよう米側に主張する一方、フランスやスペインなどは慎重だ。

 肝心のポーランドチェコ両国でも国論が割れている。米国は30日以内に両国との具体的交渉を始めたい考えだが、最新世論調査によれば、ポーランド国民の約55%、チェコ国民の約70%が設置に反対を表明している

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 ■MD計画に関する 各国反応

 【賛成】トルコ、ブルガリアギリシャ

 【慎重】フランス、スペイン、スロバキアなど

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【用語解説】米国のミサイル防衛(MD)施設構想

 米メディアによれば、ポーランドの迎撃ミサイル施設(場所未定)は敷地面積約275万平方メートル、配置人員約200人。プラハから約70キロ南西部に位置する軍用基地内に設置するチェコのレーダー基地は敷地面積約30万平方メートル、配置人員約150人。建設開始は2008年末の予定で、13年の完成を目指す。施設の初期建設費用は3億1000万ドル(約370億円)を予定しており、最終的には数十億ドルかかると予想されている。

東欧はMDもめますね。
チェコ小村で米MD施設を否決 独も懸念表明
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070318/1174223918
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