ファタハ・イスラム:実態不透明な武装組織 増殖に懸念

http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/mideast/news/20070527k0000m030115000c.html

 【ベイルート高橋宗男】レバノン北部のナハル・アルバリド・パレスチナ難民キャンプで政府軍と衝突を続けるイスラムスンニ派武装組織ファタハイスラム「シリア情報機関の手先」「国際テロ組織アルカイダと関係する聖戦主義者」−−。専門家はさまざまな仮説を提示するものの、実態は不透明なままだ。国内では反シリア派と親シリア派のせめぎ合いが続くだけに、こうした過激派が増殖する懸念も広がっている。

 レバノンのシニオラ首相は毎日新聞との会見で、アラブ人過激派が「陸路で密入国した」と、隣国シリアが過激派のレバノン流入を黙認していた可能性を示唆した。同様に、レバノン国内の専門家の多くが「シリア関与説」を唱える。

 反シリア派系の評論家アフマド・アイユービ氏は、発端は05年4月のレバノン駐留シリア軍撤退にさかのぼると指摘したうえで、シリア影響下のパレスチナ解放機構(PLO)反乱派ファタハインティファーダが、イラクから戻ったアラブ人過激派を「パレスチナ解放」を理由に勧誘。レバノン国内に送り込み、その後、昨年11月にファタハイスラムファタハインティファーダからの分派を宣言した−−とみる。シリアは「レバノンの混乱」を目的にしているという。

 また、シリアで3年間拘置されていたファタハイスラムのシャケル・アバシ指導者について「シリアは(ヨルダン軍事法廷で死刑判決を受けた)アバシ指導者の引き渡しを拒み、シリア軍のレバノン撤退後に釈放した」と指摘。「シリア国内に残る家族は政権の監視下にある」と同指導者へのシリアの影響力を強調する。

 パレスチナ人評論家のワフィク・ハワリ氏は「昨年秋以降、ファタハイスラムのメンバーがトリポリなどで複数のアパートを購入、難民キャンプで2万〜5万ドルの支度金を提示し、難民女性と婚姻関係を結ぶケースが相次いだ」と言い、資金力に注目する。

 一方、米国のジャーナリスト、セイモア・ハーシュ氏は3月に米誌ニューヨーカーで「米国と親米アラブ諸国が対イラン、対シーア派の一環としてレバノン国内のスンニ派過激派組織を支援している」と指摘。支援先組織の一つとしてファタハイスラムを挙げた。
 ファタハイスラムの実態が明らかでないだけに、さまざまな憶測が乱れ飛ぶ。ただ、レバノンにアラブ人過激派が侵入したのは事実であり、アルカイダがこうした過激派と連携する恐れも生まれている。

毎日新聞 2007年5月27日 3時00分

うーん謎の集団なんですね。