【新せかい百科】アジア発 原油探査進むカンボジア

http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070703/wld070703000.htm

 カンボジア沖合で、産油国への期待をかけて原油探査が進んでいる。事業主体の米石油大手シェブロンはすでに、試掘井から原油が見つかったと発表。なお内戦からの復興途上にある同国では早くも、将来、石油が経済を潤してくれるとのバラ色の夢が語られている。だが、海底にどの程度の埋蔵量があるかはまだはっきりせず、内外からの期待はやや過熱気味だ。

「潤い」に過剰な期待

 探査鉱区は港湾都市シアヌークビル南西沖約145キロのタイ湾にあり、シェブロンは一昨年1月に4カ所の試掘井で原油を発見したと発表した。

 埋蔵量や生産開始時期については、何ら正式発表はない。にもかかわらず、政府高官が明らかにしたとされる「埋蔵量は7億バレル」といった数字が独り歩きし、フン・セン首相までが今年2月に、「2010年までには油田から収益が得られるだろう」とぶち上げた。首相発言には、直後の地方選で与党を勝利に導く意図も働いていたようだ。

 東の鉱区で探査中の中国企業がこの4月、地震波を使った調査により原油2億2700万バレルと天然ガス4960億立方フィートという推定埋蔵量を出したことも、カンボジアの期待を膨らませている。

 こんな状況の下、米国や世界銀行では、懸念も先立っているようで、カンボジア政府の汚職体質が改まらない限り石油収入は腐敗を深刻にするだけだとの声も上がっている。石油利権をめぐり政情不安になっているアフリカ西部ナイジェリアという悪しき前例があるからだ。

 フン・セン首相はこれに対し、先月6日、国内放送で「こんな批判はもうたくさんだ」「海底の油はまだ夢に過ぎない。それが災いだろうと恩恵だろうとどれだけあるかは分かっていない」と、先の楽観的見通しを一転して否定したかのような言い草で反発している。

 中国企業の発表についても、バンコクの石油企業関係者は地震波調査で原油の存在の可能性が判明しても、結局何も見つからなかったというのはよくある話。まして埋蔵量の推定などできるはずがない」と、信憑性(しんぴょうせい)に疑問を投げかけている。

 シェブロン三井石油開発などと共同で商業生産の早期開始を目指しており、カンボジア産油国になる可能性があるのは確かだとはいえ、同国内でかくも期待が先行する背景には、近隣諸国への対抗心もありそうだ。

 タイでは26年も前、タイ湾にあるカンボジアの鉱区の西隣で天然ガス、次いで石油の生産が始まり、今や自国の両エネルギー需要の3割を自給できるようになっている。

 カンボジア沖鉱区の東側のベトナムでも約10年前に、天然ガス田が発見され、それを将来、利用できる火力発電所が09年、日本の援助で南部に完成する予定で、ベトナムの経済成長に寄与することになる。

 タイの首都である現在のバンコクベトナム商業都市ホーチミンを含むインドシナ半島は、カンボジアが民族の誇りとするアンコール帝国の巨大な版図に入っていた。同国としては負けるわけにはいかないのである。(バンコク 岩田智雄)

まぁ中国企業の発表ですし、希望的観測のようですが、アンコール帝国って言うのは初めて聞きました。Wikipediaにも無いようですね。