中国の体質に嫌気 シドニーの亡命外交官

http://www.sankei.co.jp/kokusai/world/070908/wld070908008.htm

 中国政府の人権弾圧を批判して2005年に事実上の政治亡命をした元駐オーストラリア外交官、陳用林氏(39)がアジア太平洋経済協力会議(APEC)開催中のシドニーでインタビューに応じ、国家の体質に嫌気がさして祖国を捨てた経緯や現在の心境を語った。

 中国政府を批判する市民集会の会場に姿を現した陳氏。「オーストラリアに来て中国の人権状況を知りショックを受けた」と打ち明けた。

 陳氏は01年、2度目の海外勤務で在シドニー中国総領事館に赴任。民主活動家や中国で非合法化されている気功集団「法輪功」などを監視する業務を担当したが、大量の工作員が反体制派の監視に当たる上、総領事館内では「国家安全省職員が外交官を監視していた」という。

 陳氏の父は文化大革命の最中に虐待され死亡。1989年6月に民主化運動を武力鎮圧した天安門事件が起きた時は米テレビ局助手として悲惨な現場を目撃した。外交官として初任地のフィジーでは、外交関係樹立をめぐる台湾との綱引きで「政府要人にわいろを贈る仕事」を担当。過去の経験が積み重なってオーストラリアで「もう中国に帰らない」と決意したという。

 2005年5月、家族と総領事館を抜け出して移民当局に駆け込んだ。約2カ月後、オーストラリアは国連難民条約に基づき査証を発給した。現在はキリスト教に入信、人権擁護団体で働く。

 急速な成長を続ける中国はAPECでも存在感を増し、ビジネスサミットでは中国銀行幹部が「10年後、中国は世界の金融センターになる可能性がある」と誇らしげに語った。輝かしい発展に魅せられて祖国に自発的に帰国する中国人も多い。

 だが陳氏は「既得権益を維持しようとする人が中国を支配している。近い将来に改善される展望はない」と悲観的だ。(共同)

外交官も監視対象っていうのがすごいですけどね。しかし、ある程度の地位にいた人が『近い将来に改善される展望はない』と言ってるんだから正しいんじゃないかなと思ってしまいますが、実際どうなんでしょう。