日本外交は人権問題で影響力を行使すべき:ヒューマン・ライツ・ウォッチ

http://www.news.janjan.jp/world/0711/0711150701/1.php

人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のアジア局長、ブラッド・アダムズ氏(米国)は15日、日本外国特派員協会でアジア地域における人権問題について講演した。

 アダムズ氏は「日本はアジアにおける主要援助国だ。どれだけ積極的な外交を行えるか日本は気づいていない」などとし、日本がアジア外交で人権などについて発言し影響力を行使していくべきだとした。

 ビルマミャンマー)については、9月から起こった民主化デモで、軍政に逮捕された僧侶らがどのような状況に置かれたか報告書をまとめていく予定。

 「僧侶らは、公的な収容所ではないところに捕らわれており、身分をかえさせられて民間人として解放されることもある。拘留中に死亡したという例も報告を受けている」。現在、ビルマに近いインド国境にいる数百人から報告を受けているが、全体像がわかるまで時間がかかるという。

 また、中国、インド、タイなど援助国に囲まれたビルマ軍政の指導者たちは「いまの状況を乗り切れると思っているだろう」と安定は揺るがないとし、日本も主な援助国の一つであるから、「外交を自信をもって行うべき」だとした。

 軍部が強い影響力をもつパキスタンについて、最近の非常事態宣言を受けて「ムシャラフ大統領は(パキスタンに)なくてはならない人物ではない」と批判する。

 「イスラム過激派がパキスタンを乗っ取るという考えはあり得ない話。現在の政権のトップこそが国を不安定にしている。非常事態宣言はムシャラフ大統領の保身のためのものだ」

 また、テロ対策のためにジャーナリストなど民間人を逮捕している点など、海外からの圧力が強まっている点をあげて、「ムシャラフ大統領の支持基盤はない。米国だけが支えている」とし、日本が米国に対して「ムシャラフと手を切るべき」と発言していくべきだと話した。ただ、パキスタンと主な外交上の問題を抱えていない日本が火中の栗を拾うとは考えにくい。

 北朝鮮拉致問題について、「正式には18人(政府認定では17人)が拉致されたといわれているが、それよりも多い数百人が被害にあっているかもしれない」とし、北朝鮮は「国全体が収容所のようなものだ」と話す。政策レベルの広い観点から捉えるべきとの見方を示した。

 中国は、アダムズ氏が3年前に訪れたときよりも人権侵害は少し改善されたという。メディアの自由化、ブログが盛んになり、主に環境問題にかかわるNGOなどが活動の幅を広げ、中国政府も市民社会に目を向けているとのことだ。

 しかし、オリンピックが近づくにつれて反体制派への言論弾圧が強まり、インターネットサイトの閉鎖、ブロガー、ジャーナリストへの弾圧などに失望の色を隠さない。HRWでは12月に中国の人権弁護士に対する扱いについて報告書を発表する予定。「人権については小さなパラグラフで語られるに過ぎない」という状況のようだ。

 外国人記者からは、日本における難民問題、指紋登録の復活の懸念、死刑制度の是非、などについて質問が寄せられた。しかし、「3ヶ月前に始めたばかりで、まだ日本国内の人権問題について仕事をできていない。80ヶ国以上の国で仕事をしているのである程度優先順位をつけなくてはならない」という状況にいるアダムズ氏の回答は、彼らの関心を満たす内容ではなかったようだった。
(黒井孝明)

影響力を行使して欲しいものです。つうか真剣に考えないとこの先ホント乗り切っていけないんじゃないかと。

しかし中国よくなってるんですかね。前は臭いものにふたもしなかったのが、最近はふたするようになったくらいにしか感じてないですが。

<人権問題>日本の懸念は死刑と難民受け入れ…国際団体指摘
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071115/1195130376
についてこっちの方が詳しいようです。