アフガン国境の部族地域を州に格上げへ、パキスタン政府

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080101i203.htm

 【イスラマバード=佐藤昌宏】パキスタン政府は、アフガニスタンとの国境に広がり、イスラム武装勢力の活動が活発な政府直轄部族地域について、5番目の州への格上げを柱とする改革に乗り出す方針を固めた。

 複数の政府幹部が明らかにした。同地域は事実上の無法地帯となっており、法治の徹底や同化政策による管理強化で武装勢力などを排除するのが狙いだ。米国の圧力も背景にあるとみられる。

 部族地域は1893年、英国が英領インドとアフガニスタンとの国境線を画定する際、国境地帯のパシュトゥン人居住区を「部族地域」として指定したのが始まり。パキスタンが1947年に独立する際には、同国への帰属と引き換えに広範な自治が認められた。

 同地域は、79年のソ連のアフガン侵攻に際し、米国とパキスタン政府のテコ入れで、ソ連軍追い出しのための出撃拠点となり、世界中のイスラム原理主義者の巣くつとなった。現在、アフガンの旧支配勢力タリバンの拠点や国際テロ組織アル・カーイダの本部があるとされる。

 政府は、2002年ごろから陸軍、治安部隊合わせて兵士8〜9万人を部族地域に駐留させ、武装勢力の掃討作戦を続けているが、武装勢力のアフガンへの越境攻撃は阻止できていない。

 米政府は、部族地域はパキスタンの他地域よりも教育や産業基盤整備が著しく遅れ、貧困がテロリスト培養の温床になっているとみている。06年3月には、パキスタンを訪問したブッシュ大統領が、部族地域内で作られた製品を米国が輸入する際、無関税とする「再建機会地帯」創設を提案。パキスタン政府も同年の会計年度から、部族地域の開発予算を従来の約6倍にあたる62億ルピー(約117億円)に増やし、07年度はさらに75億ルピーまで拡大した。

 だが、部族地域は歴史的に中央の支配を嫌い、慣習法で生活。行政機関も機能せず、各部族が部外者立ち入りを厳しく制限しているため、06年度の予算消化率はわずか35%程度にとどまった。政府幹部は「州に格上げされれば、州独自の予算と議会を持てる。住民の大多数は自治拡大を受け入れるはずだ」としている。

(2008年1月1日14時21分 読売新聞)

あれ?パキスタンアフガニスタンって国境線でもめてなかったっけ?勝手にこんな事してもめないかと思いましたが、調べてみると
2007/05
アフガン国境にテロ防止フェンス
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070511/1178889277
では

アフガニスタン人はかねて、英国が1893年に引いた国境線に反発してきたという事情もある

とあったんですけど、調べてみると、2007/07くらいにはフェンス完成していたみたいですね。

もっと古い記事だと
2005/09
パキスタン、対アフガン国境に「フェンス」構築か
http://www.cnn.co.jp/world/CNN200509130026.html

2005.09.13
Web posted at: 19:02 JST

  • CNN

ニューヨーク(CNN) パキスタンムシャラフ大統領は12日、対アフガニスタン国境の山岳部で、同国のイスラム強硬派勢力タリバーンの残存メンバーやイスラム過激派の不法侵入を防ぐためフェンスを築く計画を明らかにした。国連本部で、ライス米国務長官と会談した際、述べた。

パキスタン外務省によると、アフガン政府にも計画は提示済み。反応には触れなかった。フェンスの高さや長さは不明。

パキスタン、アフガン国境付近には、米軍が行方を追う、国際テロ組織アルカイダの最高指導者オサマ・ビンラディン容疑者らの潜伏も指摘され、国境警備強化を求める声が根強かった。

アフガンのカルザイ大統領と、パキスタンムシャラフ大統領は昔は関係が悪かったみたいですが、ここら辺があるんでしょうか。

関係が改善したのは
パキスタン大統領、方針転換 平和会議出席へ(とその関連記事)
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070814/1187049681

<ジルガ>アフガン、パキスタンが対テロ共同宣言
辺りからでしょうか。まぁ国境問題を抱えたまま関係改善って事もないでしょうから、やっぱり問題はないんでしょうね。