セルビア首相辞任 EU加盟めぐり対立激化

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080310-00000065-san-int

 【ベルリン=黒沢潤】セルビアのコシュトニツァ首相は8日、ベオグラードで記者会見し、辞任を表明した。コソボが同国から独立したことを契機に、独立を支援する欧州連合(EU)への早期加盟に難色を示す首相のセルビア民主党と、加盟推進派の民主党との対立激化が原因。10日に議会が解散し、5月11日にも総選挙が行われる見通しだが、セルビア民主党が極右政党のセルビア急進党と民族主義政権を樹立する可能性もあり、情勢流動化への懸念が高まっている。

 コシュトニツァ首相は会見で、「政府は(EU加盟に関して)統一した政策を持たず、機能していない。連立政権は終わった」と語った。

 現在、セルビア急進党が最大議席を占めるセルビア議会では、親欧派のタディッチ大統領率いる第2党の民主党、穏健民族派のコシュトニツァ首相率いる第3党のセルビア民主党、また民主派政党のG17プラスの3党が辛うじて政権を維持している。

 しかし、セルビア民主党コソボ独立に強く反対し、コソボ独立とEU加盟問題は切り離すべきだとする民主党と鋭く対立。最近は、EU加盟交渉凍結を訴えるセルビア急進党の決議案に、セルビア民主党が賛成して閣議民主党閣僚に拒絶されるなど対立は深刻化していた。外相を民主党コソボ担当相をセルビア民主党が握る“ねじれ”も対立激化の原因だ。

 2月の大統領選決選投票では、コソボ問題で強硬姿勢をとるセルビア急進党のニコリッチ党首代行がタディッチ大統領を数ポイント差まで追い上げた。EU加盟をめぐる「国民投票」的な意味合いが強い次期総選挙ではセルビア民主党セルビア急進党が選挙協力する可能性も高く、民族主義政権が誕生した場合、ミロシェビッチユーゴスラビア政権時代のように、欧州内で孤立の道を選ぶこともあり得る。

 コソボは現在、米英仏独など数十カ国の承認を得ているが、セルビアコソボ内のセルビア系地区では依然、コソボ独立に抗議する声が強い。

 ただ、セルビア経済は停滞しており、株式市場は最近、コソボ問題の影響もあって低迷気味。通貨ディナールも1月以降、主要国通貨比で6パーセントも下落しており、G17プラスのディンキッチ経済相は「政府は(ミロシェビッチ時代の)孤立に戻ってはならない」と警鐘を鳴らしている。

セルビア急進党といえばタディッチ大統領と選挙で戦った、ニコリッチ党首代行がいるところですね。極右民族派と呼ばれていましたが、この選挙次第では事態あれそうですね。