<イラク開戦5年>最新ルポ 要塞化するバグダッド…敵意の海に孤立 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080316-00000003-maiall-int


バグダッド中心部ではテロリストの攻撃に備えコンクリート壁が建ち並ぶ。猛スピードで駆け抜ける米軍車両にカメラを向けると銃で狙ったと勘違いされかねず危険だ=13日、フィルドス広場で

 【バグダッド小倉孝保、写真も】イラクの首都バグダッドは、コンクリート壁が建ち並ぶ要塞(ようさい)都市に変わり果てていた。20日でイラク開戦から5年。政府施設が集中し、最も治安が安定するグリーンゾーンの上空には、テロリストやスナイパー(狙撃手)を警戒する米軍ヘリが飛び交う。米国は07年1月、バグダッドを中心に3万人の部隊増派を決定、「増派は成功した」(ブッシュ米大統領)と強調する。だが、その実態は、まさに敵国の中に浮かぶ基地だ。力で抑え込んだ安定にすぎない。

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 記者がバグダッドに入ったのは3年半ぶり。この間、北部クルド地域や南部サマワを取材したことはあったが、治安の悪化で首都に足を踏み入れることはできなかった。

 米軍施設や政府機関が集中するグリーンゾーン。その周辺でも、日に数回、迫撃砲と思われる爆発音や、ライフルの連射音が響く。だが、人々は驚く様子もない。これが「治安が安定」したグリーンゾーンの日常風景なのだと思い知らされた。

 レッドゾーンと呼ばれる市街地の様子を知りたい。11、13の2日間、思い切って市街地に出た。チグリス川を渡り、対岸のカラダ地区のほか、フセイン元大統領像のあったフィルドス広場、大壁画で有名なタハリール広場周辺などを歩いた。

 グリーンゾーンとの出入り口に車を横付けし、ドアが開くのを待ち飛び乗る。外国人が乗っているのが分からないよう、後部座席に体を横たえて移動した。同乗した警備員は、前後左右の車両だけでなく、スナイパーを警戒し付近のビルに鋭い視線を送る。助手の口数は少なくなり、車を止め、写真を撮ると「ダメだ。車に戻れ」と命令口調になった。

 最初に目に付いたのは、各省庁、米軍関連施設、各国大使館や政党の建物の防護用に設置されたコンクリート壁(高さ約2〜3メートル)だった。壁を撮影していると、突然、猛スピードで米軍車両が通過した。その瞬間、助手が叫んだ。「危ない。逃げろ」。カメラを銃と勘違いした米兵が、銃を乱射するのを恐れたからだ。

 米軍やイラク軍のジープ型の車、トラックがひっきりなしに、警笛を鳴らしながら猛スピードで市街地を走り抜ける。スナイパーやロケット弾攻撃の標的になるのを避けるためスピードは緩めない。

 タクシー運転手のアラア・ムハマンドさん(32)は「どれだけカネを積まれようと、今、米国企業で働けばテロリストに狙われ、すぐに殺される。(治安が改善したと強調する)米国は大うそつきだ。我々は、毎日、きょう一日、無事で過ごせるかどうかと、不安の中で生きているんだ」と訴えた。

 道路の傷みや歩道周辺の汚れも目立つ。バグダッド陥落直後に放火された政府ビルの多くもそのままの姿で、進まぬ復興状況を目の当たりにした。

 ■ことば・グリーンゾーン

 イラク戦争でのバグダッド陥落後、首都中心部のチグリス川西岸に設置された米軍管理区域の通称。「インターナショナルゾーン」とも呼ばれる。面積約10平方キロ。周囲はコンクリート壁や鉄条網で囲まれ、多国籍軍が厳重警備する。かつてフセイン元大統領らの宮殿があった。現在はイラク政府庁舎、米大使館、ホテルなどが集中する。

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バグダッドに壁を作るとか、要請を受けて中断とかありましたが↓
2007/05
バグダッドの防護壁に平和願う壁画 「街に潤いを」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070513/1179043046
やっぱり作ってたんですね。↓とあったので作ってるとは思いましたが。
2007/11
イラクバグダッドの治安改善? 商業街のにぎわい戻る
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071115-00000076-mai-int

 【カイロ高橋宗男】イラクの首都バグダッドの治安が改善傾向を示し始めた。イラク政府内からは今年2月から続けられてきた米・イラク軍による治安回復作戦の終結も近いとの観測も流れ始めている。ただ、治安が再び悪化する要因は排除できておらず、バグダッド市民は「一時的な現象に過ぎないのでは」と慎重に値踏みしている。

 バグダッド東部の中心的な商業街、カラダ地区。ここ数年、度々爆発テロの標的となってきたが今、多くの商店が営業を再開し始め、にぎわいが戻ってきた。レストランは午後9時過ぎまで営業し、週末はほぼ満席に近い。午後6時を過ぎれば人通りが途絶えた3カ月前の状況と一変した。

 バグダッド市内の各地区で同様の傾向が見られ始めている。市民が普段の生活を取り戻そうとしつつある背景に、治安回復への実感があることは間違いない。

 治安改善傾向には、今年2月からの米・イラク軍の集中的な作戦と並行してきた「バグダッド分断策」が寄与している。市内の至る所には高さ3〜5メートル以上のコンクリートの壁が張り巡らされた。過激な武装組織や民兵組織の進入、逃走を防ぐ狙いがあり、ある地区から別の地区に通じるゲートは通常1、2カ所だ。

 イスラムシーア派スンニ派の宗派対立激化を受け、バグダッドでは宗派別の住み分けが進んだ。コンクリート壁に囲まれた各地区はそれぞれが同一宗派の聖域と言え、バグダッドは都市としての一体性を失った。

 さらにスンニ派住民がイラクの聖戦アルカイダ組織」を含む「イラクイスラム国」と対決、米軍に協力していることや、シーア派の対米強硬派、サドル師派の民兵組織「マフディ軍」の攻撃停止が、治安回復に大きく影響している。

 ただ、今後も治安改善の傾向が続くかどうかについては、不安定要素も残る。ロイター通信によると、イラク軍のムサウィ准将は12日、最悪の治安だったアダミヤ地区を例に今年4月に150回に上った武装組織の攻撃が、9月には29回に減少したと強調したが、依然毎日のように攻撃が起きている計算だ。

 マフディ軍が攻撃停止を解除すれば、再び迫撃砲によるスンニ派地区への攻撃増加が予想される。スンニ派にはシーア派クルド人主体の治安部隊に対する不信感が依然として根強い。内政問題は何ら進展を見せておらず、政治対立が治安に悪影響を及ぼす可能性も否定できない。

イラクでのテロ攻撃減少=治安情勢の先行きは不透明−国連報告
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080316-00000022-jij-int


 【ニューヨーク15日時事】イラク復興を支援する国連イラク支援派遣団(UNAMI)は15日、同国の人権状況に関する定期報告書を公表した。UNAMIはこの中で、米軍増派を受け自爆テロをはじめとする「激しい攻撃」は「著しく減少」したとの認識を示す一方、こうした傾向がいつまで続くかは「不透明」だと警告した。

 報告書は、治安情勢は首都バグダッドなどで好転したが、「多くの地域で依然不安定」と強調。特に北部モスルや中部ディヤラ州などでは状況が悪化していると指摘した。

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モスルというと、地図の14の州都、ディヤラ州は3ですね。ディヤラ州はアメリカに協力する人が出て、効果を上げているという話だったんですけどね。