イラク軍とサドル派戦闘で22人死亡、シーア派同士の争い

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080326-OYT1T00088.htm

 【カイロ=福島利之】イラク南部のバスラで25日朝、イラク軍がイスラムシーア派強硬指導者サドル師派の民兵組織「マフディ軍」に対する掃討作戦を実施したところ、大規模な戦闘に発展、AP通信によると、市民ら少なくとも22人が死亡、58人が負傷した。

 イラク軍はサドル師派と対立するシーア派政党「イラクイスラム最高評議会」(SIIC)傘下の民兵組織「バドル軍」出身者を中心に構成されており、バドル軍とマフディ軍というシーア派同士の覇権争いの側面もある。サドル師派は反発しており、マフディ軍が昨年8月に一方的に宣言した「戦闘停止」の継続が危ぶまれている。

 マフディ軍の「戦闘停止」は最近のイラクの治安回復に貢献した面があったが、バスラでの戦闘を受け、サドル師は25日、イラク軍の攻撃が続けばイラク全土で「反乱」を起こすとの声明を発表。バグダッド東部サドルシティー中部クートでは、マフディ軍イラク軍を域外に追い出したとの情報もある。

 バスラでは昨年12月、英軍が治安権限をイラクに移譲して以来、治安状況が悪化しシーア派内の小競り合いが続いていたが、今回は最大規模の戦闘となった。
(2008年3月26日01時36分 読売新聞)


英軍撤退地域は上の地図の青いところです。バスラは6番です。

サドル派がシーア会派離脱=マリキ政権の危機、さらに深刻化−イラク
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070917/1189981151

サドル師派がシーア派会派離脱 マリキ政権にまた痛手
で、

シーア派地域のイラク南部では地方の治安部隊を牛耳るSIICとファディーラ党、サドル師派の各民兵が衝突する三つどもえの対立が続いてきた。

とあってその後「戦闘停止」があったのですが、その後
イラク民兵組織分裂、サドル師も離脱宣言 治安に不安
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080309/1205041544
とありましたが、昨年12月以来治安が悪化してたんですね。

Yahooの産経新聞によるともっと死者増えてます。
シーア派戦闘、死者70人超に バグダッドにも戦闘拡大
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080326-00000971-san-int


 【カイロ=村上大介イラク政府軍が南部バスラで開始したイスラムシーア派の反米強硬派指導者、ムクタダ・サドル師派の民兵組織マフディー軍に対する掃討作戦は26日も続き、戦闘はバグダッドシーア派地区などにも飛び火し、騒乱はイラク南部のシーア派地域に拡大する懸念が広がっている。イラクマリキ首相は26日、バスラの民兵組織に対し、28日までに武装解除するよう最後通告を突きつけた。

 サドル師に対する支持が強いバグダッドシーア派地区、サドル・シティーでは25日、バスラでの政府軍の攻撃に反発するマフディー軍が政府治安部隊と衝突し、治安当局者によると、26日朝までの戦闘で少なくとも20人が死亡、115人以上が負傷した。死傷者には、女性や子供も含まれている。イラク軍と米軍は、住民約200万人が住むサドルシティーを包囲し、封鎖している。

 バスラでは25日の戦闘で、少なくとも40人が死亡、200人以上が負傷。死傷者には、マフディー軍の戦闘員、政府軍兵士のほか、民間人も多数、含まれている。26日も早朝から戦闘は再開し、フランス通信(AFP)によると、少なくとも7人が死亡、2日間の死者は約50人にのぼり、さらに増える勢いだ。

 ロイター通信によると、中部クートでも戦闘が発生、26日も市中心部から銃声が聞こえている。

 一方、政府施設や各国大使館が集中するグリーンゾーン(米軍管理地区)にある米大使館が26日、ロケット弾や迫撃砲の攻撃を受け、米国人3人が重傷を負った。迫撃砲弾は、同ゾーンに近い地域2カ所にも着弾し、一般市民5人が死亡、10人以上が負傷した。

 サドル師は昨年8月、マフディー軍に対して「停戦」を命じ、これがイラクの治安改善に大きく貢献した。しかし、シーア派主導のマリキ政権の最大勢力であるイラクイスラム最高評議会(SIIC)は政府治安組織を自派民兵を中心に組織することで影響下に置き、イラク第2の都市バスラをはじめ各地でサドル師派との勢力争いが続いてきた。

 サドル師派の支持を得て2006年春に首相に就任したマリキ首相だが、7月に予定される増派米軍のうち2万人の撤退を控え、イラク治安部隊だけの力で治安維持が可能なことを示す必要に迫られた。しかし、内部分裂が伝えられるものの、総兵力約6万人とされるマフディー軍が今回の攻撃を契機に再び一枚岩になれば、逆に政府軍にとって手ごわい相手となり、首相がかじ取りを誤れば、シーア派内の内戦にも発展しかねない危険をはらんでいる。

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クートは上の地図上のAl Kut(uの上に横棒ついてますが)ですね。またイラクで問題が起こりそうです。