シリアの核開発の北朝鮮協力報道、なにが起こっているのか。

2,3日前ですけどこういう記事がありました。
核隠蔽?シリア躍起 破壊施設、シートかぶせ夜間残骸撤去 「北協力」米が詳細
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080427-00000075-san-int

 北朝鮮とシリアの核開発協力に関し、米情報機関を統括する国家情報長官室は25日、情報当局高官による背景説明の内容を公表した。これにより、今回の問題の経緯が明確になってきた。説明の概要は次の通り。(ワシントン 有元隆志)

 北朝鮮とシリアの協力は1997年には始まった。シリアでの原子炉建設は2001年からで、07年夏には完成し稼働に近づいていた。詳細は当初わからなかったが、05年にシリア東部のダイル・アズ・ザワル地方と判明。画像分析を重ね、ユーフラテス川沿いに正体不明の建物をみつけた。

 北朝鮮が秘密核活動を支援していたと確信する。建物内部の写真をみると、黒鉛減速ガス冷却炉であり、(北朝鮮の)寧辺の原子炉と、技術の点でも構造的にも似ていた。北朝鮮だけが過去35年、黒鉛減速ガス冷却炉を建設していた。原子炉は完成すれば核兵器の原料となるプルトニウム製造が可能であった。発電用ではなく研究開発にも適していなかった。

 核施設建設開始前から、寧辺の核施設の幹部がシリアを何回も訪れた。寧辺にある核燃料製造工場のトップが、シリアの原子力委員会のトップと写っている写真がある。彼は6カ国協議にも参加していた。

 政策の選択肢についてはイスラエルと協議した。われわれは外交と軍事力行使の警告を使う選択肢を検討した。イスラエルは「シリアの核能力保有は、国家の存在そのものの危機につながる」と考え、行動を起こすとの結論に達した。(攻撃を認める)「青信号」は与えてはいない。イスラエルの行動を理解する。

 原子炉は07年9月6日早朝、イスラエル軍空爆で修復不能なほど破壊された。シリアは核施設破壊を強く否定したが、9月中旬、原子炉の残骸(ざんがい)を壊し、機器を撤去するための作業をした。上空から見られるのを防ぐため、作業は夜間、あるいはシートをかぶせたなかで行われた。シリアは破壊された建物の上に新たな建物を建設した。原子炉の残存物がみつかるのを防ぐためであろうとみている。                   ◇

 シリアが北朝鮮の支援を得て核開発をしたとする米政府の主張に対し、専門家らからはいくつかの疑問点が提示されている。

 米科学・国際安全保障研究所(ISIS)のデービッド・オルブライト所長はシリアが原子炉の運転に必要な核燃料をどのようにして確保したかを米政府は示していないと指摘した。

 また、プルトニウム生産には使用済み核燃料棒を再処理する施設が必要だが、情報当局高官も認めたように付近にはそのような施設はなく、その点についても解明が必要との指摘も出ている。

破壊された施設が解体されたというのは、そもそも2007/10から言われていた事で、
イスラエルのシリア空爆、スパイの写真から「核施設」確信
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071020/1192904067

シリア、イスラエル空爆を受けた施設解体を開始…米紙報道
めんどくさいんで全文再掲しますけど、

 【ワシントン=宮崎健雄】19日付米紙ワシントン・ポストは、米当局者などの話として、シリア当局が、9月にイスラエル空爆を受けた施設の解体を始めたと報じた。

 この施設は、北朝鮮の協力を受けた「核施設」との疑惑が相次いで報道されており、国際原子力機関IAEA)も調査を開始している。同紙は「国際的な監視から逃れようとしている」として、シリアが証拠隠滅を図っていると指摘した。

 同紙によると、この施設は北朝鮮にある核施設と似た特徴があり、米当局者は北朝鮮の支援で建設されたとしているという。

 また、同紙は、IAEAは、この施設に関する情報や空爆に関する詳細な経緯を把握しておらず、解体されれば、施設の性質もシリアの使用目的も断定することは難しくなるとしている。

とまぁ何も目新しくなくて、って別に北朝鮮を擁護するつもりは無くて、むしろ北朝鮮がかかわっていたという証拠を得るためには、IAEAに情報を渡すべきだったと思うんですよね。

詳しくは知りませんでしたが、最初の記事、ともかくシリアが「黒鉛減速ガス冷却炉」だった証拠さえ残していなければ、北朝鮮とはつながらない可能性が高いんですよね。

あと、
北朝鮮のシリア支援巡り、米政権内に亀裂…米紙報道
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071011/1192104917
というのもあったんですよね。

ライス国務長官らは、北朝鮮とシリアとの取引を示す情報は信用できないとし

ということで、どちらかといえばアメリカの政権内になんらかの動きがあって、今この問題をもちだしてきたって感じなのかなぁと思います。

ただ、シリアの施設を空爆したのはイスラエルですが、そのイスラエルは5日程前の報道。
イスラエル、シリアにゴラン高原返還を打診
http://www.afpbb.com/article/war-unrest/2382685/2862178

【4月24日 AFP】イスラエルのエフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相がシリアのバッシャール・アサドBashar al-Assad)大統領に、ゴラン高原(Golan Heights)を返還し和平協定を結ぶ用意があるとトルコを介して伝えていたとの報道について、アサド大統領は事実と認めた。カタールの日刊紙「アルワタン(Al-Watan)」が24日、報じた。

 これによると、オルメルト首相は前週、レジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)トルコ首相を通じてゴラン高原返還の意志を伝えたという。アサド大統領は、エルドアン首相が26日にシリアを訪問した際に、本件について協議するとしている。

 イスラエル政府報道官は、アサド大統領の発言について直接の言及は避けながらも、イスラエルはシリアとの和平協議に臨む用意があり、イスラエルとシリアは互いの要求を理解しているはずだと語った。

 一方、イツハク・ヘルツォグ(Yitzhak Herzog)観光相は、「ゴラン高原を早急に手放す必要性はない」との考えを示した。
 
 イスラエル北部からシリア南部に広がるゴラン高原は、イスラエルが1967年の第3次中東戦争でシリアから占領。1981年に併合を宣言したが、国際的には認められてい

とあったんですよね。これゴラン高原をシリアに返すかわりに北朝鮮情報を渡せと言う取引なんでしょうか。まぁ今後を見ていかないと分かりませんけどね。ただ、シリアはIAEAに協力すると言っていましたが、
IAEAへの協力に前向き=「隠すものない」と国連大使−シリア
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080426/1209217531
核施設にかんしては否定してますね。
イスラエル空爆した施設は核施設ではなく軍事施設=シリア大統領
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080428-00000417-reu-int

 [ドバイ 27日 ロイター] シリアのアサド大統領は、27日付のカタールのアルワタン紙に掲載されたインタビューで、昨年9月にイスラエル空爆した施設は核施設ではなく、建設中の軍事施設だったと述べた。

 米国は先週、シリアが北朝鮮の協力を得て原子炉を建設し、その施設がイスラエル空爆で破壊されたとする分析情報を公表した。

 アサド大統領は、この公表以前に行われたインタビューで「対空防衛装備を持たない核施設など理屈に合うだろうか。何もないシリアの砂漠の真ん中の、衛星が探査可能な場所に核施設を建設したりするだろうか」と述べた。

 大統領は「空爆の標的は建設中の軍事施設だったというのが真実だ。われわれは、イスラエルにせよイランにせよ他の国にせよ、大量破壊兵器保有には反対だ」と語った。

 さらに、シリアが核兵器保有を模索することは非論理的とし「どこで核兵器を使うというのか。イスラエルで使えばパレスチナ人を殺すことになる。これは論理的とは思えない」と述べた。

じゃぁ対空防衛装備を持たないどんな軍事施設だったのかという疑問は残りますけどね。