<イラク>シェルと天然ガス共同開発 メジャーと初契約

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080923-00000095-mai-bus_all

 【ロンドン藤好陽太郎】イラク政府と英蘭ロイヤル・ダッチ・シェルは23日、イラク南部のバスラ県で天然ガスを共同開発する契約に調印した。フセイン政権崩壊後、イラク政府が油田・ガス田開発で国際石油資本(メジャー)と契約を結ぶのは初めて。外国企業との契約としては、8月末に中国石油天然ガス集団(CNPC)と油田開発の契約を結んだのに続き2件目

 イラク国営企業イラク南部石油が51%、シェルが49%の合弁企業を設立。今後5年間で約30億〜40億ドル(3200億〜4300億円)を投資する。イラク南部で、原油採掘の際に生じ、燃焼されている日量2000万立方メートルの天然ガスなどを回収・生産。イラク国内の発電などに使う。

 イラク政府は6月末に、1972年の国営化以来36年ぶりに外資参入を認めると発表原油天然ガスの大幅増産を目指している。

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ちょっと前の記事になりますが、記事中6月末の発表というと、ここらへん↓で書いたやつですね。
イラク油田、外資開放 原油供給拡大に期待 設備老朽化、治安に不安
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080704/1215181899
今調べてみると、シャハリスタニ石油相(シーア派)とか、ジバリ外相(クルド人)は、まだそのままの地位にあるようですね。この時は、

開放されるのは、南ルメイラ、西クルナ、キルクークなど6油田と2つの天然ガス

と書かれていましたが、調べてみるとルメイラと、西クルナは
新たな段階に入ったイラク石油開発(pdf)
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/2/2085/0808_01_inohara_iraq-oildevelopment.pdf
の地図では、南の方なので、今回の記事中のバスラ県に入ってそうです。

8月末のCNPCは、調べてみるとそれより前
2008/03
■<戦争のつめ跡>5年後のイラク/5 クルド自治区中央政府
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080320-00000009-maiall-int


イラクの主な油田の地図

 サウジアラビアに次ぐ世界第2位の石油埋蔵量を誇るイラク。戦後、落ち込んでいた原油生産量は、昨年12月、日量247万バレルと、開戦前の水準(同258万バレル)にほぼ回復した。イラク政府は、今年末までに同300万バレル達成を目指す。原油価格高騰も受け、08年の収入は560億ドル(約5兆6000億円)との試算もある。戦争の傷跡が深いイラクにとって「唯一の収入源」だ。多額な収入の分配や新規油田の開発をめぐる新たな対立が生まれている。

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 キルクークやモスル周辺に巨大油田に隣接するクルド自治区自治政府議会は07年8月に石油・ガス法を可決、自治区内の新規油田開発への海外企業参入の道を開いた。石油メジャーに属さない独立系の欧米企業など12カ国22社が自治政府と覚書を結んだ。

 「韓国企業に優先権を与えるよう努力する」

 2月14日、韓国を訪問したクルド自治政府のバルザニ首相は、韓国石油公社などの共同事業体と同自治区内の新規油田開発に合意し、覚書を交わした。積極的な資源外交を打ち出す李明博(イミョンバク)次期大統領(当時)もバルザニ首相と会談した。

 韓国は03年5月から同自治区に軍を派遣。軍民一体で資源ビジネス獲得にまい進する。

  ×  ×  ×

 石油開発の実態を聞こうと、アルビルにあるノルウェー系企業の事務所を訪ねた。だが「取材には応じられない」の一点張り。自治政府や他の企業も同様の対応だ。「石油」という言葉を出すだけで、相手の顔が曇り、不機嫌になる。

 「隠れた戦争が続いている」。クルド出身で、バグダッドアルアハリ新聞編集長を務めるハバル・ザホイ氏(40)は、イラク国内で、石油利権をめぐる争いが激化していると教えてくれた。

 イラクの石油資源は、現在も旧フセイン政権時代に定められた石油法に依拠する。同法は、政府が石油に関するすべての権限を握ると定める。

 一方、クルド自治政府は、05年10月の国民投票で承認されたイラク憲法では、既存の油田は中央政府の管轄だが、新規油田は対象外だと主張する。

  ×  ×  ×

 イラク石油省のアセム・ジハード報道官は、「クルド自治政府と外国企業との契約は、不法で正当性がない」と批判、このような契約を認めれば「ひとつのイラクが崩れる」と危機感を示す。イラク中央政府は、クルド自治政府の措置に強く反発、同自治区で石油開発権を獲得した企業への原油輸出停止に踏み切った。韓国は今年1月からイラクからの原油輸入が止まり、サウジアラビアからの輸入に切り替えた。

 一方、米エクソンモービル、英BP、仏トタルなどオイルメジャー各社は、中央政府と係争が起きそうなクルド自治区への投資は避け、イラク南部の油田開発参入を目指す。隣国ヨルダンの首都アンマンで、イラク石油省と頻繁に交渉を重ね、機会をうかがう。

 イラク戦争に反対した中露両国も、南部を狙う。

 イラクのシャハリスタニ石油相は06年10月、中国を訪問し、97年に中国国有エネルギー最大手、中国石油天然ガス(CNPC)と結んだ12億ドル規模の油田開発契約の復活に合意した。ロシアのルクオイルも、旧政権時代に結んだ西クルナ油田の開発再開契約の復活を目指している。【バグダッド小倉孝保、アルビル高橋宗男、ソウル堀山明子】

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と昔の契約なんですね。

最初の記事が

イラク政府が油田・ガス田開発で国際石油資本(メジャー)と契約を結ぶのは初めて

といいつつ

外国企業との契約としては、8月末に中国石油天然ガス集団(CNPC)と油田開発の契約を結んだのに続き2件目

というのも昔の契約だからというのもあるのかもしれません。CNPCはメジャーじゃないよ、という意味かもしれませんが。

2008/08のCNPCの出てくる記事はCNNしか見つかりませんでした。
油田開発合意の文書に調印へ、イラク石油省とCNPC
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200808120016.html

バグダッド――イラク石油省は12日までに、首都バグダッド南方にあるアハダブ油田開発の合意文書を中国石油天然ガス集団(CNPC)との間で8月下旬に調印すると発表した。同文書の署名は、2003年の米軍事作戦の開始でいったん取り消されていた。

開発費用は推定12億米ドル(約1320億円)とみられる。原油の推定埋蔵量は数十億バレルと見積もられている。

今回の文書署名は、イラクの旧フセイン政権時代に交わされた原油開発契約が復活した最初の例となる。旧フセイン政権は、国連による経済制裁を受けていたが、CNPCとの契約を強行していた。

12億ドルということではさっきの記事と一致してます。あと
バグダッド南方の油田開発で合意、調印 イラクと中国国営企業
http://www.cnn.co.jp/business/CNN200808290011.html

上海――イラク石油省高官は28日、同国と中国がイラクの首都バグダッド南方にあるアハダブ油田開発の合意文書に27日調印したと述べた。同油田の開発で両国は、2003年の米軍事作戦の開始前に合意、調印していたが、戦時の影響で、政府間の承認が出来ない状態となっていた。

米軍事作戦で崩壊した旧フセイン政権時代の石油開発計画が復活したのはこれが初めて。中国側の参加企業は、国営の中国石油天然ガス集団(CNPC)。旧フセイン政権は、国連による経済制裁を受けていたが、CNPCとの契約を強行していた。ただ、事業開始は国連制裁の解除後となっていた。

NPCによる投資額の詳細は不明だが、イラク石油省高官は、30億米ドル(約3270億円)相当としている。アハダブ油田の原油の推定埋蔵量は数十億バレル。

イラク原油生産量は現在、日量約250万バレルで、今年末までは最大300万バレルまで引き上げる計画。13年末までには450万バレルを目指している。

では、30億ドルとあります。ところでアハダブはさっきのpdfファイルのバグダッドの南(南東?)のアフダブ油田かなと思います。

あとキルクークの帰属を問う住民投票はどうなったのかなと今調べてみましたが
地方選の年内実施に黄信号=キルクーク問題で対立−イラク
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080923-00000058-jij-int

 【カイロ23日時事】イラクで当初10月1日に予定されていた地方選挙が年内に実施できない可能性が強まっている。北部の産油都市キルクークの扱いなどをめぐる民族間の対立で、新選挙法案の制定が遅れているためだ。米政府も同選挙の実施は国民和解に向けて極めて重要と位置付けており、その遅れは大きな懸念材料となる。

 前回2005年の地方選では、イスラムスンニ派など一部の勢力がボイコットしたが、今回はほとんどの勢力が参加する意向で、各民族・宗派間でバランスのとれた地方議会が実現し、国民和解が進むことが期待されていた。

 問題となっている法案にはキルクークを4選挙区に分割、クルド人トルクメン人、アラブ人にそれぞれ議席の32%、残り4%をその他少数民族に割り当てるという内容が含まれるが、キルクーククルド自治区編入を悲願とするクルド人側はこれに強く反対。キルクークでの選挙を延期し、旧フセイン政権が実施したキルクークの「アラブ化」政策によって移住してきたアラブ人を出身地に帰還させた上で選挙を行うことを要求している。

とかなり先行き不透明のようですね。

と思ったらその二日後に

イラクで地方選挙法案可決
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080925-00000105-san-int

 イラク国会は24日、各県の地方評議会(議会)議員を選ぶ新しい地方選挙法案を可決した。新法案によると、投票は民族間の利害対立による帰属問題がくすぶる北部の産油都市キルクーククルド人自治区3県を除外し、来年1月31日までに実施される。法案は大統領と副大統領2人の承認で正式に発効する。

 地方選は当初、10月1日に投票が予定され、国会は7月、選挙法案をいったん可決したが、キルクーククルド自治区編入を主張するクルド人勢力が反発。タラバニ大統領(クルド人)が法案の承認を拒否していた。(カイロ 村上大介

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やっぱりキルクークの問題は棚上げですか。

キルクークに関しては
ライス国務長官キルクークに飛んだと読んで、ちょっと調べてみました。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071220/1198169622
あたりからたどれます。