サハリン1開発停止も 露、09年予算承認せず 天然ガス計画に暗雲

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090309-00000508-san-int

 【モスクワ=遠藤良介】日本政府が出資するロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン1」の2009年予算・事業計画をロシアが認可せず、サハリン1が新鉱区の開発に入れない状況に陥っていることが、8日までに複数の関係者の話で分かった。09年には天然ガスの本格生産に向けた重要な工程が計画されており、現状が続いた場合には、日本が巨額の国費を投じたサハリン1の天然ガス事業が暗礁に乗り上げる可能性もある。

 サハリン(樺太)の関係者によると、サハリン1の3鉱区のうち1鉱区はすでに原油生産を始めており、影響は出ていない。ただ、天然ガス生産の主体となる2鉱区の新規開発には一部作業を除き依然として着手できず、現地の下請け企業では従業員解雇の動きも出ているという。

 ロシアは表面上、開発経費の増額を理由に予算を認可していないが、根底には、サハリン1に出資していない露国営天然ガス独占企業、ガスプロム天然ガスの独占販売権を獲得したいとの思惑がある。サハリン1の筆頭事業者、米エクソンモービルがパイプライン敷設による中国向け輸出を計画しているのに対し、ロシアは天然ガス全量を国内価格以下でガスプロムに卸すよう要求している。

 日本の三井物産三菱商事が出資する隣接開発区「サハリン2」は2006年、「環境破壊」を口実に事業停止を命じられ、ガスプロムに経営権を奪取された。サハリン1についても、「資源ナショナリズム」の高まるロシアの出方が強く警戒される状況だ。

 日本は石油・天然ガス供給の多角化を目指して1970年代からサハリン開発に参入し、現在のサハリン1を含めこれまでに投じた公的資金の残高は2070億円に上るとみられている。

 しかし、サハリン1が計画した日本への天然ガス・パイプライン敷設は、日本国内の調整に失敗し事実上、頓挫した。エクソンはすでに天然ガスの輸出先を中国とみなしており、サハリン2が今月から日本向け液化天然ガス(LNG)輸出を始めるのとは対照的に明暗が分かれている形だ。

 日本としては、サハリン1の天然ガスを自国向けに確保する見通しが立たない上、ロシアが天然ガスを破格値で買い取ることになれば、出資分に基づく利益まで見込めない事態となりうる。

 ■サハリン1 サハリン(樺太)島北部大陸棚の石油・天然ガス開発事業の一つ。日本が旧ソ連時代に行った開発事業を引き継ぎ、米エクソンモービルと日本のサハリン石油ガス開発(日本政府、伊藤忠商事、丸紅の共同出資)が各3割、ロシア(国営石油ロスネフチなど)とインド国営石油が各2割の権益を持つ。1995年にロシア政府と開発契約が締結され、原油はすでに本格生産されている。推定可採埋蔵量は石油約23億バレル、天然ガス約4850億立方メートルで平均的な石油・ガス田よりも高い利益率が期待されている。

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サハリン1,2の事はここ↓でも取り上げました。
<ロシア>サハリン2のLNG供給へ 日本に新たな調達先
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090219/1234999646
サハリン1輸出停止が、開発すら停止になるかもという事ですね。

サハリン2の環境問題については
サハリン2 露の国有化完了 環境問題なぜか「解決」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070420/1177069945