鉱山会社追加出資に世論反発 豪資源「中国支配」の足音

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090322-00000583-san-int

 【シンガポール=宮野弘之】中国アルミ(チナルコ)が、英豪資源大手リオ・ティントに195億ドル(約1・8兆円)相当を追加出資し、持ち株比率を2倍にすることを計画している問題で、オーストラリアのラッド政権が合意を認めるかどうかで対応に苦慮している。中国との関係維持は重要な一方、戦略産業である鉱山を中国国営企業に売り渡すのかなどと、国内の反発が強まっているためだ。ラッド政権は、当初週明けにも予定していた決定を90日間先送りすると発表。両社の合意も宙に浮いたままだ。

 「われわれが売るのは雌牛ではなく、ミルクの方だ。つまり鉱山ではなく鉱物を売るべきだ」。オーストラリア政界で影響力を持つ無所属のニック・クセノフォン上院議員は、地元ラジオで、中国企業リオ・ティントを事実上支配することになる今回の合意に強く反対した。

 合意では、中国側は123億ドル(約1・1兆円)を支払い、リオ・ティントの鉄鋼、銅、アルミニウムの権益を取得。さらに転換社債を72億ドルで購入することで、リオ・ティントでの持ち株比率を2倍の18%に拡大することになる。

 これを受けて、オーストラリア政府の外国投資審査委員会(FIRB)が、合意は国益にかなうものかを検討し、最終判断はスワン財務相が行う。

 合意には、緑の党のボブ・ブラウン上院議員も、発表された直後から、「われわれの開かれた民主的な国家が、中国の独裁主義がこれら企業と資源を統制することを認めるのは危険なことだ」と、公然と反対を表明。さらに、「今回の合意を認めることは、いずれ、わが国の道路や水道なども中国にコントロールされることになる」と述べた。同党は、かねて中国政府による人権侵害問題を批判している。

 また、野党・国民党のバーナビー・ジョイス上院議員は連日、「中国は、オーストラリアが中国国内の鉱山を買うことを認めていない」とするテレビコマーシャルを流し、反対運動を展開している。

 一方、長く財務相を務めたピーター・コステロ上院議員は、地元紙に寄稿したコラムで「わが中国語使いのラッド首相は合意を支持するだろうし、財務相も同様だろう」としつつ、「国内に国際的に評価される企業をもたなければ、海外からの投資を受け入れるだけでは『支店経済』と呼ばれるだけだ」として、中国に頼るラッド政権の姿勢を批判した。最近の世論調査でも外国政府が管理する企業からの投資受け入れは慎重にすべきだとする意見は85%に上る。

 ただ、2008年の両国の貿易額は460億ドル(約4・4兆円)に達し、中国は豪州の最大の貿易相手国。ラッド首相は21日にキャンベラを訪れた李長春常務委員に対し、両国間の自由貿易協定交渉を進める考えを改めて表明した。

 さらに、ラッド首相だけでなくスワン財務相リオ・ティントがあるクイーンズランド州を地盤としており、出資を認めず同社が傾けば、地元経済に深刻な影響が出かねない。まさにラッド首相は板挟みの状態で判断を迫られている。

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http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090322/1237698749
という非難がありました。雌牛ではなく、ミルクを売れというのはそのとおりかもしれません。