環境省、温暖化対策で調査事業 経済発展と“共生”の道探る

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090401-00000051-fsi-bus_all

 「早期の地球温暖化対策は本当に経済にプラスの影響を与えるのか」。環境省はそんな疑問を解消するため、内外の研究者を動員し、今年度から環境活動の経済影響を調査・分析する事業を立ち上げる。2013年以降の温室効果ガス削減目標「ポスト京都議定書」をめぐる議論が本格化するなかで、二酸化炭素(CO2)の大幅削減は国民全体のコスト負担増を招くとの批判の強まりなどに対応する。

 環境省は、環境保全と経済発展が両立する“共生型”の低炭素社会を実現するため、多面的な政策研究に乗り出す。今年度から約3年計画で進める予定で予算規模は4億円。具体的な研究内容や実施体制は今後詰めるが、06年に英国政府が発表した「スターン・レビュー」の日本版作成などを視野に入れる。

 スターン・レビューとは、元世界銀行チーフ・エコノミストニコラス・スターン博士が英財務省の依頼を受けて気候変動が世界経済に与える影響を分析した初の報告書で、各国で話題となった。対応策を講じなかった場合の気候変動による損失額は、年間で世界のGDP(国内総生産)の5〜20%に及ぶとする試算などを盛り込んだ。

 報告書によれば「最悪の事態」を避けるためには、大気中の温室効果ガス濃度を現在の430PPM(二酸化炭素換算)から最大550PPMの範囲に抑制しなければならず、そのためには、CO2排出量を50年までに少なくとも25%、将来的には80%以上削減する必要があると警告。500〜550PPMで安定化させるために必要な対策費は年間GDPの1%程度になると試算し、それは気候変動に伴う損失額に比べてはるかに少ないとみる。

 環境省は、早期対策の優位性を主張したこのスターン・レビューを温暖化対策に対する国民の理解を深める手段として有効と評価。国立環境研究所の協力を得てすでに翻訳し公表しているが、さらに踏み込んで、スターン・レビューのような視点に立った研究を進め、蓄積した知見や情報を環境政策の立案に生かす考えだ。

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【予報図】

 ■早期実現の「国益」説得が鍵

 「考えてみませんか?私たちみんなの負担額。」

 そんなコピーが躍った意見広告が、3月17日付の新聞各紙に掲載された。出稿主は日本経団連など58の経済・業界団体だ。

 広告では、2020年までにCO2排出量を1990年比で3%減らすためには社会全体で約52兆円を負担しなければならないと指摘。1世帯当たりでみると約105万円の負担に及ぶとの試算も紹介し、「裏付けのない過大なCO2削減は国民全体に大きな痛みが伴う」と主張した。

 その内容に不快感をあらわにしたのが、環境省。3月19日の閣議後の記者会見で、斉藤鉄夫環境相は「大変悲しい。低炭素化に向けての本気度が疑われるような意見広告だ」と強く批判した。

 環境省がスターン・レビューに注目する背景には、経済界を巻き込んで温暖化対策の実効性を高めたいという思いがある。ポスト京都議定書をめぐる交渉のリード役が期待される日本の国際的な立場との整合性を図ることも、今回の研究の狙いだ。

 環境省の鈴木正規・大臣官房審議官は「最新の省エネ機器を買い替えると電気代などのエネルギーコストが下がるが、プラスの効果が(意見広告には)書かれていない」と指摘。そのうえで「環境と経済の関係についての研究を進め、早めの対策が有効な手段であることを世に示したい」と強調する。

 温暖化対策を怠った際の被害額の試算に取り組む国立環境研究所の西岡秀三・特別客員研究員も「日本でもスターン・レビューのような視点が必要」と話す。

 しかし、環境と経済の両立に向けた国内議論の収束点を見いだすのは至難の業だ。3月27日に開かれた首相直轄の「地球温暖化問題に関する懇談会」中期目標検討委員会では、20年時点の温室効果ガス削減目標の選択肢5案とGDPや雇用・家計に及ぼす影響が示されたが、委員の見解はかみ合わなかった。

 三菱総合研究所の村上清明参与は「日本企業が『世界が目指す低炭素社会』に向けてどんどん先を走ることが大きな国益につながる」と指摘する。それを具体的な例証をもって示せるかどうかが、新たな需要と雇用の創出を目指す日本版グリーン・ニューディール政策を成功に導けるかどうかの分岐点ともなりそうだ。(臼井慎太郎)

温室効果ガス削減で湯原・東大特任教授 現実目標、着実な達成を
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090222/1235257536
では先進国は450ppmに、途上国は550ppmに押さえ全体で500ppmになるようにと言うことだったので、それよりは緩やかな目標ですね。それでも大変なんでしょうけど。

しかしそもそもCO2が温暖化の原因になってるという説に疑問をていしているのが、上のエントリからもリンクしている櫻井よしこさんのブログ
「科学的検証のない温暖化問題 日本は排出権取引に参加すべきでない」
http://yoshiko-sakurai.jp/index.php/2009/02/28/
です。ここら辺のことには早いところ白黒をつけて欲しいと思いますが。