<パキスタン>スワート武装勢力が和平破棄 戦闘再開の恐れ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090410-00000090-mai-int

 【ニューデリー栗田慎一】パキスタン北西辺境州スワート地区の武装勢力が、政府側との和平破棄を通告し、戦闘再開の恐れが高まっている。武装勢力は、2月に政府側と締結した和平合意の発効に必要な署名をザルダリ大統領が棚上げしていると非難している。ザルダリ氏が応じないのは、和平に反発する米国の圧力や、和平条件にあるイスラム法導入で人権侵害が起きるとの西側諸国の懸念が背景にある。戦闘が再開されれば住民生活は再び破壊され、貧困が深刻化するのは確実だ。

 武装勢力代理人は9日、「大統領が約束を守らないため、我々は(停戦監視区域から)引き揚げる」と語り、和平破棄を警告した。和平交渉を担ってきた州政府の政権党「アワミ国民連盟」も、「大統領が署名しなければ(ザルダリ氏が率いるパキスタン人民党との)連立関係を解消する」と通告。新たな政局問題に発展する可能性も高まっている。

 スワートは、ガンダーラ仏教遺跡群で知られる世界的観光地だったが、07年夏に本格化した政府軍の武装勢力掃討で観光客は途絶えた。地元には「停戦が最大の貧困対策」との思いが強く、州政府の求めに中央政府が和平合意に応じ、政府軍は軍事作戦を中止した経緯がある。

 しかし、停戦によって武装勢力アフガニスタンで対米攻撃を強めると懸念する米国は、和平に反発オバマ米大統領は3月発表のアフガン包括戦略で、パキスタンの民生支援を打ち出す一方、掃討活動の強化を求めた。さらに4月上旬、イスラム法が禁じる「姦通(かんつう)の罪」を犯したとして武装勢力が女性を公開むち打ちするビデオが流出し、西側諸国から和平への懸念が高まった。

 ザルダリ氏を批判する武装勢力は、和平条件にある武装解除に応じる気配を見せず、政府側との相互不信を生んでいる。反政府色を強める武装勢力は、首都イスラマバードがある東側へも影響力を伸ばし始めており、近い将来、首都が戦場化する恐れもある。

 ◇イスラム法シャリーア

 イスラム教に基づき、個人や国家の規範などを定めた法体系。法文はなく、宗教指導者が時代状況などによって解釈を変える。姦通罪違反は男女双方に石打ちによる公開処刑が通例。アフガンの旧タリバン政権は厳格なイスラム法で統治し、残酷な処刑法などが国際的非難を浴びた。

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アフガンの新法案は女性の人権侵害か 各国から非難集中
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090407/1239113138
で、パキスタンの状況として
タリバンの恐怖 パキスタン衝撃 少女むち打ち映像

むち打ちの様子は携帯電話で撮影され、テレビでも繰り返し放映された。世論の反響は大きく、このため中央政府は、北西辺境州への権限が及ばないのにもかかわらず、地元政府などに事実関係の調査を指示した。

と言うのもありましたが、これも関係してるんでしょうか。

地図は

しかし、アメリカのパキスタンに対する態度がはっきり分からないので、これがアメリカのアフガニスタン政策にどう影響するのか分かりませんが、
2009/04/07
米のパキスタン秘密作戦 次の標的はクエッタか?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090407-00000594-san-int

 オバマ米大統領は先月末、アフガニスタンに関する包括的な新戦略を発表し、隣国パキスタンが担う役割の重要性を強調した。そうした中で、米国の次の一手を占う戦略拠点として注目を集めている都市がある。パキスタン中西部、バルチスタン州の州都クエッタだ。

 9・11(米中枢同時テロ)後に訪れたクエッタは埃(ほこり)っぽく、彩りの乏しい町だった。ラクダが路上で荷を引いているのも土漠の中の町ならではだろう。ここから北西へ約100キロ、山塊を登り切ると急に視界が開け、眼下に広がる荒野にアフガン国境の町、チャマンが見える。アフガンの要衝、カンダハルはその100キロほど先だ。

 クエッタはその地理上の位置からアフガン現代史で重要な役割を担ってきた。侵攻ソ連軍に対する「聖戦」では後方基地となり、現大統領のカルザイ氏も長い亡命生活の間、ここを活動拠点とした。ザヒル・シャー元国王時代の国会議員で議長を務めたこともあるカルザイ氏の父が暗殺されたのもここだ。

 そのクエッタをめぐる動きが最近、再びきな臭さを増してきた。それを物語るのが先月中旬の米ニューヨーク・タイムズ紙の特ダネ記事だ。米国はパキスタンの部族地域で、アルカーイダやタリバンの拠点や要人を無人機によるミサイル攻撃で狙い打ちする「秘密作戦」を行っている。それを、クエッタとその周辺にも拡大することを検討中というのが記事の内容だ。

 クエッタの多数派はパシュトゥン人であり、部族地域とともにパキスタン国内で「パシュトゥン・ベルト」を構成している。パシュトゥン人は多民族国家アフガンの最大の民族グループであると同時にタリバンの中心勢力でもある。

 米国などは、部族地域と同じくクエッタもタリバンの聖域と化していると見る。しかも、クエッタはカンダハルに近い。政権を担った当時、タリバンが本拠地としたのはカンダハルであり、最高指導者のオマル師はクエッタに潜伏しているとの見方が強いタリバン指導部もクエッタ周辺にあるとの見方から「クエッタ・シューラ(「評議会」の意味)」と呼ばれる。

 このクエッタの聖域を使ってタリバンはアフガン南部に武器や兵士を送り込んでいるとされ、最近のアフガン南部情勢の悪化はその活動が活発化していることを示唆している。米国が進める増派戦略を成功させるには、クエッタの聖域は放置できないというのが米国の判断のようだ。

 しかし、クエッタへの秘密作戦の拡大はもろ刃の剣でもある。上空の無人機から地上を監視し、標的らしきものを発見したら遠隔操作でミサイルを撃ち込むという荒っぽい戦術だけに、民間人を巻き添えにすることが多い。

 バルチスタン州はパキスタンの最後進地域であり、もともと反中央政府の感情が強い。分離主義組織による武装闘争も続いている。2月に起きた国連難民高等弁務官事務所の米国人現地代表の誘拐事件はその危うい現実を浮き彫りにした。ここで米国が無人機による攻撃という強引な作戦を始めれば、住民の強い反発を招き、反米・反中央政府の炎が燃え上がりかねない。

 バルチスタン情勢には実はもう一つの利害関係国がある。この州に集中投資している中国である。その対象は港湾から空港、製油所、鉱山開発、中国西部への原油パイプライン計画に至るまで多岐に及ぶ。とくに、アラビア海に面するグワダル港開発は中国にとって戦略的な重要性を持つ

そのグワダルでは2004年に中国人技術者3人が自動車爆弾で死亡する事件が起きている。秘密作戦の拡大はバルチスタン州情勢をさらに不安定化させないか。米国の次の一手を中国が強い懸念をもって注視していることは間違いない

 (在バンコク・ジャーナリスト 鈴木真)

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というのもありました。