ロシア、10年ぶりに外債発行か 一転して借金財政に

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 【モスクワ=遠藤良介】ロシア政府が2010年にも、国債を海外で発行する方向で検討を始めた。同国財務省によると規模は50億ドル(約4980億円)程度で、3〜5年物のユーロ債を検討。ロシアにとって10年ぶりの外債発行となる。1998年の金融危機以降、石油価格の急騰により高成長を続けてきたものの、今年は一転、財政赤字と巨額の民間対外債務を抱えてマイナス成長となる見込みだ。中国やブラジルなど新興市場国「BRICs」の一角に数えられてきたロシアの急落ぶりを象徴する動きとみられている

 クドリン副首相兼財務相は先の財務省会合で「今後の10、20、50年間、ロシアにとって2000〜04年のような好都合な条件はないだろう」と危機感を示した。今年は外国投資家に投資をよびかける「巡業」を行うほか、来年は外債発行を検討すると述べた。

 今年、ロシアは1999年以来の財政赤字に転落し、赤字幅は国内総生産(GDP)の7・4%に上るとみられている政府の対外債務は290億ドルだが、民間債務は4000億ドル以上にも膨らんでおり、民間企業や金融機関は外国金融機関との厳しい債務整理交渉を迫られている。政府としては、外債の発行で財政補填(ほてん)や民間企業の救済にあてる資金の調達に道筋をつけたい考えだ。

 98年のデフォルト(債務不履行)で底を打って以降のロシアは、GDP伸び率で年平均6%超の成長を遂げた。しかし、今年はマイナス4・5%とBRICsの中でも際だって落ち込む見通しだ。証券市場研究所のダニロフ所長は「石油・天然ガス収入に過度に依存する経済構造と、経済危機への政権の対応が後手後手にまわったことが最大の理由だ」と話す。

 むろん、ロシアはルーブル通貨の防衛に2000億ドルを使った今も総額3840億ドルの準備金を有し、借金財政に回帰しても98年のような破綻(はたん)は考えにくい。しかし、原油価格の上昇局面で積み立てた「予備基金」(推定1210億ドル)は今年中に財政補填に消えるとみられるなど、国庫の受ける打撃は決して小さくない。

 ダニロフ所長は「財政赤字が単年度で終わることはなく、予備基金を1年で使い果たして、外債を募る手法は外国の投資家に否定的な印象を与える。民間企業が債務整理を進めている中で、国が外国市場から資金を集めることになれば民間の交渉にも悪影響が出る」と警鐘を鳴らす。その上で「予備基金の段階的活用や国内での国債発行をまずは検討すべきだ」と指摘する。

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BRICsの中でも際立って落ち込む見通しなんですね。まぁ無茶な方向に走らなければ良いんですが。