趙紫陽氏の回顧録、トウ小平氏の功績に異議

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090517-00000580-san-int

 1989年の天安門事件で失脚した中国共産党元総書記、趙紫陽氏が極秘裏に残した肉声を基に出版された回顧録「Prisoner of the State(国家の捕囚)」に、欧米などのメディアの関心が高まっている。

 北京市の自宅に軟禁された趙氏が約30時間に及ぶ録音を行ったのは2000年前後。几帳面(きちょうめん)に番号が打たれた30本のテープは、ほとんどが原稿を読み上げる独白形式だ。英紙ガーディアン(電子版)によると、草稿の執筆は1993年ごろから始まった可能性が高いという。

 回顧録の中で趙氏は、李鵬元首相ら政敵に対する個人的な憤怒をさらけ出し、武力による民主化運動弾圧を「違法」と批判。議会制民主主義の導入も訴えている

 そして、トウ小平氏の功績とされている改革・開放政策の柱である人民公社解体、深センなど沿海4都市の経済特区指定を推進・発案したのは、トウ氏ではなく自分であると暴露しているのだ。

 「中国建国以来、幹部が党と体制をここまで直接批判したことはない」(米紙ワシントン・ポスト。欧米メディアが“正史”に対する挑戦と報じる内容だけに、テープの没収などを防ぐため、関係者は15年以上もの間、当局を欺くさまざまな方策を講じてきた。

 米誌タイム(電子版)によると、童謡や京劇のテープに録音、そのコピーを信頼できる親しい党高官数人に分散して託した。原本とみられるテープは書斎で、孫のおもちゃに紛れて隠されているのが見つかった。出版妨害を恐れ、刊行目録にも無題・匿名で記載する念の入れようだった。

 趙氏の政治秘書を務めた鮑トウ(ほうとう)氏はテープの声が本人のものであると断言。英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)に「まず英語版で出版されることで国際社会から認知される。中国政府も発禁処分にして信用性や存在を否定することができなくなる」と話している。(川越一)

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趙紫陽氏については
中国で一党独裁批判の声明=ネットで学者ら303人署名
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081211/1229009332
でとりあげました。

しかし
人権活動家・胡佳氏に懲役3年6月=言論活動で国家転覆扇動罪−中国
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080403/1207242307
で、取り上げた記事にも

党中央指導者(引退者含む)に対する個人批判と動静の暴露、内部文書に基づく高度な軍事情報の暴露、台湾独立の宣伝、身分を偽った取材はやめた方がいい」

とありましたが、大丈夫なんですかね。