クルド自治区からトルコへ原油を初めて輸出、イラク

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090602-00000011-cnn-int

トルコ・イスタンブール(CNN) 産油地帯を抱えるイラク北部のクルド自治区から1日、送油管を通じた隣国トルコへの原油輸出が開始された。自治区からの公式な石油輸出は初めてとしている。

自治区イラク中央政府は長年、自治区内の油田開発や輸出の権利で対立、自治区中央政府の意向を無視する形で多数の石油企業と独自の契約も交わしていた。しかし、自治区中央政府は今年5月、原油輸出利益の配分比率などで合意していた。昨年来の石油価格の激減で歳入減少に悩む中央政府が、妥協した形ともなっていた。

自治区アルビル州の油田からトルコへ輸出される日量は当面、4万バレル。将来的には最大で45万バレルへの増加を見込んでいる。自治区内の油田開発にはトルコ企業も参加している。

イラク全体の原油輸出量は現在、日量約180万バレル自治区からトルコへの原油輸出の売上額では、自治区政府がうち17%を得ることになった。

上はCNNですが、毎日新聞もあります。
イラククルド人自治区から原油輸出 中央政府と和解で
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090602-00000070-mai-int

 【カイロ和田浩明】イラク北部のクルド人自治区で03年のイラク戦争後初めて原油輸出が始まった。パイプライン経由で地中海岸のトルコ・ジェイハン港から積み出される。収益配分などをめぐる中央政府との激しい対立から難航していたが、1日にアルビルであった開始式典にはタラバニ大統領と自治政府のバルザニ議長が出席し、和解を演出した

 中央、自治両政府の緊張関係は、11年の駐留米軍撤退後の治安悪化要因として懸念されている。今回の輸出開始は、中央政府原油収入増を望んだため例外的に妥協が成立したとの見方もあり、長期的な対立緩和につながるかは不透明だ

 輸出はカナダとトルコの企業が共同開発したアルビル県のタクタク、ノルウェー企業が手掛けたドフーク県のタウケの両油田でスタートした。日量約10万バレルの見込み。

 AFP通信によると、バルザニ氏は式典で「歴史的な日で大きな前進。すべてのイラク人の利益となる成果だ」と述べ、原油輸出は中央、自治両政府の双方に有益だと強調した。

 両油田からの収入の88%は中央政府に入り、このうち17%を自治政府が受け取る取り決めだという。残りは開発企業分となる。

 自治政府は独自に外国企業と油田開発契約を結んできたが、中央政府は「違法」と主張、両者は激しく対立していた。5月に入って妥協が成立、中央政府が管理するパイプライン経由で輸出されることになった。

 中央政府側が自治区からの輸出を受け入れた背景には、昨年夏以降の原油価格の急落に伴う収入減があると見られる。原油収入は歳入の9割を占めるが、米ブルッキングス研究所によると5月の日産は241万バレルで、03年3月のイラク戦争開戦前のピーク値である250万バレルを下回る

 自治区ではアラブ首長国連邦(UAE)とオーストリアハンガリーの企業が天然ガスを採掘してトルコ経由の「ナブッコ・パイプライン」で欧州に輸出する計画を進めているが、中央政府のシャハリスタニ石油相は難色を示しており、今後対立が再燃する可能性もある。イラク原油の確認埋蔵量は1150億バレル(米エネルギー情報局)と世界有数だが、中央政府自治政府の対立などで開発が遅れている。

 ◇クルド人自治区とは

 クルド人はトルコ、イラク、イランなどの山岳地帯を中心に約2000万〜3000万人が分散して暮らし、「国家なき最大の民族」とされる。イラク国内にはトルコと国境を接する北部などに約400万〜600万人が居住。少数民族として抑圧され、旧フセイン政権下の88年、ハラブジャで化学兵器により約5000人が殺害された。イラク戦争後の05年に自治議会選挙が実施され、06年には北部3州で構成する自治政府が発足した。

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イラクの石油生産が最大だったのは、
http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF+%E7%9F%B3%E6%B2%B9%E7%94%9F%E7%94%A3+%E8%BC%B8%E5%87%BA&perpage=100&attr=&order=%40cdate+NUMD&clip=-1&navi=0 をみると、
2008/5ですね。
5月のイラク石油生産・輸出量、開戦以来最大に=石油相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080606/1212699922

2009/05には、
イラククルド人自治区の油田から原油輸出開始へ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090511/1242051946

クルディスタンからの輸出開始でイラク原油輸出能力は増大する。収入は全てイラク政府のものとなる。

とあったので、イラク政府が妥協したと言えるのかもしれませんが、

http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E3%82%A4%E3%83%A9%E3%82%AF+%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%83%89+%E7%9F%B3%E6%B2%B9+%E9%9F%93%E5%9B%BD&perpage=100&attr=&order=%40cdate+NUMD&clip=-1&navi=0
でみると、

韓国石油公社イラククルド地区で油田掘削へ
http://www.chosunonline.com/news/20090513000003

 韓国石油公社は12日、イラク政府の反対により本格的な開発が遅れていたイラク北部クルド地区のバジアン鉱区について、今年10月から掘削作業に着手することを発表した。これは、カナダの石油開発企業が最近、同鉱区から3キロほど離れた場所で最大埋蔵量42億バレルの大規模油田の掘削に成功したことを受け、クルド油田開発に反対してきたイラク中央政府がこのほど、原油の輸出許可方針を打ち出したことによるものだ。

 石油公社は、2007年クルド地区で確保した5鉱区のうち、公社が直接運営しているバジアン鉱区は今年10月に、サンガウ・サウス鉱区とクシタパ鉱区は2010年第1四半期-第3四半期中に掘削することにした。また、公社が株式の一部を保有しているサンガウ・ノース鉱区とハウラー鉱区も今年末に掘削が始まるものとみられる。石油公社は昨年9月、これら鉱区の運営のため、クルド地区のアルビルとスレイマニアに現地事務所を開設している。

ペ・ソンギュ記者

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

クルド側も盛りだくさんでやっていたので、どちらが妥協したと言えるのかと言う気もします。特にキルクークの問題ではクルド人側が妥協しているのではないでしょうか

追記:
新日石など、イラク油田に共同で入札へ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090227/1235690135
でもリンクした、
新たな段階に入ったイラク石油開発(pdf)
http://oilgas-info.jogmec.go.jp/pdf/2/2085/0808_01_inohara_iraq-oildevelopment.pdf
にいくつかの鉱区の名前は出ているようです。