日本にも滞在の元KGB要員 カナダの教会がかくまう (1/2ページ)

2009.6.4 13:05
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090604/amr0906041306007-n1.htm


追放期限が差し迫った2日、期限後の“保護”を申し出た教会から、自室をあてがわれたレンニコフ氏。薄暗がりの中で、何を思うのか=カナダ・バンクーバー(AP)

カナダに住む旧ソ連のスパイ組織、KGBの元要員(48)が3日、カナダからの強制追放の期限を迎えた。「特別保護」を申し出た教会がこの日までに、元要員をかくまったもようだが、強制追放は時間の問題だ。冷戦時代、東西両陣営がスパイ合戦を繰り広げた際、日本担当だった元要員。静寂に包まれた聖なる館で何を思うのか。

 フランス通信(AFP)によれば、この男性はミハイル・レンニコフ氏。露東部ウラジオストクへの追放期限が3日午前3時に迫っていたが、カナダ西部バンクーバーにある教会にかくまわれたもようだ。牧師は2日、「追放の恐れがなくなるまで安全を提供する」と語った

 カナダでは教会が一種、治外法権地帯となっており、教会に保護を求めた人々を政府が実力で追放することはあまりなかった。数カ月から数年間、かくまわれ続けている者もいるほどだ。

 レンニコフ氏は1997年、バンクーバーに移住し、地元の大学に入学した後、永住申請をした。だが2002年に不許可となる。KGB要員としての「過去」が問題視されたのだった。

 レンニコフ氏には今、妻と息子(17)がいる。息子は英語が堪能だがロシア語は不自由だ。祖国に帰れば、ロシア軍に徴兵され、「裏切り者」として手荒な扱いも受けかねない。このため今年3月、母子の滞在だけは許可された

 これに対し、カナダの野党議員23人は「レンニコフ氏は地域に計り知れない貢献をした」などと本人への善処も要求した。

 教会が積極的にかくまい、国会議員や地元市民も支援するレンニコフ氏は、カナダに不利益を与える人物ではないかもしれない。ただやはり、KGB要員としての「過去」が今後も障害となるのは間違いない。

 大学時代、日本語を勉強したレンニコフ氏は82年にKGB入りしている。冷戦末期の88年にKGBから脱退するまでの間、ソ連を訪問した日本人ビジネスマンの情報をソ連政府に提供したり、「情報協力者」だったソ連留学中の日本人留学生を手なずけていたこともあった。その経歴を隠したかどうかは不明ながら、95年から2年間、日本に滞在、得意の日本語で日本企業で勤務した経験もあるという。

 カナダ国境警備報道官は2日、今回の追放措置について、「教会に隠れる人物を許さない」と強調。一端は教会内に逃げ込んだ元要員は近く拘束、追放される見通しだ。

 レンニコフ氏は滞在を哀願しているものの、ウクライナからの米移民団体の幹部は、彼がKGB要員であったことを重大視し、次のよう語る。

 「秘密警察組織に属する者は、その活動についてよく知っているはずだ。また、独裁国家の犯罪目的のために自分が利用されるようなことがあってはならないとも自覚すべきだろう」

見出し「日本にも滞在」となっていますが、詳しいことは分かりませんが、一番の被害者は日本なんじゃないでしょうか?

過去記事探しても見つかりませんでした。
http://news-net.ddo.jp/cgi-bin/estseek.cgi?phrase=%E3%83%AC%E3%83%B3%E3%83%8B%E3%82%B3%E3%83%95+%E3%82%B9%E3%83%91%E3%82%A4&perpage=100&attr=&order=%40cdate+NUMD&clip=-1&navi=0
まぁスパイ防止法もない日本では何も出来ないのかもしれませんが、「露東部ウラジオストクへの追放期限が3日午前3時」というのがどういう風に決まったのかすごく興味があります。このままカナダに滞在させておいて日本の状況が整ったら日本に引き渡すと出来ないんでしょうか。

追記:
諜報機関トップに前首相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20071007/1191788781
より

 【旧ソ連・ロシア関係の主なスパイ事件】

 ■昭和62年5月 米軍横田基地事件

 米軍横田基地従業員や軍事評論家ら日本人4人が、米軍戦闘機などの技術指示書を在日ソ連情報機関員らに流していたとして、警視庁が逮捕。

 ■同年7月 ポクロフスキー事件

 東京都内の航空機器メーカー幹部が、自社の航空機器技術資料をソ連通商代表部代表代理のポクロフスキーに横流ししていたとして窃盗と業務上横領容疑で警視庁に書類送検された。

 ■平成3年4月 シランコフ事件

 在日ソ連通商代表部のシランコフ部員から依頼を受けた医科大の中国人留学生が、オランダの出版社が発行する、がんとエイズに関する論文抄録誌等を無断で複写して提供、報酬を得ていたとして、警視庁が著作権法違反容疑で留学生を書類送検

 ■4年5月 ダビードフ事件

 在日ロシア通商代表部のダビードフ代表代理が、電子部品専門商社役員に対し、当時の対共産圏輸出調整委員会(ココム)規制品である半導体モリーなどの入手を働きかける。警視庁は役員を書類送検、ダビードフ代表代理は出頭要請を拒否して帰国。

 ■9年7月 日本人なりすまし事件

 ロシアの対外情報局(SVR)に所属するアジア系ロシア人とみられる男が、福島県内で失跡した日本人男性になりすまし、昭和42年から約30年間もスパイ活動を行っていたことが発覚。警視庁は男の逮捕状を取り国際手配。

 ■同年11月 産業スパイ事件

 SVRの機関員が、東京近郊のフリーの英文翻訳家をエージェント(協力者)に仕立て、日本のハイテク技術に関する産業スパイ活動をしていた。情報収集していた4人はすでに帰国。翻訳家は書類送検された。

 ■12年9月 ボガチョンコフ事件

 防衛庁防衛研究所に勤務する海上自衛隊三佐が、ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)に所属する在日ロシア大使館付武官、ビクトル・ボガチョンコフ海軍大佐に、防衛庁の戦術概説などの秘密資料を渡したとして、警視庁と神奈川県警が逮捕。ボガチョンコフ大佐は出頭要請を拒否して帰国。

 ■14年3月 シェルコノゴフ事件

 GRU所属のロシア通商代表部のアレクセイ・シェルコノゴフ元部員が、航空自衛隊OBの技術コンサルタント会社社長に対して、防衛秘密にあたる米国製戦闘機用ミサイルの関連資料を要求していた。すでに帰国していたので書類送検