中央アジアが韓国にラブコール(上)

経済危機のカザフスタン、覇権の野心を燃やすウズベキスタン

投資するなら今…隣の中国は信用できず


先月31日、観光客がカザフスタンの首都アスタナの発展計画を盛り込んだ模型を見物している。1997年に首都に制定されたアスタナは、莫大(ばくだい)なエネルギー資源を土台として好況を謳歌(おうか)してきたカザフスタン経済の象徴だ。しかし、昨年の世界的な金融危機と資源価格の暴落で経済状態が悪化した同国は、このところ韓国をはじめとする外国企業の投資を待っている。/アスタナ(カザフスタン)=イ・ヨンス記者

 世界的な資源戦争で最後の「一山」となっている中央アジアが、韓国に向け手招きをしている。特に中央アジアの盟主の座をめぐり競争してきたカザフスタンウズベキスタンは、韓国企業に対し積極的に「求愛」している。両国の経済状況は全く異なる。しかし、第2の跳躍のためには韓国の積極的な投資が必要だ、と両国の関係者は語る。

 中央アジア最大の資源大国であるカザフスタンには、しばしば「メンデレーエフ周期表上のあらゆる資源を持つ祝福された土地」という修飾語が付く。確認済みの埋蔵量基準で石油は398億バレル(世界第9位)、天然ガスは3兆立方メートル(同第11位)が埋まっている。また亜鉛タングステンは世界で最も多く、ウラニウム・銀・クロムは世界で2番目に多い。豊富な資源を基盤として、中央アジアで最も開放的な経済政策を展開してきたカザフスタン政府は、 2000年から07年にかけて年平均10%の経済成長を成し遂げた

 しかし、昨年全世界を襲った世界的な金融危機と国際的な原油価格の下落が重なり、好調だった景気が大打撃を受けた。海外からの莫大(ばくだい)な借入金で経済を運営するというシステムが崩壊し、主な銀行が次々とデフォルト(債務不履行)宣言を行った。不動産市場も凍りついた。国際通貨基金IMF)は今年の経済成長率をマイナス1%と見込んでいる。

 カザフスタンは今回の危機を通じ、資源開発だけに依存した経済構造がどれほど脆弱(ぜいじゃく)かを痛感した。その後、「経済の多様化」を国是に掲げ、情報技術(IT)と製造業に長けた韓国企業の進出を期待している。経済の中心地、アルマトイの地域金融センター(RFCA)のアルケン・アリスタノフ委員長は先月27日、「昨年カザフスタンに進出した(韓国の)国民銀行を誇りに思う。まさに今、韓国の投資家にとって良いチャンスだ」と語った。また韓国大使館の関係者は、「経済危機の前まで石油で稼ぎ出したオイルマネーで大いに好況を呈し、韓国のことをやや無視するような雰囲気があふれていたのと比べると、状況は大幅に変わった」と語った。

アルマトイカザフスタン)・タシケント−ナボイ(ウズベキスタン)=イ・ヨンス記者
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

中央アジアが韓国にラブコール(下)

 カザフスタンが韓国に注目する本当の理由は別にある。1500キロにわたし国境を接している中国の「攻撃的な」進出が恐ろしいからだ。韓国大使館駐アルマトイ分館のイ・ヤング総領事は、「カザフスタンの油田の20%が既に中国企業の手に渡っている状態。中国の労働者が洪水のように流れ込めば、人口が 1560万人に過ぎないカザフスタンの急速な“中国化”は、火を見るより明らかだ」と語った。カザフスタン政府としては、地政学的な利害関係を持たない韓国が経済協力のパートナーとしてより魅力的というわけだ。

 カザフスタンに進出した韓国石油公社のユ・サンス所長は、「韓国と中国が激しい受注合戦を繰り広げた25億ドル(約2454億円)規模のバルハシュ火力発電所建設事業権を、カザフスタン李明博(イ・ミョンバク)大統領訪問時に韓国企業に与えたのも、こうした流れ」と解釈した。

 一方、ウズベキスタンは状況が異なる。もともとシルクロードの中心地だった首都タシケントは、ソ連時代にもソ連5大都市の一つに挙げられていた。しかし1991年の独立以後、閉鎖的な経済政策を取ったことで、2000年以降、それまで「ニ等国家」と侮っていた隣国カザフスタンに追い越された。しかし、開放度の劣る金融システムと後進的な経済構造のお陰で、逆に世界的な金融危機の影響はほとんど受けなかった

 ウズベキスタンは、カザフスタン経済がよろめいているすきを突き、以前の中央アジアの覇権国としての地位を回復しようという野心を持っている。ウズベキスタン東方研究所のエルダル・エルチ・ラズロフ韓半島朝鮮半島)センター長は、「(韓国の)“漢江の奇跡”のことは全国民がよく知っており、イスラム・カリモフ大統領も韓国に好意を持っている。両国は経済発展の分野で大いに助け合うことができる」と語った。

 ウズベキスタンはまだ経済政策が閉鎖的で、外貨の両替や送金に制限が多い。また、ビザの発給が難しく、事業環境は劣悪といえる。「とはいえ、もともと製造業の基盤が弱く、何であろうと持ち込んで売れば利益を上げることができるのが魅力」と語るのは、タシケント大韓貿易投資振興公社(KOTRA)韓国経済センターのイ・ミョング所長。また、ウズベキスタン中央アジアの中心部に位置しており、この地域全体を念頭に置いた産業拠点としての魅力も大きい。何より大きな資産の一つは、ウズベキスタン人が韓国に対し無限の親しみを示していることだ。

 明知大のオ・ジョンジン教授は、「中央アジア地域はヨーロッパとアジアを結ぶ物流の要衝にして、エネルギーと鉱物資源の宝庫だ。今こそ、中央アジア諸国と多角的関係を強化すべき時」と語った。

アルマトイカザフスタン)・タシケント−ナボイ(ウズベキスタン)=イ・ヨンス記者
朝鮮日報朝鮮日報日本語版

カザフスタンと韓国と言うと
【韓国】イ大統領、カザフ到着、ナザルバエフ大統領と単独晩餐
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090514/p7
というのがありました。また他にも
カザフ・カシャガン油田 資源ナショナリズム苦悶 技術乏しく外国頼み
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080120/1200816430
とありました。