イランなんでこうなってしまったのか…

新しい情報はあちこちで読めるでしょうから、古いのを見てみます。
6/11
<イラン>大統領選過熱 互いに「うそつき」呼ばわり 街頭ではお祭り騒ぎ
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090611-00000003-maiall-int

 【テヘラン春日孝之】イラン大統領選(12日投票)は11日、選挙戦最終日を迎える。保革の4人が出馬しているが、保守強硬派のアフマディネジャド大統領と、改革派のムサビ元首相の対決の構図だ。候補者のテレビ討論、支持者の街頭などでの選挙運動は過熱する一方で、過去に例のない高投票率になる可能性がある

 今回選挙で初めて導入された候補者総当たりのテレビ直接討論では、互いに「うそつき」呼ばわりし、過去の政権の「暗部」を暴露するなど中傷合戦を展開。高位聖職者が声明で「イスラムや革命体制に反することは言うな」と警告した。

 こうした「前例のない自由討論」に触発されてか、街頭や広場ではお祭り騒ぎの選挙戦が繰り広げられた

 特にムサビ氏支持の若者たちが、普段なら取り締まり対象の奇抜なファッションで街に繰り出し、繁華街の目抜き通りで車のスピーカーから大音量で音楽を流して踊り回るなど、イランでは異例の光景が見られた。

 05年の前回選挙では若者を中心とした無関心層の棄権がアフマディネジャド政権誕生の一因となっただけに、ムサビ陣営はテヘランで「人間の鎖」を縦横につなぐパフォーマンスを組織化するなど、投票行動を呼び起こそうと懸命だ。

 一方、大統領支持の集会にも大勢の市民が参集。保守強硬派のケイハン紙が1面大見出しで「前例のない国民の津波が(大統領再選という形で)決着をつける」(9日付)と打てば、改革派のエテマド紙が翌10日に「イランの街頭に改革派の津波」と対抗するなど保革激突のし烈な選挙戦になっている。

【関連ニュース】
イラン大統領選:相手呼び捨て、激しい応酬 有力2候補
イラン大統領選:大統領と元首相、支持二分…聖地で聞く
イラン大統領選:改革派が分裂 政権奪取の障害に
モンゴル:大統領選、元首相陣営が勝利宣言
図説:米大統領

ここら辺までは非常にいい感じだったんですが。

Al-Ahram紙(東京外語大による日本語訳)
イラン各地がアフマディーネジャードを選択 (Al-Ahram紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20090616_172130.html

イラン各地がアフマディーネジャードを選択
2009年06月14日付 Al-Ahram紙

数ヶ月にわたる期待の末、ついに国民再生の瞬間が到来した。忘れ難き永遠なるホルダード月22日〔6月12日〕、国民は投票所に足を運び、自らの誇り高き歴史の黄金のページに大いなる伝説を書き込んだのである。

 85%という投票率を記録したイラン国民の偉大なる伝説によって、イラン人は自らの堅固で誇りに満ちた姿を再び〔世界に〕示した。彼らは固き決意のもと、自らが求める理想の崇高なる地平に視線を定め、力強く国の建設に邁進することを決断したのである。

 全国のイラン紙記者らは、開票の結果、アフマディーネジャード博士が今回の選挙で勝利を収めたとの吉報を各地から伝えている。

ホラーサーンでは有権者の83%が投票

 ホラーサーン・ラザヴィー州選挙本部長は、同州の投票率が83.98%であったことを明らかにした。

 ガフレマーン・ラシード本部長は、「集票の結果、アフマディーネジャード氏70.22%、ムーサヴィー氏27.94%、レザーイー氏1.4%、キャッルービー氏0.42%の票を獲得した」と発表、さらに「州の25県67郡に全2967箱の投票箱が設置され、計307万8414票が投じられた。集計の結果、マフムード・アフマディーネジャード氏221万7597票、モフセン・レザーイー氏4万4213票、メフディー・キャッルービー氏1万3509票、ミール・ホセイン・ムーサヴィー=ハーメネ氏88万2443票を獲得した」と述べた。
〔※以上の数字は、内務省の最終発表と多少異なるので注意願いたい。以下も同様〕

アフマディーネジャード、セムナーン州でも77%を獲得して絶対的勝利を収める

 マフムード・アフマディーネジャードはセムナーン州での票の集計の結果、77%の市民から票を獲得したことが分かった。

 セムナーン州選挙本部のアフマド・アジャム本部長は、次のように発表した。「セムナーン州で投じられた全38万3306票中、アフマディーネジャード29万5184票、ムーサヴィー7万7754票、キャッルービー1696票、レザーイー4440票を獲得した」。

イーラーム州でもアフマディーネジャードが64%の票を獲得

 アフマディーネジャードはイーラーム州でも全体の64%以上の票を獲得した。

 イーラーム県のヌーロッラー・アルジョマンディー知事は、「イーラーム州全体で30万7615票の投票があり、そのうちマフムード・アフマディーネジャードが19万8203票、ミール・ホセイン・ムーサヴィーが9万5254票を獲得した」とし、さらに「モフセン・レザーイーが6703票、メフディー・キャッルービーが7455票を獲得した」と述べた。

ギーラーン州では148万3000票以上が投票

 ギーラーン州政治・治安担当副知事は、「第10期大統領選挙ではギーラーン市民の94%が選挙に参加し、投票総数は148万3263票に上った」と述べた。

 ゴラームアリー・レズヴァーニー副知事はその上で、「アフマディーネジャード99万8576票(68%)、ムーサヴィー45万3806票(30%)、レザーイー1万1390票(0.7%)、キャッルービー7815票(0.5%)をそれぞれ獲得した」と述べた。

アフマディーネジャード、ハメダーン州では75%の票を獲得

 ハメダーン州全県の集計作業の終了に伴い、アフマディーネジャードが75%の票を獲得したことが分かった。

 開票作業の結果、全100万9353票の有効票のうち、マフムード・アフマディーネジャードが76万5183票(75%)を獲得、その他ミール・ホセイン・ムーサヴィー=ハーメネは21万8436票(21%)、モフセン・レザーイー=ミールガーエドは1万3117票、メフディー・キャッルービーは1万2028票をそれぞれ獲得した。これらの票は、1211カ所の投票所の票を集計したもの。

アフマディーネジャード、ザンジャーン州では75.89%の票を獲得

 ザンジャーン州の市民は75.89%の票をアフマディーネジャードに投じ、同氏を大統領に再選した。ホルダード月22日〔6月12日〕の選挙では、同州からは58万5721票の投票があり、そのうちアフマディーネジャードは44万4480票を獲得した。ミール・ホセイン・ムーサヴィーは12万6561票(21.61%)を獲得して第2位、モフセン・レザーイーが7276票(1.24%)で第3位、メフディー・キャッルービーが2223票(0.38%)で第4位となった。

エスファハーン州市民の68%がアフマディーネジャードに投票

 エスファハーン州では2280カ所の投票所で投票が行われ、開票の結果68%の市民がアフマディーネジャードに投じたことが分かった。

 それによると、開票された263万7253票のうち、マフムード・アフマディーネジャードが179万8896票(68%)、ミール・ホセイン・ムーサヴィーが74万6513票(28%)、モフセン・レザーイーが5万1568票(0.019%)、メフディー・キャッルービーが1万4912票(0.0056%)を獲得した。

南ホラーサーン州の大多数もアフマディーネジャードに投票

 南ホラーサーン州選挙本部長代理の発表によると、同州の大多数の市民がマフムード・アフマディーネジャードに投票したことが分かった。

 フーマーン・バフラーミー代理は、「アフマディーネジャード博士が同州の大多数の票を得て、第10期大統領選での勝利を確実にした」と語った。同氏はその上で、「アフマディーネジャードは南ホラーサーン州の各村・各県で85%以上の票を獲得、ビールジャンドでは得票率は73%であった」と述べた。

アフマディーネジャード、コフギールーイェ・ブーイェルアフマド州でも70%の票を獲得

 コフギールーイェ・ブーイェルアフマド州での開票の最終結果によると、マフムード・アフマディーネジャードは25万4775票、率にして70%以上の票を同州の市民から獲得した。

 コフギールーイェ・ブーイェルアフマド州選挙本部のケイガバード・アリー・バーバーイー本部長は、「開票の正式な最終結果によると、ミール・ホセイン・ムーサヴィー、モフセン・レザーイー、メフディー・キャッルービーの各候補はそれぞれ、9万9379票、8531票、4325票を獲得し、アフマディーネジャードの後塵を拝した」と語った。

ヤズドでは投票率ほぼ100%

 ヤズド州選挙本部のメフディー・タグヴァーイー本部長代理は、同州の市民のほぼ100%が選挙に参加したとし、「全投票中、マフムード・アフマディーネジャード博士が56%、ミール・ホセイン・ムーサヴィー技師が42%の票を獲得した」とし、さらに「残りの2%をメフディー・キャッルービーとモフセン・レザーイーの各候補が獲得した」と述べた。

ガズヴィーン州の過半数の票もアフマディーネジャードに

 マフムード・アフマディーネジャード博士はガズヴィーン州で第10期大統領選挙の過半数の票を獲得、得票率72.57%を記録した。 ガズヴィーン州第10期大統領選挙広報本部の報告によると、マフムード・アフマディーネジャードが69万2355票中、49万8061票(72.57%)を獲得した。ミール・ホセイン・ムーサヴィーは17万7542票(25.87%)、モフセン・レザーイーは7978票、メフディー・キャッルービーは2690票を獲得した。今回の選挙で、ガズヴィーン州では883カ所の投票所で投票が行われ、そのうち638カ所が固定投票所、245カ所が移動投票所であったとみられている。

アフマディーネジャード、北ホラーサーン州で独走

 北ホラーサーン州での第10期大統領選挙の最終結果が発表された。

 北ホラーサーン州選挙本部のモハンマド・エブラーヒーム・カーゼミー本部長は、同州で投票した有権者の数が46万4172人、率にして87.24%を記録したことを指摘した上で、「マフムード・アフマディーネジャードが34万1107票(74%)、ミール・ホセイン・ムーサヴィーが11万3226票(24.55%)、モフセン・レザーイーが4129票(0.91%)、メフディー・キャッルービーが2467票(0.54%)を獲得した」と述べた。

 同氏はまた、無効票は172票だったとした。北ホラーサーン州では有権者数が53万1870人で、666カ所の投票所で投票が行われた。

アフマディーネジャード、チャハールマハール・バフティヤーリー州でも第1位

 チャハールマハール・バフティヤーリー州の政治・治安担当副知事によると、マフムード・アフマディーネジャードが同州で獲得した票の数は、36万94票であったのに対して、ミール・ホセイン・ムーサヴィーは10万4307票であったと述べた。

 モラード・カーゼミー副知事はその上で、「同州では、有権者の85%、56万3238人中49万2714人が第10期大統領選挙に参加した」とした。また、モフセン・レザーイーは2万2207票、メフディー・キャッルービーは1106票を獲得したとのことだ。

ゴム州の大多数もアフマディーネジャードに投票

 ゴム県知事で、ゴム州選挙実施本部長を務めるアリー・ニーカーン・ゴンミー氏は、同州では第10期大統領選に91.5%の市民が参加したと述べ、「マフムード・アフマディーネジャードは今回の選挙で、72%の票を獲得した」と語った。

 同氏はその上で、「アフマディーネジャードは59万9015票中、42万2450票を獲得、対してミール・ホセイン・ムーサヴィーは14万7467票(25%)、モフセン・レザーイーは1万6200票(3%)、メフディー・キャッルービーは2314票(0.3%)をそれぞれ獲得した」とした。

ブーシェフル州では投票率85%

 ブーシェフル州知事は、「同州の有権者58万822人中、85%が第10期大統領選挙に参加した」と述べた。

 アブーターレブ・シャフガト知事はさらに、「ブーシェフル州で投票に参加した48万9000人中、61.3%はマフムード・アフマディーネジャードに投票した。ミール・ホセイン・ムーサヴィーは36%の票を獲得して第2位、モフセン・レザーイーは1.9%、ホッジャトルエスラーム・メフディー・キャッルービーは0.8%を獲得した」とした。

アフマディーネジャード、フーゼスターン州では64%の票を獲得

 フーゼスターン州選挙本部長は、「マフムード・アフマディーネジャードは第10期大統領選挙で、フーゼスターン州市民の64%の票を獲得した」と述べた。

 アリー・アスガル・ヴァヒーディー氏はその上で、「ミール・ホセイン・ムーサヴィーはフーゼスターン州で27%の票を獲得した」とし、さらにその他2名の候補者であるモフセン・レザーイー=ミールガーエドとメフディー・キャッルービーはそれぞれ、6.8%、0.8%を獲得したことを明らかにした。

アフマディーネジャード、コルデスターン州でも勝利

 コルデスターン州のエスマーイール・ナッジャール知事は、「ホルダード月22日の選挙では、コルデスターン州の有権者のうち64.7%が選挙に参加した。94万3818人の有権者中、61万818票が投じられた」と語った。

 この選挙で、マフムード・アフマディーネジャードは31万5689票(50.05%)を獲得、ミール・ホセイン・ムーサヴィーは26万1772票(46.07%)、モフセン・レザーイーは7140票(1.46%)、メフディー・キャッルービーは1万3862票(2.12%)をそれぞれ獲得した。

スィースターン・バルーチェスターン州では投票率76%

 スィースターン・バルーチェスターン州の76%の市民が選挙に参加した。

 スィースターン・バルーチェスターン州選挙本部のモハンマドザーデ・ファラーハーニー本部長はこのように述べ、さらに「ミール・ホセイン・ムーサヴィーが52万5782票(53.49%)を獲得、マフムード・アフマディーネジャード大統領が43万2433票(43.99%)、メフディー・キャッルービーが1万2504票(1.27%)、モフセン・レザーイーが6616票(0.6%)をそれぞれ獲得した。スィースターン・バルーチェスターン州の投票総数は98万2920票で、5585票が無効票、97万7335票が有効票だった」と語った。

アフマディーネジャード、ケルマーン州では77.74%の得票率

 マフムード・アフマディーネジャードは第10期大統領選挙で、ケルマーン州で77.74%の票を獲得した。

 ケルマーン州選挙実施本部のジャヴァード・キャマーリー本部長は87.04%という前例のない投票率となったことを明らかにし、「アフマディーネジャードは投票総数151万468票のうち、117万4391票を獲得、ミール・ホセイン・ムーサヴィーは31万9724票(21.13%)、モフセン・レザーイーは1万2059票(0.8%)、メフディー・キャッルービーは4994票(0.33%)をそれぞれ獲得した」と述べた。 同氏はまた、有権者の総数は173万8千人だったことを明らかにした。

ケルマーンシャー州の投票率、79.88%

 ケルマーンシャー州選挙本部のホッジャトッラー・ダミヤード本部長は、「同州市民の79.88%が第10期大統領選挙に参加し、マフムード・アフマディーネジャードが57万3568票、ミール・ホセイン・ムーサヴィーが38万4188票、モフセン・レザーイーが1万1258票、メフディー・キャッルービーが1万798票を獲得した。ケルマーンシャー州の有権者数は123万1672人で、そのうち79.88%の有権者が選挙に参加した」と述べた。

ホルモズガーン州では投票率82%

 ホルモズガーン州選挙本部長は、「ホルモズガーン州では82.26%の有権者が第10期大統領選挙に参加した」と述べた。

 モハンマド・ハサン・ポルアーヴァル本部長は同州の開票結果について、次のように明らかにした。「有権者91万9908人中、75万6804人が第10期大統領選挙に参加し、投票率は82%となった。997カ所の投票所に投じられた75万6804票中、49万5211票(65.43%)がアフマディーネジャードに投じられ、24万4060票(32.24%)がミール・ホセイン・ムーサヴィー=ハーメネに投じられた。モフセン・レザーイーは6730票(0.88%)、メフディー・キャッルービーは5072票(0.67%)を獲得した」。

ゴレスターン州では59.8%がアフマディーネジャードに投票

 ゴレスターン州選挙本部書記は、「第10期大統領選挙のマフムード・アフマディーネジャード候補が87万9230票中、最大の59.8%を獲得した」と述べた。

 セイエド・ガーセム・ホセイニー書記は、「アフマディーネジャードは51万8303票、ミール・ホセイン・ムーサヴィー=ハーメネは33万1482票(38.24%)、メフディー・キャッルービーは1万892票(1.26%)、モフセン・レザーイーは6054票(0.7%)をそれぞれ獲得した」と語った。

関連記事(内務省、大統領選挙の結果を発表:キャッルービー、4候補中、第「5」位)
原文をPDFファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る

(翻訳者:斉藤正道)
(記事ID:16709)

アフマディネジャド大統領当選には次のような記事もあります。
貧富の格差が情報格差にも、批判の目育たず…イラン大統領
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090613-00000780-yom-int

 【テヘラン=宮明敬】イラン大統領選における選挙運動の盛り上がりと保守強硬派アフマディネジャド大統領の予想外の大勝は、イラン社会の深刻な亀裂を改めて見せつけた。

 都市部では選挙戦中、政治的自由や社会の変革を求める若者や知識人が改革派のムサビ元首相を熱狂的に支持したが、全土では、自由の欠如よりも、イスラム革命体制の矛盾である貧富の格差に憤る人々が多数を占めたという現実である。

 「大統領のお陰で、我々の生活は向上した」。テヘラン南部のモスクで投票を終えた建設作業員サマド・ザムザムさん(39)は、現職に投票したと公言した。

 24歳の女子神学生は「(大統領を非難する)欧米のマスコミは真実を伝えていない」と批判した。

 首都テヘランでも、南部は低所得者層が多い地区として知られる。裕福な層が多く、選挙戦終盤でムサビ支持運動が広がった北部や中部とは様相を異にする

 貧富の格差は情報格差も生む。衛星テレビを見る経済的余裕のない人々に、政権に対する批判的な目は育ちにくい。「なんとか暮らしていけるのも大統領のお陰」と語った52歳の寡婦は「核問題や外交なんて私には分からない」と告白した。

 アフマディネジャド大統領が貧困層に支持されるのは、金持ち批判や、受け取った陳情の返書に現金を同封したり、食糧難の地区にジャガイモを配給したりという、実に即物的大衆迎合主義にある。

 大統領は選挙戦の終盤で、その最後の切り札を出した。改革派の重鎮で、最高指導者の任免権を持つ「専門家会議」の議長を務めるラフサンジャニ元大統領を「分を越えた分け前を取った者は、罰せられなければならない」と糾弾したのだ。

 それは、富裕層批判にとどまらず、体制の中心にいる人物に矢を放ったことになり、大衆の拍手喝采を浴びた。「あの糾弾で得票を積み上げたのは間違いない」と地元記者は分析する。

 だが、大統領の選挙戦略は一歩間違えば、自身の命取りになりかねない。貧富の格差が厳然と存在する事実を突きつけることは、30年に及ぶ革命体制が今も「社会的公正」を実現できないと告白しているにほかならない。ラフサンジャニ師糾弾と合わせ、体制批判の「レッドラインを越えた」との見方もあるからだ。

 歯に衣着せぬ言動で国際的孤立を招いたアフマディネジャド大統領の2期目は、内政でも危ない綱渡りが続くことになろう

まぁなんとも難しいところなんですが、やり直ししても果たしてムサビ氏が勝つ可能性ってあるのかなとも思います。またムサビ氏がもし勝ったにしても、
イラン騒乱 改革派指導者ムサビ氏 かつては革命“本流”急進派
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090620-00000105-san-int

 イラン大統領選で敗れたムサビ元首相が、選挙で不正があったと訴える改革派による抗議活動の象徴的存在となっている。支持者が「イランのガンジー」と期待を寄せる67歳は、かつては急進的な姿勢で知られた人物だ。アフマディネジャド大統領の強硬路線に対する静かな抵抗の背後には、イラン革命の“本流”としての自負がちらつく

 1989年に憲法改正で首相職が廃止されて以降、政治の表舞台から姿を消していた。大学で建築学を修めたムサビ氏はその間、建築や絵画に没頭した。

 国際紙、インターナショナル・ヘラルド・トリビューンはその人物像について、「物静かで思慮深く、眠くなるような話し方をする。最も熱烈な擁護者でさえ、カリスマ性がほとんどないと認めている」と伝えている。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)も「正直で能力があるとの評判がある」としているが、穏健な自由主義者とみるのは早計だ。

 ムサビ氏は1979年、当時の最高指導者のホメイニ師支持学生団が米大使館を占拠し、外交官らを人質に取った事件の正当性を主張81年、ホメイニ師の後ろ盾で首相に就任した後も急進的な姿勢が目立った。イラン・イラク戦争(80〜88年)終結にあたっては、西側諸国への復興支援要請を「革命の理想を裏切る行為だ」として拒んだ

 戦時中は国家による経済統制を推進し食糧の配給制度を実施したが、当時大統領だった現最高指導者のハメネイ師としばしば衝突。インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙は「2人の立場は変わったが、両者の敵意は残ったままだ」と指摘している。

 同紙によると、ムサビ氏は近親者に「引き返すことのできない道を選び、国のために死ぬ覚悟ができている」と語ったという。当局がデモ隊鎮圧のために大規模な武力を投入すれば民衆の怒りが増幅し、体制の脅威になりかねない。かつてホメイニ師のもと、イラン革命の“本流”を歩いたムサビ氏にとって体制の崩壊は受け入れ難い。それが支持者らに「平和な抗議活動」を呼びかける一因ともささやかれている。(川越一)

【関連記事】
・イラン騒乱 「再投票だけが解決策」とノーベル平和賞エバディさん
・イラン強硬派民兵組織「バシジ」は対イラク戦争の志願兵が変質
・イランのハメネイ師、金曜礼拝で演説 「不正はありえない」
・イラン最高指導者の「最も邪悪」発言に 英が不快感
・「イラン抗議デモの死者10人」 国際人権団体が発表

と別に欧米にとって好都合な政権が出来るとは限りません。

ただ言えることは、選挙で誰が選ばれるかによっては命を賭けてでも暴動に訴えなければいけないほど、政治体制が変わるという社会そのものが問題なんでしょうね。投票の前から暴動が起こったりしなかったので、こんなことになるとは思ってなかったのですが。しかしまぁ日本はその点恵まれているなぁとは思います。

追記:
アフマディネジャドは世界秩序の変化を呼びかけた。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090423/1240502625
とかは良い事を言ってるとおもうのですが、イランではこういうイメージという事なのでしょうか。