イラン騒乱 ハメネイ師とラフサンジャニ師が支持奪い合い

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090625-00000522-san-int

 【カイロ=村上大介イラン大統領選後の混迷をめぐり、強硬保守派に傾く最高指導者ハメネイ師と、これに対抗する穏健保守派の実力者ラフサンジャニ師が、イスラムシーア派聖地コムの高位法学者たちの支持を取り付けようと舞台裏でつばぜり合いを展開しているもようだ。ベラヤティファギ(イスラム法学者による統治)体制を取るイランでは、有力法学者の支持を得ることは、自らの立場の正当性を訴える「裏付け」となるからだ。

 24日付の汎アラブ紙アッシャルクルアウサト(ロンドン発行)は、複数の消息筋の情報として、大統領選の結果を審査している護憲評議会が、コムのアヤトラ(高位法学者)らに代表を送り、選挙が「正しく行われた」と公に支持を表明するよう説得に動いていると報じた

 だが、同紙によると、多くの法学者たちは慎重な姿勢を示し、約50人の法学者は、最高指導者に対して、ムサビ元首相ら改革派の訴えを真剣に検討するよう求める書簡を出した。とりわけ、1980年代の革命初期に護憲評議会議長を務めた大アヤトラ、ゴルパエガニ師は護憲評議会のジャンナティ現議長からの密使に対し、「政治から超越し、特定勢力に加担せず、公平な判断者に徹せよ」と諭したという。

 イスラム教には、キリスト教のような「聖職者」はいないが、少数派のシーア派は歴史的に独特の展開を示し、スンニ派にはないアヤトラ(神の徴=しるし=)や大アヤトラ(大いなる神の徴)と呼ばれる高位法学者が信徒たちを指導し、その影響力は大きい。これらの高位法学者は長い研鑽(けんさん)の結果、周囲からその深い宗教的知識や見識を認められ、アヤトラを名乗るようになるため、イスラム体制下においても権力の支配下にはなく、一部には、大アヤトラだった革命指導者ホメイニ師のベラヤティファギ論を認めない者すらいる

 最高指導者ハメネイ師(アヤトラ)にとって、こうしたコムの宗教界の大勢から明確な支持を得られれば、今回の危機で、改革派鎮圧に向けた「正当性」を宗教的にも得ることになる

 しかし、22日付の同紙によると、改革派のムサビ元首相を支援する穏健保守派の重鎮、ラフサンジャニ元大統領もコムを訪れ、革命防衛隊など強硬保守派で周囲を固めたハメネイ師のやり方に批判的な有力法学者らと会談、ハメネイ師に再投票を受け入れるよう圧力を加えるよう協議したという。

 ラフサンジャニ師は最高指導者の監督・罷免権を持つ専門家評議会の議長を務めているが、評議会は同師を支持する議員が過半数を占めたとの見方もあり、ラフサンジャニ師は専門家評議会招集の可能性もちらつかせながら、ハメネイ師に水面下の圧力を加える狙いのようだ。体制側は、改革派デモに参加したラフサンジャニ師の娘ら親族計5人を一時拘束したが、同師の動きを察知しての警告だった可能性がある

【関連記事】
・イラン騒乱 ハメネイ師「降伏せず」 選挙結果の正当性強調
・イラン騒乱 イラン石油省次官が突然辞任 
・イラン騒乱 「これはクーデターだ」 マフマルバフ監督
・イラン騒乱 カギを握る実力者ラフサンジャニ師 不気味な沈黙続く
・イラン騒乱取材の米紙記者を拘束

ベラヤティファギというのは、ホメイニー師の始めたベラーヤテ・ファギーフ体制とかいわれるやつですね。しかしイランで一番えらいのはマルジャエ・タクリード(模倣の源泉: 複数の可能性あり)だと読んだんですが、出てきませんね。