ポリネシアの核実験被曝、訴え退ける

http://www.asahi.com/international/update/0626/TKY200906260326.html

2009年6月26日22時22分

 【パペーテ仏領ポリネシア)=塚本和人】南太平洋のフランス領ポリネシアの核実験場で働いていた元労働者らが、被曝(ひばく)により健康被害を受けたとして仏政府などに損害賠償を求めた訴訟で、タヒチ島パペーテ労働裁判所は25日、原告らが定められた期間内に労災認定の申請をしなかったなどとして、訴えを退ける判決を言い渡した

 ポリネシアで初の「被曝訴訟」だったが、判決は核実験と健康被害との因果関係の判断に踏み込まなかった。ただ原告の一部について、専門家に因果関係を調べさせるよう仏政府に命じた。

 フランスでは同日から、核実験被害者への補償をめぐる新法の審議が始まっており、裁判所は因果関係などの判断を事実上、先送りした。

 原告はムルロア環礁にあった核実験場の元労働者のうち生存者3人と、死亡した5人の遺族。60年代から90年代まで建設作業などに従事し、白血病甲状腺がんなどを患った。地元で労災認定を申請したが、却下されたため08年に提訴した。

 判決は、期限内に申請されなかったことなどを理由に訴えを退けた。原告の弁護士によると、ポリネシアでは医師の診断から2年以内との規定があるが、仏本国にはそうした定めはないという。

 フランスでは核実験場で働いていた将兵や民間人が起こした訴訟で、仏本国に戸籍を持つ軍人がすでに賠償を認められたケースもある。被害者団体「ムルロアと私たち」のロラン・ポウイラ・オルダム会長(58)は「負けたのは仏本国と異なる法律が強いられているからだ。人種差別的な裁判だ」と憤った

 一方で、判決が核実験と健康被害の関連を明らかにするよう国に調査を命じたことには評価する声もある。原告団のネッファー弁護士(38)は「請求は退けられたが、まだ道は開けている」と語った。

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これはひどいと思います。