米大統領、アフリカ支援政策打ち出す 中国対抗の思惑も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090710-00000609-san-int

 【ローマ=渡辺浩生】オバマ米大統領が主要国首脳会議(ラクイラ・サミット)で、食料価格高騰や経済危機に苦しむアフリカ支援に大きくカジを切った。10日の会合で、最貧国向け農業投資に巨額支援を打ち出し、サミット終了後にガーナを公式訪問する。ケニア人を父に持つ大統領のアフリカ重視は、資源や農地獲得のため勢力拡大に走る中国に対抗する狙いも隠されている。

 10日に表明したのは「ラクイラ食料安全保障イニシアチブ」。主要国が3年間で拠出する総額200億ドル(約1兆8千億円)のうち、米国は35億ドル(約3220億円)を負担する。

 昨年の食料価格の高騰と経済危機で、最貧国では食料危機が深刻化。国連によると、飢える人の数は今年10億人を超す。従来の食料援助中心の支援では「空腹の根を断つことはできない」(クリントン国務長官)として、中長期的な食料増産につながる技術支援やインフラ整備へのシフトを図る。

 世界最大の食料援助国である米国自らの方針転換だが、米紙ニューヨーク・タイムズによると、オバマ大統領はサミット直前の数週間に各国の指導者に電話して参加を呼びかけ、「アフリカの人々の日々の暮らしに大きく影響する確実な農業技術の提供が必要だ」と、アフリカ系メディアのインタビューで力説する熱意を見せていた。

 ブッシュ前政権も、テロ防止など安全保障上の理由からアフリカ支援に熱心で、総額150億ドルのエイズ撲滅作戦にも取り組んだ

 オバマ政権が前政権の積極姿勢を受け継ぎながら独自のアフリカ政策を打ち出す背景には、金融危機の影響による地域情勢の不安定化や、政治経済的な影響力拡大に走る中国への牽制(けんせい)がある。
 サハラ以南のアフリカは、豊富な鉱物資源を抱えるが、商品価格の急落や金融危機による資本流出で失業者が急増。クーデターや選挙後の暴動など政情不安も広がっている

 こうした中、中国は自国の食料や資源確保のため、スーダンエチオピアコンゴなどに接近し、農地の購入や借用の契約を結ぶ一方、石油開発投資に着手。中国製品の市場開拓も狙い、対アフリカ貿易の総額は米国を猛追している。

 「アフリカのヒーロー」−。オバマ氏が訪問するガーナでは、米国初の黒人大統領に対する歓迎ムードが広がる。大統領は首都アクラで演説し、貧困解消には、汚職撲滅や人権保護、公正な司法制度の確立など自助努力が重要とする「良い統治」を柱に演説する。透明性を欠き、金にモノを言わせる中国の支援手法をも暗に批判したものだ。

 ただ、オバマ大統領のガーナ滞在時間は「24時間以下」(米メディア)。2月に胡錦濤国家主席が4カ国を歴訪した中国の首脳外交には見劣りする。政府高官は「大統領は将来、アフリカをもっと広く旅することを望んでいる」としており、大統領の個人的人気をテコに本格的な存在感確立を急ぐ考えだ。

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国連のアフリカの10億人が飢えるというのは、これ、
世界の「飢餓人口」10億人突破へ…世界食糧計画が見通し
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090616/p5
でしょうか。

日中のアフリカ支援の差をよく表している記事は、
スーダンで見た日中の品格
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090207/1234023676

しかしブッシュ大統領がアフリカ支援に熱心という印象は無かったのものですから、ちょっと調べてみました。

やはり
2008/02
<ブッシュ米大統領>「アフリカに新軍事基地建設せず」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080221/1203598002
で終わったアフリカ軍創設の軍事のイメージが強いのですが、

2008/05
米、新たに7.7億ドルの食糧支援表明 他国も促す

http://www.asahi.com/international/update/0502/TKY200805020069.html

 【ワシントン=西崎香】ブッシュ米大統領は1日、世界的な食糧価格高騰で食糧不足や経済的な困難に直する途上国への追加支援として、7億7千万ドル(約800億円)を拠出する方針を表明した。先月発表した2億ドル相当の緊急支援を含め総額9億7千万ドル(約1千億円)を援助する。

 対象国は主にアフリカ。大統領は「(支援へ)他国の参加を期待する」と述べ、先進国などが追加の食糧支援を拠出するよう促した。食糧生産国に輸出制限を解除することも呼びかけ、遺伝子組み換え作物などの利用を妨げている障壁を取り除くよう求めた。

 表明済みの2億ドルは予算が措置されているが、今回の7億7千万ドルは新たな予算法案を成立させる必要があるため、議会に協力を求めた

2008/06
米、ジンバブエ制裁強化 ムガベ大統領5選で
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20080629/1214745247

2008/07
日米共同でアフリカ支援、首脳会談で合意へ…感染症対策など

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20080702-OYT1T00906.htm

洞爺湖サミット

 日米両政府は2日、コレラ、風土病の撲滅など、保健分野での対アフリカ支援を共同で行う方針を決めた。

 北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)開幕前日の6日に行われる日米首脳会談で合意する。福田首相は7日のサミット協議の中で、G8各国にも協力を呼びかける。

 日米両国が共同支援するのは、「顧みられない熱帯疾病」(NTD)と呼ばれるコレラデング熱フィラリアなど14の疾病と、エイズ結核マラリアの3大感染症対策。途上国の劣悪な衛生状態などが感染拡大や死亡率悪化につながっているため、対策が急務となっている。

 ブッシュ米大統領は今回のサミットで、アフリカ問題を最も重視しているとされ、今年2月にはNTDを撲滅するための医薬品提供などに充てる費用として、3億5000万ドルの拠出を表明した。

 福田首相も5月、民間財団「世界エイズ結核マラリア対策基金」に2009年以降の数年間で5億6000万ドルを拠出する考えを明らかにした。5月に横浜で開いた「第4回アフリカ開発会議」(TICAD4)で採択した横浜行動計画にも、政府開発援助(ODA)を使ったNTDの抑制や撲滅に取り組む方針を明記した。

 日本は医療機関への技術指導を通じた人材育成、生活習慣の改善、安全な水の確保に力を入れる構え。外務省幹部は「医薬品提供に重点を置く米と、技術や人材などのシステム強化に取り組む日本が協力することで、効果的な疾病対策につながる」と強調している。(2008年7月3日03時01分 読売新聞)

2008/11
米が資産凍結 ソマリア武装勢力
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20081121/1227279527
とこれくらいにしておきますがブッシュ大統領が総額150億ドル出したように最初の記事は読めますが、一国で取り組んでない可能性も含むような書き方ですね。

ともかく独裁国家や、テロ組織などを理由にアフリカには欧米は熱心でないと今まで思っていたのですが、これからは違うということですね。