<インド>11億人皆番号制を検討、身分差別根絶の切り札に

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090711-00000039-mai-int

 【ニューデリー栗田慎一】情報技術(IT)大国のインドで、全国民11億人超にそれぞれ異なる16けたの番号を与える「国民皆番号制」の導入を政府が検討していることがわかった。16けたと顔写真だけがプリントされ、名前の記載がないIC識別カードを国民全員に配布し、コンピューター管理する計画。カースト(身分)制度や信教を背景とした差別の根絶が狙い。何千年も続くあしき慣習を先進技術で解消できるか、成り行きが注目される。

 連立政府を主導する「インド国民会議派」幹部が毎日新聞に明らかにした。10年度導入を目指し、シン首相の特別チームが調査に着手した。

 インドでは所属するカーストが名字でほぼ分かってしまう。憲法は身分差別を禁じているが、地方ではまだ就職や結婚などを身分で差別する習慣は根強く、格差を固定化する要因となっている。

 識別カードは各種申請、納税、社会保障受け取り、入学などあらゆる行政手続きを1枚で行うもので、運転免許などの情報もインプットされ、公の場で名前を示す必要が減る。さらに、カードを就職の際の履歴書代わりにするなど、民間のやり取りにも使うよう推奨する。

 会議派はカードにより、
カースト、出身地、信教などが他人に分かりづらくなり、入学や就職で個人の能力が重視される
▽結婚も純粋に相手を選べる▽政府も横行する脱税、学歴詐称、偽造免許取得を防止できる
▽テロ阻止に役立つ
−−を利点としてあげる。 会議派は5月に開票があった総選挙で「格差解消」を訴え、低カーストからも支持を集めて躍進した。カード導入を公約実現の「切り札」としている。

 ただ「政府の個人情報管理には抵抗がある。登録情報変更を巡る新たな汚職も横行しそうだ」(インドマスコミ研究所のジョシー博士)と懐疑的な見方もある。しかし、会議派は「制度を変えることで差別する人の心も変えたい」と導入に意欲を見せている。

 人口約13億人の中国も国民皆番号制を導入しているが、ICカード化は一部で試行されているだけだ。

 ◇インドのカースト制度

 因習的な身分制度。高位順に▽バラモン▽クシャトリア▽バイシャ▽シュードラの4区分があり、その下に「不可触民」と差別されているダリッドがある。人口の3割以上は低位カーストに属している。

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ユダヤ陰謀論者の好きなIC化ですね。実際やるとどうなるんでしょう。