<イラン>ウラン持ち出し案で大幅修正要求 IAEAに回答

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091029-00000148-mai-int
 【ウィーン中尾卓司】イラン政府は29日、国際原子力機関IAEA)に対し、低濃縮ウランの国外搬出計画をめぐる合意草案への回答を伝えた。回答の詳細は明らかになっていないが、イランのメディアなどによると、低濃縮ウランを段階的に持ち出し、さらにテヘランの実験炉に必要な核燃料を「同時並行」で受け取ることを求める内容とみられる。低濃縮ウランの大半を一度に搬出するという草案の核心部分の修正を迫るもので、交渉が暗礁に乗り上げる懸念も生じている。

 IAEA案では、イランが生産した低濃縮ウランの75%にあたる1.2トンをロシアで再濃縮、フランスで燃料加工し、イランに戻すとしている

 イランは大枠で受け入れる姿勢を示しているものの、国内では低濃縮ウランを一度にまとめて国外に持ち出すことに反対論が強い。手元に低濃縮ウランを残し、外交の切り札にしたい思惑があるためだ。段階的な持ち出しであれば、一定量を自国内に確保できる。また、「同時並行」とは、最初の低濃縮ウランを搬出する条件として、核燃料の供給を要求するものとみられ、イランのしたたかさがうかがえる。

 一方、IAEAエルバラダイ事務局長はイランの回答を受けて声明を出し、「近く合意に達することができるだろう」と楽観的な見通しを示した。米露仏3国とイランを仲介するIAEAは、双方の歩み寄りに望みをつなげ、今後も積極的な調整を続けるとみられる。しかし、米国やフランスは草案の修正は必要ないとの立場を取っており、イランが事実上の計画変更を迫る回答をしたことで、交渉が振り出しに戻る恐れも出てきた。

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イランの意見は
低濃縮ウラン、イラン国家安保・外交委員長「国外輸送なら段階的に」
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20091028/p2
で、報道されたとおりですね。イランが欧米を疑っているのと同じようにアメリカもイランを疑っているようです。
イランのウラン搬出で大枠合意か 米議会は強い不信感、制裁強化も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091030-00000506-san-int
 【ワシントン=有元隆志】米政府はイランが低濃縮ウランの国外輸送に関する回答書を国際原子力機関IAEA)に提出したことを受けて、輸送を着実に実施するよう求めていく方針だ。ただ、議会を中心にイランへの不信感は強く、下院外交委員会で28日に経済制裁法案が可決されるなど、イランに圧力をかける動きも強まっている

 「敵対国家」との対話を掲げるオバマ政権は、ブッシュ前政権が基本的に拒否したイランとの交渉に参加し、核兵器転用防止に向けて、低濃縮ウランの国外輸送を求めてきた。米政府としては、引き続き欧州各国などと連携しながら、イランに輸送実施を働きかけていくことにしている

 クリントン元政権で国務次官補(中東担当)を務めたマーティン・インディク氏は、イランの原子力発電所開発にかかわってきたロシアも協力する形で、低濃縮ウランがイラン国外に輸送される意義を強調する。これに対し、ブッシュ前政権で国連大使を務めたジョン・ボルトン氏は、イラン中部コム近郊で第2のウラン濃縮施設が発覚するなど核開発の実態は明らかになっていないとして、核開発を追求するイランの姿勢に変化はないとみている

 下院外交委は28日、世界的な産油国にもかかわらず石油精製能力が不足しているイランへの制裁の一環として、石油精製品輸出に関与する外国企業に制裁を加える法案を可決した。上院銀行住宅都市委員会も29日に同様の制裁法案を可決する見通しだ。

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まぁ疑っているからといって、制裁するというのも違うと思うんですけどね。

ところでジョン・ボルトン氏の言う第2のウラン濃縮施設ですが、IAEAの査察は終了してサンプルの分析に入るようです。
<イラン>IAEAが査察終了 ウラン第2濃縮施設

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091029-00000142-mai-int
 【ウィーン中尾卓司】イラン中部コム近郊に建設中の第2のウラン濃縮施設で現場査察活動を終えた国際原子力機関IAEA)の査察官の一行は29日、ウィーンに戻った。査察官の一人はウィーン国際空港で報道陣に対し「いい訪問だった」と語った。一行は25日に第2施設の現場を訪れるなどしてイランで査察活動を続けていた。

 IAEAは現場で採集した環境サンプルを分析するなどして、「施設は平和目的」と主張するイラン側の申告に矛盾はないかなど、査察結果を関係国にも伝える見通しだ。ただし「施設の内部は空とみられ、大きな成果は期待できない」(外交筋)と懐疑的な見方もある。イランは先月、IAEAに第2濃縮施設の存在を申告した。米欧などは、すでに建設着手から数年を経ているとして、「核兵器開発を目的にした秘密施設」と疑っている

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一応イラン大統領が施設は合法と言っていたことも取り上げておきます。
「施設は合法的」イラン大統領、強気姿勢
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090926/p5