中国の見せしめ外交 カナダ首相を冷遇

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091206-00000546-san-int
 【北京=矢板明夫】2日から訪中したカナダのハーパー首相は6日、香港で曾陰権行政長官と会談したあと、帰国の途についた。近年、人権重視の姿勢を全面的に打ち出しているカナダは中国と険悪な関係が続いており、ハーパー首相は温家宝首相から直接批判されたほか、地方指導者との会談が直前にキャンセルされるなど、“異例の冷遇”を受けた。中国のカナダに対する厳しい姿勢は、中国に友好的でない国々への“見せしめ”とも指摘される。

 2006年2月に就任したハーパー首相は一貫して中国の人権や少数民族政策に批判的な立場を取っており、中国当局による気功団体、法輪功への弾圧などを抗議するために2007年に中国との人権対話を一方的に中断。また、同年にはチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマの公式訪問を受け入れ会談した。

 訪中を控えていたオバマ米大統領が10月にワシントンを訪問したダライ・ラマとの初会談を先送りしたのとは対照的だ。 

 さらに2008年夏の北京五輪の開幕式に中国から招待されたが、「人権問題が解決されていない」との理由で出席を拒否した。

 こうした中、ハーパー首相が訪中したのは、来年の冬期五輪開催を控え、中国からの観光客や投資を期待する国内の経済界から圧力を受けたことが要因といわれる。

 3日に行われた温家宝首相との会談では、2国間貿易やカナダへの観光の推進など経済分野では成果を得たが、温首相から「中国とカナダの首相会談はこれが5年ぶり。遅れた訪問ですね」と嫌みをいわれたほか、「カナダが近年、中国に取ってきたよそよそしい態度は、両国関係に影響を及ぼしている」と直接批判された。

 さらに、香港紙、明報によると、ハーパー首相は5日、来年開かれる万国博覧会会場視察のために上海を訪れたが、同日午後に予定されていた韓正市長との会談が中国側によって急きょキャンセルされた。中国の地方指導者が外国の首脳との会談をキャンセルすることは異例で、中国側による不快感表明とみられる。

 北京在住のある中国外交研究者筋は「金融危機以後、中国はますます自信を深めている。今回のハーパー首相に対する厳しい態度は、これまでのカナダの対中政策への報復よりも、最近同じく中国に友好的ではないオーストラリアや旧東欧諸国への“警告”の意味があるだろう」と指摘している。

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この記事は産経新聞ですが、以前の日経新聞では
加首相、対中経済協力文書に調印 「人権」より「実利」重視
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20091204/p3
となってました。