海賊収容もう限界!訴追引き受けケニア「連れてくるな」

http://www.asahi.com/international/update/0405/TKY201004050101.html

2010年4月5日14時12分

 【ナイロビ=古谷祐伸】ソマリア海賊対策として、海上を警備している欧州連合(EU)諸国や米国が逮捕した海賊の訴追を引き受けてきたケニアが、裁判所や刑務所の負担が大きすぎるとして、これ以上の海賊受け入れを拒む方針を決めた。ケニアは周辺地域で最大の海賊訴追引き受け国。今後の海賊対策に支障が出るおそれがある。

 ウェタングラ外相は1日、「我々は最近、幾つかの国が訴追を求めてきた海賊を拒否している。別の場所を探してくれと伝えている。我々には国際的責任の重荷を背負いきれない」と語った。

 ケニアはEU、米国、カナダ、デンマーク、中国、英国の艦船が捕まえた海賊を裁判にかけ、有罪になった海賊をケニア内の刑務所で刑に服させることで合意している。その見返りとしてケニア政府は、司法・矯正施設の改善支援のために国連機関から計100万ドルの支援を得てきた。これまでに訴追した海賊は100人以上に上るという。

 だが、普段から手続きの遅れが問題になっている裁判制度や、過密状態が批判されている刑務所を抱えるなか、支援だけでは乗り切れない状態に陥っている。AFP通信によると、すでにデンマーク、英国との合意は撤回され、近くEUにも撤回が通知される見通しだという。これらの国は、別の引き受け国を探さなければならない。

 逮捕された海賊に関しては、アフリカ東部の島国セーシェルも受け入れているが、小国のため対応できる人数には限界がある

海賊対策 EU、NATOが連携強化へ 作戦海域を拡大
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090522/p4
で引用したとおり

現在のソマリア暫定政府は、自国の海賊を逮捕することも、裁く力もない。

 実際、10月末にフランス海軍はソマリア沖で捕らえた海賊9人をソマリア側に引き渡したが、その後、ソマリアで裁判が行われたという情報はない

 一方、英国はソマリア沖で11日、乗っ取った漁船を使ってオランダ船を襲おうとした海賊8人を拘束。18日にソマリアの隣国ケニアに引き渡した。フランス通信(AFP)によると、ケニア当局は20日、8人を国際的な海賊取り締まりに関する合意に基づき、起訴したという。

で、ケニアになってるんですよね。セーシェルは知りませんでした。

一応
ソマリア海賊、裁けるか 米で初訴追、司法に課題

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090423-00000118-san-int
 【ニューヨーク=松尾理也】アフリカ東部ソマリア沖で米貨物船「マースク・アラバマ」を乗っ取り、米海軍に拘束された海賊の1人が21日、ニューヨークに移送された上、海賊行為や船舶乗っ取りなど5つの罪で訴追された。ソマリア沖での海賊被害が急増する一方、逮捕した海賊に対する各国の対応は分かれており、中には現場で釈放するケースも出ている。自国での裁判を選んだ米国の決断が、海賊問題での国際的な司法制度の整備につながるか、注目されている。

                   ◇

 訴追されたのは、ソマリア人のアブドゥワリ・ムーセイ被告。今月8日にソマリア沖で貨物船を乗っ取った主犯格とされる。米海軍が人質になっていた船長を救出した際、共犯の海賊3人は射殺されたものの、同被告だけは拘束され、ニューヨークに移送された。

 弁護側はこの日、ソマリア在住の家族の証言などをもとに、ムーセイ被告は未成年だと主張したが、裁判所はこれを退け、今後成人として刑事裁判に臨むことになった。ロイター通信は、米国で海賊行為による刑事裁判が開かれるのは米西戦争(1898年)以来と伝えており、極めて珍しい裁判となる。

 ≪分かれる対応≫

 ソマリア沖での海賊被害の深刻化に伴い、同海域では日本を含む国際社会の艦船が警備に当たっているが、海賊を逮捕した後の司法手続きには未整備な面が多く、各国で対応が分かれている。

 18日には、オランダの部隊が同海域でタンカーを襲撃しようとした海賊7人を捕らえたものの、裁判にかけるための法的権限が明確でないとして短時間のうちに釈放してしまった。これをクリントン国務長官が「誤った信号を送ることになる」と批判し、オランダ政府は釈明に追われた。

 ソマリアに隣接するケニアに海賊を専門に裁く法廷を設置する計画もあるが、内政面で不安定さを抱える同国には過重な負担との指摘もある。国際特別法廷を設置すべきだとの声もあるが、多額の費用の捻出(ねんしゅつ)などの課題は山積している。

 ≪手続き不明確≫

 昨年採択された国連安保理決議は船舶の護衛や海域パトロールなどの任務を規定しているが、捕らえた海賊の司法手続きについては明確にしていない。

 ムーセイ被告の弁護側は今後の裁判で、ソマリアが内戦状態にあることを理由に、戦争時の捕虜の取り扱いを定めたジュネーブ条約の適用を求めるなど、あらゆる角度から争う姿勢を打ち出している。裁判は、海賊をめぐる司法手続きのあり方についての議論の場ともなりそうだ。

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しかし犯罪を裁くコストも払えないというのは不思議な感じがします。