パキスタン・タリバーンを国際テロ組織に指定 懸賞金も

http://www.cnn.co.jp/world/30000065.html

ワシントン(CNN) 米政府は1日、パキスタン武装勢力パキスタンタリバーン運動(TTP)」を国際テロ組織に指定した。また、米司法省は同日、アフガニスタンの米軍基地で2009年に起きた自爆テロ事件に関連して、TTP指導者のハキムラ・メスード容疑者に対する罪状を発表した。

合わせて発表された内容によると、メスード容疑者ほかTTP幹部の拘束につながる情報の提供者には、500万ドル(約4億2000万円)の懸賞金が支払われる。米中央情報局(CIA)は同日、「テロリスト拘束のため、あらゆる合法的手段を支持する」と述べ、今回の発表もその一環になるとした。

米政府は、09年12月にアフガニスタンのCIA基地で起きた自爆テロや今年5月のニューヨーク・タイムズスクエア爆破未遂事件にメスード容疑者が関与したと見ている。

アフガニスタン自爆テロではCIA関係者など米国人7人とヨルダン政府関係者1人が死亡。メスード容疑者は米国人殺害や大量破壊兵器使用の共謀罪に問われ、拘束された場合にはこの罪状が適用される。

しかし、米政府関係者は同容疑者が「別の手段で裁きを受けることもあり得る」と述べた。「別の手段」とは暗に、CIAの無人偵察機パキスタンでミサイル爆撃を行い、国際テロ組織アルカイダのメンバーとみられる多数を殺害していることを指す

無人機の殺害は本当に合法なのでしょうか?
<国連>米軍空爆による市民の犠牲増を懸念 非協力も批判
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20091029/p1
という記事が以前ありました。

またもっと大きな問題としてタリバン敵視は正しい選択なのでしょうか。
タリバンに投降呼び掛け アフガニスタン大統領
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20100215/p1
にちょっと書きましたが、カルザイ大統領は選挙の時タリバン支持層の取り込みなども行っていたという話でした。

またカルザイ大統領とアメリカの仲がかなり悪くなったこともありました。
2010/04
カルザイ大統領、米軍の掃討作戦には現地側の承認が必要と主張

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100406-00000007-cnn-int
カンダハル(CNN) アフガニスタンカルザイ大統領が4日、カンダハルの部族長らとの会合で発した言葉に、米政府高官が不快感を示している。

カンダハルは反政府武装勢力タリバーンの拠点で、6月に駐留米軍NATO軍が大規模な掃討作戦を準備している。だが現地部族長の大半はこの作戦に懸念を示している

カルザイ大統領はこの日、アフガニスタン駐留米軍のマクリスタル司令官とともに部族長らと会合し、カンダハル住民の信頼と承認を得られるまで掃討作戦を実施しない」と言明した。カルザイ大統領のこの発言についてギブズ米大統領報道官は5日、報道陣に「きわめて不快」と語った

カルザイ大統領は2日にも、昨年のアフガン大統領選で発覚した投開票での不正行為の責任を「外国人によるもの」と主張し、米政府の反感を買っていた

ギブズ報道官は「米国民を代表し、これらの発言に不快感を覚える」と述べた。ただ米政府とカルザイ大統領との信頼関係を尋ねられると、同報道官は「カルザイ氏はアフガニスタンの選挙で選出された大統領だ」と答えた。

カルザイ大統領は5日、CNNに対し、「アフガニスタンを運営しているのはわれわれ(=アフガン国民)だ」と主張。さらに自身の発言により同盟国との関係が傷つくことを否定し、「皆が各々の立場を理解していることを確認しただけだ」と語った。

またギブズ報道官は、5月に予定されているカルザイ大統領のホワイトハウス訪問について、「現時点での予定だ」と述べている。

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タリバンがらみでもこういう記事がありました
いら立つカルザイ氏 止まらぬ欧米敵視発言 「圧力ならタリバンに合流も」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100410-00000049-san-int
 【ニューデリー=田北真樹子】アフガニスタンカルザイ大統領が今月に入り、欧米敵視ともとれる発言を繰り返している。特に米国への不快感をあらわにし、オバマ政権になってからの両国関係は悪化の一途をたどっているとの指摘もある。その源は昨年8月の大統領選挙における「カルザイ降ろし」の動きにあり、このとき募った欧米への不信感は今や、“危機感”に変わったともみられている。アフガンの安定に直結する両国関係は、微妙な時期にさしかかっている。

 「8月の大統領選で大規模な不正があったのは間違いない。だが、それはアフガン人によるものではなく、外国人によるものだ」

 今月1日、カルザイ氏は選挙関係者との会合でこうぶちまけた。不正の責任を転嫁したこの発言は、“欧米敵視”と報じられたため、同氏は2日にクリントン国務長官に電話を入れ釈明し、国際社会の支援に謝意を示したという。

 ところが、その翌3日、カルザイ氏は国会議員との会合で「もし外国が私にさらなる圧力をかけるようなら、タリバンに合流するかもしれない」と発言したという。4日には自身の出身地、南部カンダハル州の部族長老との会合で「アフガニスタンの問題は、国民が自分たちの大統領は外国の支配を受けない、傀儡(かいらい)ではないと信じていれば解決できる」と語ったとされる。

 一連の発言について、米ホワイトハウスの報道官は「やっかいだ」と述べ、米国務省は一時、カルザイ氏が5月に予定している訪米の取りやめもにおわせ、不快感をあらわにした。

 カルザイ氏は外交でも反欧米路線をにじませている。3月上旬には、核開発問題をめぐり米国などとの対決姿勢を強めるイランのアフマディネジャド大統領が、カブールを訪問。カルザイ氏は中旬に訪中し、月末にはイランを訪れた。だが、イランから戻った日の夜、オバマ大統領は通告なしにカブールを電撃訪問し、イラン、中国との関係強化を図ろうとするカルザイ氏を「強く牽制(けんせい)した」(消息筋)という。

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 カルザイ氏はなぜ、今になって、反欧米的な姿勢を見せているのか。

 大統領選で欧米はカルザイ氏に代わる候補者の擁立を画策し、事実上の「カルザイ降ろし」を展開した。米国のホルブルック特別代表(アフガニスタンパキスタン担当)にいたっては、多数のアフガン人に出馬をけしかけたといわれる。それはカルザイ氏の汚職、麻薬対策への取り組みを不満とし、指導力を疑問視した結果だった。

 だが、米国は適切な人物を見つけられず結局、カルザイ氏しかないと、同氏に軸足を戻さざるをえなかった。こうした事情を知るカルザイ氏は、昨年11月に会ったある外交筋に、米国への反発をはっきり口にしたという。

 カルザイ氏自身がこれまで語ってきたように、ブッシュ政権の米国なくして、2001年のタリバン政権崩壊はなく、自身が大統領になることもなかった。しかし、オバマ政権は駐留部隊の撤退に向けた環境整備を急ぎ、カルザイ氏側に圧力をかけており、ここにきての同氏の敵視的な姿勢は、圧力に対する“反発”ともいえる。

 外国部隊が撤退した後の保身をかけ、外国の傀儡ではないことを国内向けに証明しなければならない、という焦りもありそうだ。また、カルザイ氏は、タリバンなど反政府武装勢力との対話も進めている。しかし、米国の反応は芳しくなく、カルザイ氏のいらだちを強めさせているようだ。

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 カルザイ氏が置かれた状況はジレンマにも等しい。

 米軍などは、2月に南部ヘルマンド州マルジャで、最大規模とされるタリバン掃討作戦に着手。6月にはカンダハル州でも作戦を開始する予定で、一定の成果をあげ、来年夏からの兵力撤退への道筋をつけたいところだ。だが、マルジャでは多くの住民が犠牲になり反発は強い。カンダハル州はタリバン発祥の地で“本丸”。同時にカルザイ氏の支持基盤でもあり、同氏も慎重にならざるをえない。

 外国駐留部隊の撤退後、不人気のカルザイ氏が大統領の地位に居続けるためには、欧米が汚職などの根源として敵視する元軍閥指導者ら有力者と、友好な関係を保っておく必要がある

 ジョーンズ米大統領補佐官(国家安全保障担当)は9日、カルザイ氏が5月12日に訪米するとの見通しを示し、この局面を「切り抜けた」と語ったが、カルザイ氏を見る米国と国際社会の目は依然、厳しい。

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まぁタリバンに融和姿勢をとるカルザイ氏をアメリカが不要に思ったということは十分に考えられるんでしょうけど、とにかくグレーな事が多すぎます。アメリカはタリバンに黒を突きつけたということになるんでしょうが、カルザイ大統領は追従するでしょうか。

追記:
パキスタンタリバン運動に関しては以下のエントリにも出てきます。
イスラム武装勢力が犯行声明、パキスタン自爆テロ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20100204/p5
米軍とパキスタン政府が関係を持っていた証拠でもあります。

さらに追記:
パキスタン・アフガン国境>検問所、半数以上を撤去
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20091020/p1
でも、パキスタンタリバン運動(TTP)の名前が出てくるのですが、このときはアメリカとアフガン軍は国境の検問を撤去してTTPを利するような行動をとっているんですよね。なにか裏があるような気がします。