アフガン総選挙の不正、監視の民間団体が「深刻な懸念」

http://www.asahi.com/international/update/0922/TKY201009220008.html
2010年9月22日7時19分

 【イスラマバード=五十嵐誠】アフガニスタンの選挙を監視する民間団体「アフガン自由公正選挙財団」(FEFA)は20日、18日に投票された総選挙について第1次報告を出して広範な不正を指摘、「深刻な懸念」を表明した。選挙は10月上旬に暫定結果が公表され、不正に関する不服申し立ての手続きが始まる予定だが、結果をめぐり混乱するおそれがある。

 FEFAは約7千人のスタッフで全体の6割に当たる3538投票所を監視した。報告によると、カブール州やカンダハル州など28州の280の投票所で票が水増しされ、24州の390カ所では女性本人に代わって家族や親類の男性が投票していた。

 また、投票前に隣国パキスタンの印刷所で有権者登録証が大量に偽造されていたことが発覚。22州352カ所でこうした偽登録証が使われていた。地元有力者による脅迫も全国で300件以上あったという。

 一方、投票所とその周辺で襲撃など治安上の事件が276件あったとしている。治安当局などによると、投票日には全国で43の爆発、78のロケット弾攻撃があり、一般市民21人と警官9人が死亡した。

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こんな記事も
・ 〈ロイター〉攻撃相次ぐアフガン、総選挙の実施は「奇跡」=国連特別代表(9/20)
・ アフガンで総選挙実施 武装勢力の攻撃で2人死亡(9/18)
・ アフガン大統領、民間警備会社に解散命令 米は懸念表明(8/18)

この記事は朝日新聞ですが、CNNでも同様記事ありますね。
アフガン総選挙に問題点、監視団体が指摘

http://www.cnn.co.jp/world/30000280.html
カブール(CNN) アフガニスタンで18日実施された総選挙をめぐり、同国の選挙監視団体、自由公正選挙団(FEFA)は20日、治安上の懸念や運用態勢の不備により投票できない有権者が多数に上ったとの見方を示した。選管発表の有権者数についても矛盾を指摘している。

FEFAは一方で、投票者の関心が比較的高く、当日の警備態勢も整備されていたのは明るい兆候だと評価した。

警察は20日、中部ロガール州で45人前後が不正行為の疑いで拘束されたと発表した。ただし同州知事の報道官によると、39人が不起訴で釈放されたという。

選管は18日夜、有権者920万人中360万人が投票し、投票率約40%にとどまったと発表。昨年8月の大統領選では有権者1140万人、投票者460万人とされていたため、有権者数の差が問題となった。さらに選管のウェブサイトには、国内で2003年以降、計1670万人が有権者登録を済ませたとの記述もある。

選管は今回の有権者数が少なくなっていたことについて、当日治安上の理由で約2割の投票所が閉鎖を余儀なくされ、この分を差し引いたためと述べた。これに対してFEFAなど一部の監視団体は「つじつまが合わない」と主張し、さらに説明を求めている。

投票日には全土に警官や兵士ら数万人が配置されたが、当局者らによると、反政府武装勢力タリバーン関連の攻撃などにより、少なくとも民間人12人、警官3人、兵士1人が死亡した。

アフガニスタンにとって投票率40%というのは高いのでしょうか、低いのでしょうか。アフガンの大統領選を参考にしてみましょう。
2009/11
アフガン大統領選 求心力失ったカルザイ氏 前途多難な政権運営

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091103-00000068-san-int
 【ニューデリー=田北真樹子】不正問題で混迷を極めたアフガニスタン大統領選挙は、カルザイ大統領の再選の正当性を担保するために国際社会が求めた決選投票が、予定されていた7日を目前にして中止となり、再選が決まるという展開で幕を閉じた。ここに至るまでの過程でカルザイ氏は求心力を失った。今後5年間の政権運営は困難を強いられるとみられ、「ポスト・カルザイ」探しもからみ、アフガン情勢は厳しい局面が続きそうだ。

                   ◇

 汚職の蔓延(まんえん)によって、国民からは「カルザイ氏の支持者や官僚ばかりが甘い汁を吸っている」といった不満が広がる。イスラム原理主義勢力タリバンは一時、弱体化したが、息を吹き返し脅威を増している。こうした状況を背景に、投票率は2004年の大統領選の約70%から、今回の第1回投票では約38%に激減カルザイ政権への期待の低下は明らかだった。

 地元筋によると、大統領選にあたって米国などは、「カルザイ氏以外に、パートナーとしてつきあっていける人物を探そうとしていた」という。しかし、いずれの候補者も最大民族であるパシュトュン人のカルザイ氏に比べると勝算が乏しく、結局、カルザイ氏に軸足を戻さざるを得なかった。そして、国際社会の過剰な関与を理由に決選投票を拒むカルザイ氏に、再三受け入れを迫った。地元では「カルザイ氏は外国のかいらい」との批判と、同情が相半ばした。

 2カ月半にわたる混乱で求心力を失ったカルザイ氏について、「政治生命も長くはない」との声も出る。1日に決選投票への不参加を表明したアブドラ元外相を政権内に取り込んで、後継者に担ごうとする動きもあるようだ。アブドラ氏が不参加を決めた際、冷静だったことから「カルザイ氏と何か合意ができているのではないか」との観測も流れる。

 政治が安定しない限り、タリバンなどの武装勢力を抑えることは難しい。治安が安定しないままでの復興もありえない。3選を禁じた憲法によって、カルザイ氏の任期はこれが最後となる。課題は山積している。政権の正統性の有無に振り回されている時間はない。

という事でアフガンの政治自体が不信感を持たれているという可能性は十分にありますね。