【インド】送油管計画の枠組み合意:トルクメンなど3カ国と

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100922-00000016-nna-int
 トルクメニスタンからアフガニスタンパキスタンを経由してインドまでガスパイプラインを敷設する計画が大きく前進した。4カ国は20日トルクメニスタンの首都アシュガバトで、ガスパイプライン枠組み合意(GPFA)をめぐる二つの文書に調印した。このプロジェクトは総額40億米ドルを投じて総延長1,680キロメートル(km)のパイプラインを敷設するもので、パキスタンを経由してイランとインドを結ぶパイプラインを建設する計画に批判的な米国も後押ししている。PTI通信が伝えた。

 インドは2008年4月に、「トルクメニスタンアフガニスタンパキスタン―インド(TAPI)天然ガスパイプライン計画」に参画。プロジェクトが実現すれば、豊富な埋蔵量を誇るトルクメニスタンから日量3,800万立方メートルの天然ガスがインドなど各国に供給される見通しだ。ただ、これまで協議は難航しており、今年5月にトルクメニスタンのベルディムハメドフ大統領が訪印した際には首脳会談の議題ともなっていた。

 今回、アシュガバトで行われた4カ国協議には、インドからジティン・プラサダ石油・天然ガス担当国務相、トルクメニスタンからバイムイラト・ホジャムハメドフ副首相、アフガニスタンからワヒードゥッラー・シャヘラニ鉱工業相、パキスタンからナビード・カマル石油・天然資源・民営化相が出席し、GPFAをめぐる二つの文書に調印した。これはプロジェクトの実現に向け、大きな一歩となるものだ。

 プラサダ石油・天然ガス担当国務相によれば、シン内閣はすでにGPFAを基本承認している。ただ、正式調印は閣議での最終承認を経てからになるという。

 ■安全面の課題が焦点に

 パイプライン敷設への次の段階は、ガス売買契約(GSPA)の締結だ。これはトルクメニスタンによるガスの販売条件を定めるほか、4カ国がプロジェクトへの支援を約束するものとなる。

 プラサダ石油・天然ガス担当国務相は「パイプライン建設はわが国のエネルギー需要を満たすのに重要だが、GSPAの締結前に安全面の課題をクリアする必要がある」と指摘。TAPI天然ガスパイプラインのうち735kmはアフガニスタン、800kmはパキスタンを通るが、両国にはインドに批判的な勢力が存在し、パイプラインの円滑な運営を妨害する恐れがあるという。アフガニスタンパキスタンは、次回のTAPI天然ガスパイプライン計画の運営委員会で対策を提示する予定。

 同相はまた、「プロジェクトの成功には、すべての利害関係者がガスの通過料を最低限に抑えることが重要だと認識しなければならない」とも語った。

 インドはTAPI天然ガスパイプラインとは別に、「イラン―パキスタン―インド(IPI)天然ガスパイプライン計画」も進めている。ただ、核開発を進めるイランが参画していることから、米国はこれに反発し、TAPI天然ガスパイプライン計画を後押しする姿勢だ。

イランのほうのパイプラインはたとえば
2008/04
イラン大統領天然ガスパイプライン実現向け、印パ訪問へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080426-00000031-mai-int
 【ニューデリー栗田慎一】イランの天然ガスパキスタン、インドに輸送する「IPIガスパイプライン計画」で、イランのアフマディネジャド大統領は28日から、パキスタンとインドなどを歴訪、両国首脳と計画の実現に向けた初の個別会談を行う。イランの核開発疑惑を追及する米国の圧力で一時中断した計画は、消極的だったインドが今年に入って積極姿勢に転じたことで一気に現実味を帯び、中国への延伸構想も浮上し始めた。

 インドは25日、計画最大の障壁だった同国がパキスタンに支払う「通過料」について、早期妥結を目指すことでパキスタン政府と一致した。双方の提示額には3倍以上の開きがあり、交渉は頓挫していたが、イラン大統領の訪問を前に歩み寄りがあったとみられる。

 計画はイラン・イラク戦争が終わった翌89年、経済復興を目指したイランが発案。94年にイラン、インド両政府が調査を開始し、02年にパキスタンが参入。3国協定を結んだ。

 一方、イランの核開発疑惑を背景に米国は05年、IPI計画をけん制。米国から民生用核技術の供与を受ける2国間協定の締結を前に、インドに核実験停止などを求めた。インドのシン首相も06年1月、IPI推進派のアイヤル石油・天然ガス相を更迭し、親米派のデオラ氏を指名。米印核協定はその1カ月半後に両首脳間で正式調印された。

 だが、シン政権に閣外協力する左翼勢力が07年夏、米国の主張に反発すると、ムカジー外相もこれに同調。デオラ氏も一転、IPI推進を明言した。「イラクの治安悪化はイランの責任」と非難する米国は計画の前進に神経を尖らせており、イラン大統領の印パ首脳との会談の行方に注目が集まりそうだ。

 【ことば】IPIガスパイプライン計画 イラン、パキスタン、インドの頭文字から「IPI」と呼ばれる。イランからインドまでのパイプラインの長さは2775キロで、毎日21億立方フィートがパキスタン側に移送される計画。イラン側提示価格によると、イランは毎日945万ドルの利益を得ることになる。パキスタンはインドから年間6億〜7億ドルの「通過料」を得られる見込みで、中国への延長でさらなる通過料収入に期待している。