韓国、もう日本のスペアではない? EUがアジア経済戦略見直し 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101021-00000619-san-int

 欧州連合(EU)がアジア経済戦略の見直しを加速している。韓国とのFTA(自由貿易協定)で電機や自動車分野の貿易を拡大し、財政安定に向けては中国との関係を強化。成長戦略からEUへ急接近するアジア諸国の思惑も絡み、腰の重い日本を横目に欧州を舞台に活発な経済外交が繰り広げられている。EU本部のあるブリュッセルでの取材から報告する。

 「欧州経済には素晴らしい話。非関税障壁にこだわる日本にも刺激になるだろう」。韓国とのFTA交渉がまさに大詰めを迎えていた10月上旬。ブリュッセルのEU関係筋は日本への皮肉交じりに、韓国との関係強化の意義を強調した。

 日本側を揺さぶる狙いは明白だが、韓国とのFTA締結の熱気に包まれたブリュッセルから伝わるのは、欧州経済にとってもはや韓国は日本の「スペア」ではないということだ。韓国は自動車や家電などの欧州向け輸出を拡大しており、相互に輸入関税の大半を撤廃するFTAで、モノとサービスの貿易に関して191億ユーロ(約2兆1700億円)の取引が新たに生まれるとの調査や、「今後20年間でEUと韓国の貿易はほぼ倍増する」との試算もある。

 EUは、インドやシンガポールともFTA交渉を加速。逆に、農産物など非関税障壁にこだわる日本には「失望感」(EU関係筋)すら抱いているようだ。

 EUは中国との関係強化も急いでいる。今月上旬に欧州を歴訪した中国の温家宝首相は、経済危機に陥ったギリシャ国債購入方針を表明。中国は昨年からスペイン国債などユーロ資産を増やし、「中国はユーロ圏経済を支える」とまで踏み込んだ温首相に、EU関係筋は「中国の経済力は無視できない」と好印象を抱く。欧州政策センターのハンス・マーテンス氏は「人権問題はあっても、高成長を続ける中国への大規模投資が必要」と話す。

 アジア諸国も、成長の底上げに欧州市場を活用する思惑がにじむ。韓国が次に模索するのは、「政府調達など幅広い協力を含む経済連携協定(EPA)」(EU関係筋)だ。中国には、「外貨準備で欧州での発言力を高める」(欧州アナリスト)狙いも透ける。ブリュッセル周辺では中国は欧州系シンクタンクを積極的に支援しているとの話も耳にし、欧州の親中世論の醸成に余念がないようだ。

 EU側にも、「米中に対抗するため、日本との連携強化は必要」との見方は根強いが、FTA交渉で欧州の日本政府筋は「EUの譲歩が見えないと、安易にカードは切れない」と冷ややかだ。EU内にも「われわれは野心的な合意を目指す」と譲らぬ声が目立つ。

 EUの総貿易量に占める日本の割合はわずか数%。米国、中国、ロシア、スイスに次いで、最近はノルウェーにも抜かれた。日本が地盤沈下するなか、欧州のアジア戦略は変化を速めつつある。(柿内公輔)

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【ウェブ立志篇】「しがらみがない」市場が新技術の苗床に

うおおーまじでなんとかしてくれー
「農家のため残りが犠牲」=環太平洋連携の反対論けん制−前原外相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101021/p1
参照