インドネシア:国軍兵士らパプア人集落焼き打ち 映像入手

http://mainichi.jp/photo/news/20101026k0000m030100000c.html?inb=ra


パプア州プンチャック・ジャヤ県の集落で、焼き払われた家の前に立ち、状況を説明する住民。毎日新聞が「西パプア亡命政府」より入手した映像から

 【ジャカルタ佐藤賢二郎】インドネシア国軍兵士が同国東部パプア州プンチャック・ジャヤ県で住民を拷問する映像が流出した問題で、毎日新聞は25日までに、国軍兵士によって焼き払われたとみられる同県の集落の映像を独自に入手した。同県で国軍が続ける反政府武装組織の掃討作戦を巡り、国際的な批判が高まりそうだ。

 パプア州の分離独立を目指す組織「西パプア亡命政府」(本部オーストラリア)から毎日新聞が入手した映像は、4秒から37秒のファイル計約20本。独立派組織「パプア評議会」によると、焼き打ちは今年9月に発生。映像内でのやり取りなどから反政府組織側の撮影と推測される。

 映像には、焼け落ちた家の傍らで「インドネシアの兵士と警官が山から下りてきて、民家や教会を次々と焼き払った」と証言したり、声を上げて泣くパプア系住民の姿が映る。また、家を失って座り込む女性たちや、闇の中で炎上する集落の様子も見られる。

 評議会によると、国軍はプンチャック・ジャヤ県に、独立を目指す武装組織「自由パプア運動」(OPM)の拠点があるとして作戦を強化しており、兵士による集落の焼き打ちが多発。今月11日にも武装兵士が別の集落を襲い、29件の民家を焼き、住民約150人が森林などに避難した。住民への暴行・レイプなども続発しているという。先週末に流出した映像に記録されていた国軍兵士による住民の拷問については、政府がすでに関与を認め、国軍は調査を進めている

毎日新聞 2010年10月26日 2時36分(最終更新 10月26日 2時47分)

拷問の方はこっちですね。
インドネシア>国軍兵士がパプア人拷問 動画サイトに画像

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101020-00000073-mai-int
 【ジャカルタ佐藤賢二郎】インドネシア国軍の兵士が東部パプア州で住民を拷問する様子を撮影したとされる映像が流出し、その残虐さが問題になっている。パプアでは今も分離独立を求める武装組織による小規模の武装闘争が続き、これを弾圧する国軍や警察による住民への人権侵害が報告されている。国軍のスハルトノ長官は18日、調査を命じたことを明かし、「関与が明らかになった兵士は法的な裁きを受ける」と話した

 映像は「パプア解放軍」を名乗る投稿者が先週末、動画共有サイト「ユーチューブ」に投稿した。約10分間、2人のパプア人が拷問を受ける場面が記録されており、映像の属性情報などから3月に撮影されたとみられる。

 1人は首や鼻にナイフを押しつけられ、顔を何度も平手でたたかれている。もう1人は全裸で横にされ、兵士とみられる男が「武器はどこにある」と尋問しながら足で踏みつけ、熱した棒で男性器を焼いている。「お前はうそつきだ。焼け、焼け」という尋問者の声と男性の叫び声が響き渡る。

 地元メディアなどによると、撮影場所はパプア州ブンチャック・ジャヤ県。この地域には独立闘争を続ける武装組織「自由パプア運動」(OPM)の基地があるとされ、国軍が掃討作戦を続けている。映像の男性2人は、3月に同県の国軍検問所で目撃されたのを最後に行方不明になっているという。

 パプア州を含むニューギニア島西部を植民地支配していたオランダは61年、西パプア共和国として10年後の独立を承認。しかし、インドネシアは69年に自ら選んだ住民代表約1000人による投票で強引に併合した。

 パプアは天然資源が豊かで米国系企業が採掘する世界有数の金・銅鉱山があるが、今も貧困率は国内で最も高く、中央政府や外国資本に収奪されているという不満が強い独立運動への支援を警戒する政府は、メディアや人権団体関係者を含む外国人のパプア入りを厳しく制限している。

 西パプア亡命政府の外相を務めるヤコブ・ルンビアック氏は「過去40年間で40万人以上のパプア人が殺害された。この映像はインドネシアによる虐殺や人道に対する罪が今も続いていることを示している」と話す。

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すでに政府が認めているので記事には無意味な部分もありますが、CNNでは動画を公開してますね。
拷問の映像発覚し非難強まる、インドネシア軍関与か

http://www.cnn.co.jp/world/30000631.html
ジャカルタ(CNN) インドネシア東端のパプア州の路上で軍服を着用した複数の男が全裸にされた地元の男性に拷問を加えるビデオ映像が発覚、国際人権団体などが非難し、同国当局に徹底調査を要求する事件となっている。

同州では、エネルギー資源が中央政府に収奪されているなどとして独立を求める自由パプア運動の武装闘争がくすぶっているが、男性は同組織の構成員とみなされ、武器を秘匿する場所を尋問するための拷問だったともみられている。パプア州では米企業が世界最大規模の金鉱山を操業している。

インドネシア国軍のタンジュン報道官はCNNに対し、拷問が起きた時期、場所などを突き止める徹底的な調査を約束。兵士なら人権対策などでの訓練は受けているとし、拷問の疑惑をまず法的に証明する作業を行わなければならないと強調した。一方、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは、映像はインドネシア軍が反政府勢力に対して続けている拷問の証拠になる可能性があると糾弾している。

問題の映像は携帯電話で撮られたもので、手足を縛られた男性が路上に横たわり、男たちに火のくすぶる木片を性器に押しつけられ、苦痛の叫び声を上げる場面などがある。男たちは「武器はどこだ」などと詰問している。また、近くの場所にも衣服を着た若い男性が横たわっており、男たちがナイフを鼻の下に突き付けて武器や反政府勢力の仲間の居所を質す映像もあった。

CNNはこの映像を国際非政府組織(NGO)から入手したが、内容の真偽は確認出来ていない。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは、拷問している男たちの武器は兵士の標準装備品に似ているとして軍の関与を示唆している。また、尋問の言葉も治安当局のよく使う表現に似ているとも指摘した。

人権団体はインドネシア当局に徹底的な調査を要求したが、同国では兵士による虐待疑惑などに関する軍調査がなし崩し的に葬り去られた過去もあるとの懸念も示した。同国では今年、同じパプア州で起きたとみられる、政治活動家の男性がジャングルで内臓をさらけ出して倒れているビデオ映像も表面化していた。この映像には、活動家のそばに警官の制服姿の男たちがおり、「兵士たちがいる限り、自由を得ることは出来ない」とあざける場面もあった。男性は消え入るような声で「自由」との言葉を口にした後、死亡していた。警察はこの事件への関与を否定、男性は銃撃戦で負傷したと主張していた。

(注意:この動画は拷問の映像を含みます)インドネシアパプア州で軍服を着用した複数の男が全裸にされた地元の男性に拷問を加えるビデオ映像が発覚、国際人権団体など同国当局に徹底調査を要求する事態となっている

あーもうなんて言っていいかわかりません。国軍の調査が徹底的に行われることを祈ります。

追記:
こんな記事もありました。インドネシアには明らかにしなければならないことが沢山あるようです。
インドネシア:英雄か虐殺者か…スハルト元大統領巡り議論

http://mainichi.jp/select/world/news/20101025k0000e030042000c.html

インドネシアスハルト元大統領=1990年11月撮影

 【ジャカルタ佐藤賢二郎】「国家の英雄か、虐殺者か」。インドネシアで08年に死亡したスハルト元大統領の評価を巡る議論が起きている。同国社会省が17日に公表した「国家英雄」認定者の候補に元大統領が含まれたことがきっかけだ。

 スハルト氏は68年に第2代大統領に就任。人権を抑圧して政治的安定を図り、経済発展を進める開発独裁」でインドネシアを経済成長に導いた。スカルノ初代大統領の「独立の父」に対し「開発の父」とも呼ばれる

 スハルト氏を国家英雄に推薦したジャワ中部の県知事は、地元メディアに「元大統領の国家に対する貢献、実績は国内外で認められている」とコメント。保守系政治家からは、「(混乱期に)国家を破滅から救った人物」として英雄に値するとの声が出ている。

 一方で、スハルト氏は在任中、民主化勢力や共産主義者、国内の独立運動を弾圧し、その犠牲者は数百万人に上るとされる。32年に及ぶ長期政権では汚職が横行し、在任中の不正蓄財は最大350億ドルともいわれる。このため政治犯の団体で代表を務めるブジョ氏は「国民的な犯罪者であり、ヒトラーと同じ虐殺者」と批判。人権団体「コントラス」のアズハル氏は「不正を暴くべき政府が栄誉を与えるのは不適切」と指摘する。

 歴史学者のアスビ氏は「経済成長への貢献は大きいが、歴史上最大の破壊者でもある」とし、「現時点での認定は時期尚早だ」と語る

 国家英雄は、民族主義運動や独立戦争で功績のあった人物に贈られる称号として59年に定められ、スカルノ氏を含む政治家や軍人など計147人が認定されている。国家英雄認定審議会の協議を経て、ユドヨノ大統領が最終的に認定し、来月10日に発表される。
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毎日新聞 2010年10月25日 12時55分(最終更新 10月25日 13時02分)

正直悩んでしまいますね。