イスラムとコプト 強まる宗教対立に懸念 エジプト

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101128-00000516-san-int
産経新聞 11月28日(日)13時28分配信

 10月末、イラクキリスト教会で国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力が信者らを人質に取って立てこもり、銃撃戦の末に50人以上が死亡したことは記憶に新しい。

 武装勢力犯行声明で、キリスト教徒への攻撃を扇動し、キリスト教の一派であるコプト教会の信者が人口の約1割を占めるエジプトでは大きな波紋が広がった

 この事件を予見していたかのような映画がある。4年前にエジプトで封切られた「ラヒーナ」(人質)。あらすじはこうだ。

 ウクライナにあるエジプト人移民のコミュニティー。そこでは、閉塞(へいそく)感が漂う故郷を後にしたイスラム教徒とコプト教徒が、助け合いながら暮らしている。

 ところが、同国でコプトの科学者がイスラム教徒を名乗るテログループに拉致されたことをきっかけに、コミュニティー内に反目と疑心暗鬼が広がっていく−。

 エジプトでは近年、イスラムコプトの双方で宗教回帰が進んでいる。大きな原因の一つとして指摘されるのが、規制緩和外資導入で急速な経済成長を実現する一方、そこから取り残された中・低所得層に十分なセーフティーネットを提供できていない政府への不信感だ。

 政府に代わって福祉を担っている面が大きいモスク(イスラム教礼拝所)や教会に足を運ぶ人が増え、結果として宗教心が高揚し宗教間の反目が強まっているともいわれる。最近は、互いの宗教を非難するデモや暴力事件も頻発している。

 そんな状況を反映した『ラヒーナ』のテーマ曲に使われ大ヒットしたのが、『バヘッビック ワヒシュティーニー(愛してる 寂しい)』だ。

 作詞は、世相を皮肉った歌詞で定評のあるアイマン・カマル氏。ラブソングの体裁をとってはいるが、そこには、故郷の現状に絶望しながらも、故郷への思いは捨てきれない−という二律背反的な情感がこもる。

 ♪自ら疎外されることを選ぶ人間がいるだろうか? (そんな仕打ちを受けても)あなたの愛を忘れることはない…

 映画では主人公らが、宗教間の反目を煽ろうとする陰謀を阻止し、元の共存関係を取り戻すというエンディングが用意されている。

 しかし現実のエジプトではなお社会矛盾の拡大が続いており、それに伴って宗教対立の先鋭化も懸念されている。(カイロ 大内清)

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最終更新:11月28日(日)13時34分

ちょっと前のこの記事も関係あるんじゃないでしょうか。
エジプト議会選、野党締め付けで与党勝利確実

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20101127-OYT1T00810.htm
中東

 【カイロ=田尾茂樹】エジプトの国会にあたる人民議会(定数518)選挙の投票が28日、行われる。

 ムバラク政権は、2005年の前回選挙で躍進した野党のムスリム同胞団系候補への締め付けを強め、与党、国民民主党(NDP、現有311議席)の勝利は確実な情勢。

 中東民主化をめぐる米国の変化も大きく影響している。

 エジプトでは宗教政党の結成は禁止されており、イスラム原理主義組織の同胞団は無所属で候補者をたてている

 同胞団は福祉活動などを通じて貧困層に根強い支持がある。前回選挙では政権への不満を吸収し、議席を15から88に増やした。当時のブッシュ米政権が「中東民主化」を掲げ、広く選挙参加を認めるようムバラク政権に圧力をかけたことも追い風となった。

 エジプトでは今年、物価高騰への抗議デモが頻発。大統領選を来年に控え、政権は不満の抑え込みに懸命となっており、選挙を前に政権に批判的なテレビ局数局を放送停止に追い込んだ

 だが、オバマ米政権は、選挙を静観している。エジプトやパレスチナ自治区など中東各地で、選挙を通じてイスラム原理主義組織が勢力を伸ばしたことが、米国の民主化圧力にブレーキをかけたとみられている。
(2010年11月27日22時46分 読売新聞)

なんかこの民主主義と反イスラムダブルスタンダードもなんとかならないんですかね。