米韓FTA合意、日本「太刀打ちできぬ」 TPP参加にも反応鈍い政府

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101205-00000070-san-bus_all
産経新聞 12月5日(日)7時57分配信

 世界最大の米国市場で韓国企業と激しいシェア争いを繰り広げる日本企業は米韓FTA合意で極めて不利な戦いを強いられる。同じ土俵に立つには米国が主導する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP=トランス・パシフィック・パートナーシップ)への参加が不可欠だが政府の対応は鈍い。

 「もう太刀打ちできない」。米韓FTA合意のニュースを聞いた大手電機メーカー幹部は、沈痛な声を漏らした。

 米国の薄型テレビ市場で、シェア1、2位にはサムスン電子とLG電子の韓国勢が君臨。かつてブランド力で先行していたソニーパナソニックなど日本勢は3位以下に後塵(こうじん)を拝している。関税撤廃で韓国製品の価格競争力がさらに高まれば、「追いつく手がかりすらなくなる」(同)。

 11月の米新車販売で、韓国の現代自動車は前年同月比で50%近い伸びを記録。一方で、トヨタ自動車は大手の中で、唯一のマイナスに沈んだ。シェアでは日本勢の方がまだまだ優位だが、「電機の二の舞いになる」(大手自動車幹部)と危機感を募らせている

 日本企業にとって、日韓の貿易自由化への取り組みの差は死活問題だ。

 日本は東南アジア諸国連合ASEAN)やメキシコ、チリなどとFTAを包括したEPA(経済連携協定)を結んでいるが、貿易総額に占める締結相手国の比率は16%。これに対して韓国はインド、欧州連合(EU)に続き、米国との合意で36%に達する。

 すべての関税を原則撤廃するTPPに参加すれば、一気に巻き返せるが、政府のスピード感は乏しい。

 「うまい。すごく甘いね」。菅直人首相は4日、千葉県の農業法人を訪れ、トマトにかぶりついた。

 TPP参加で打撃を受ける農業の強化策を探るための視察で、「十分意欲のある皆さんならばやれると心強く思った」と語った。だが、政府・民主党内にはなお異論が強く、いつ正式に参加を表明できるのか、めどは立たない

 6日からニュージーランドで行われる参加表明9カ国による交渉に日本はオブザーバー参加を求めたが、体よく拒否された。妥結目標の来年11月まで蚊帳の外に置かれかねないのが実情だ。EUにはEPAの交渉開始を提案したが、政府調達の開放など課題を抱え、具体的な道筋はみえない

 「同じ土俵で戦わせてほしい」(日産自動車志賀俊之COO)との悲痛な声は政府に届いていない

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まぁ産経新聞はTPP推進派のようで、現状に非常に悲観的ですが、こちら↓のエントリ
日本、米国とTPP協議開始
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101111/p5
で、採り上げた朝鮮日報では、日本が戦略を持って動いているように見られているように感じますw

また最近の朝鮮日報をみると、対日勝利宣言とは程遠い現状のようです。
韓米FTA:日本車・欧州車に「漁夫の利」も(上)

http://www.chosunonline.com/news/20101206000024
FTA

 「韓国自動車業界は淡々とした反応だ。米国は体面を保ち、欧州車や日本車は笑った

 韓国政府が5日に発表した韓米自由貿易協定(FTA)追加交渉の結果のうち、自動車分野の結果について、専門家が下した評価だ。

 今回の追加交渉で、韓国は自動車分野で米国にかなり譲歩した。まず、米国製乗用車を韓国に輸入する際の関税は、韓国が米国より4年先に引き下げる。米国車は米国の安全基準さえ満たせば、韓国で別の認証手続きを経なくても、韓国で販売が可能だ。米国の自動車メーカーが得た成果は、米国に生産拠点を置く欧米の自動車メーカーにも適用される。欧州と日本の自動車メーカーは、米国で生産した乗用車を韓国に輸出すれば、「漁夫の利」にあずかることができる

 韓国の自動車業界が得た利益もある。自動車部品を米国に輸出する際の関税は即時撤廃される。このため、韓国の部品メーカーから部品供給を受ける現代・起亜自動車の米国工場では、生産車種の価格競争力向上が見込まれる

■関税:米国車は即時引き下げ、韓国車は4年後

 韓国製自動車を米国に輸出する場合、協定発効後4年間は排気量に関係なく、これまでの関税(2.5%)が維持され、関税撤廃は5年目からとなる。米国製自動車を韓国に輸入する際には、現行関税(8%)が協定発効と同時に4%に引き下げられ、5年目からは完全撤廃される。関税引き下げで得られる効果は、米国側の方がはるかに大きい

 自動車業界によると、今回の関税引き下げは、ほかの税金や利ざやにも影響を与え、米国製自動車は協定発効後に3.7%、発効5年目からは約7.4%値下がりするとみられている

 例えば、米ゼネラルモーターズGM)の「キャデラックCTS3.6」は現在6380万ウォン(約464万円)だが、FTA発効直後には6144万ウォン(約447万円)、4年後には5908万ウォン(約430万円)に値下がりが見込まれる。

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

韓米FTA:日本車・欧州車に「漁夫の利」も(下)

http://www.chosunonline.com/news/20101206000025
FTA

■安全・環境基準、米国基準も認定

 米国製自動車を韓国に輸出する際、韓国の安全基準を順守する義務は事実上なくなった。

 韓米FTAが発効すれば、米自動車メーカーは、韓国の安全基準に仕様を合わせる必要はなくなり、米国の基準さえ満たせば、各社ごとに年間2万5000台まで、韓国市場向けに販売が可能だ。2009年時点で韓国での販売台数が4500台を下回る米国メーカーについては、燃費、二酸化炭素排出量も韓国の基準に従う必要はなくなる

 産業研究院(KIET)のイ・ハング主力産業チーム長は、「米国の安全基準を事実上、全面的に認めたことで、韓国の自動車業界で逆差別だと論議を呼ぶ可能性がある」と指摘した。

 しかし、値上げ余地と環境・安全基準適用にもかかわらず、専門家は、米国の輸入車が韓国の自動車市場に与える影響はそれほど大きくないとみている

 韓国の自動車業界関係者は「米国車は燃費と小型車については競争力が劣るため、価格が少々下がっても販売が大きく増えることはないとみている」と述べた。実際に今年に入り、10月までで米国車の韓国での販売台数は輸入車全体の8.4%の6247台にすぎない

 自動車部品業界には大きな恩恵が見込まれる。韓国製自動車部品に対する関税(4%)が即時撤廃されるためだ。韓国から部品供給を受ける現代・起亜自の現地工場は競争力が高まりそうだ。

 このため、韓国の自動車業界は、韓米FTAの交渉妥結を歓迎している。現代・起亜自と韓国自動車工業協会(KAMA)は、「韓米FTAが早期に発効するよう、批准が速やかに完了することを期待する」との声明まで発表した。

■欧州・日本メーカーは「漁夫の利」

 米国に工場を持つ欧州・日本の自動車メーカーが受ける恩恵も少なくないとみられる。日本のトヨタ、日産、ホンダとドイツのフォルクスワーゲンBMW、ベンツはいずれも米国に工場を持つ。これらメーカーが米国で生産する自動車を韓国に輸出すれば、FTAによる恩恵を受けられる

 韓国トヨタの中林尚夫社長は、韓国とEUFTA交渉が妥結した際、「欧州工場で生産したトヨタ車を韓国に輸出し、価格競争力を高めることも検討している」と述べている。価格競争力の面で有利ならば、米国で生産した車両を韓国に輸出することもあり得ることを示唆した発言だ。

崔元碩(チェ・ウォンソク)記者

李陳錫(イ・ジンソク)朝鮮経済i記者

朝鮮日報朝鮮日報日本語版

しかし同じく朝鮮日報でそもそもトヨタ式の経営に苦言を呈していることもあります。韓国語版からの引用だと思うのですが。
トヨタ方式」を脱却しなければ、日本経済の再起はない―韓国メディア

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101117-00000017-scn-cn
 「国内生産の損失を海外生産で補う『トヨタ方式』を脱却しなければ、日本経済の再起はない」とする韓国・朝鮮日報の記事を、中国国際放送局が伝えた。

 記事は冒頭、毎年30万人が見学に訪れるトヨタは製造業の「聖地」とみなされていることを紹介した上で、「しかしそのラッピングをはがすと、これ異常ないほどに効率の低さ、日本経済の問題点が現れているものはない」と論じた。

 その根拠として、トヨタが今月5日に発表した今年度上半期の営業利益3231億円と、海外拠点分を除いた国内本社の単独損益が1494億円の赤字という数字、さらに上半期に日本で生産した161万台のうち国内では80万台しか売れず、売れ残りを損が出る輸出に回さざるを得ない状況を挙げた。そして、海外での利益によって日本国内での損失を穴埋めし、日本本社社員の高水準な給与を支払っているという「トヨタの経営はいささか畸形」とした。

 また「畸形」を解決する方法については、国内需要を超える設備過剰部分を海外に移転することを「みんな分かっていること」として提起。しかし、100万台の生産を海外に移転することで日本国内では15万人が仕事を失うため、日本政府はトヨタに対して税制や資金面で優遇せざるを得ないとも論じた。

 そして、トヨタ5年連続で海外投資によるリターンが貿易黒字を上回っている日本経済の縮図であるとし、「日本は富を生み出す国民を育成することにカネを使わず、そのカネで何もせず他人の労働で生きている人々を養っている」と指摘。このような「トヨタ方式」を捨てて、初めて日本経済は再浮上すると締めくくった。(編集担当:柳川俊之)

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しかし周りの状況を見ていると、市場のパイが無いため働いても利益につながらないだけで、何もせずというわけではないと思うのですが…。ただ就職長氷河期といわれながら企業の中に入ると人が足りなく仕事多過ぎという現状は、政府の経済政策に問題があるんじゃないですかねぇ経済分かってませんけど。