中国、公式文書に空母建造明記「本格的な海洋強国に」

http://www.asahi.com/international/update/1215/TKY201012150551.html
2010年12月16日3時1分
 【北京=峯村健司】中国国家海洋局がまとめた2010年の中国海洋発展報告で、09年に国産空母の建造計画を策定したことが明記されたことがわかった。また、中国軍関係者によると、訓練用空母として改修中の旧ソ連軍のワリャークは12年、国産一番艦は14年にそれぞれ就役予定であることが新たに判明した。

 中国の軍や政府は空母建造についてこれまで公に認めておらず、政府の公式文書に盛り込まれたのは初めて。建造に向けて本格的に動き出していることが裏付けられた。

 海洋発展報告は、国家海洋局の研究機関、海洋発展戦略研究所が編集したもので、中国の管轄海域の拡大と海洋権益の保護を強化する戦略が打ち出されている。その中で中国軍は「09年に空母建造の構想と計画を打ち出した」とした上で、「本格的に海洋強国の建設に向けて乗り出したことを示している」と位置づけた。

 さらに、空母を建造して海洋強国になることは「中華民族の偉大なる復興を成し遂げるのに不可欠である」と記し、20年までに他国からの挑発や脅威に対抗する能力を高め、中レベルの海洋強国の仲間入りを目指すという目標を掲げている。空母保有が、米国などと海洋覇権を争うためだけではなく、ナショナリズムの高揚を図る狙いがあることもうかがえる

 軍関係者によると、胡錦濤(フー・チンタオ)指導部は09年4月、共産党政治局拡大会議で空母建造を正式決定。上海など6カ所の軍関連の企業や研究機関で建造が始まった。当初公表することを検討したが、「周辺国の脅威論をあおりかねない」という慎重論が高まり見送られた経緯があった。軍内には依然として公表を求める声が強いため、海軍と関係が深い国家海洋局が今回の報告の中にあえて盛り込んだ可能性がある。

 通常推進型の5万〜6万トン級の一番艦は当初、15年の就役を目指していたが、工事が順調に進んでおり、14年には完成する見通しとなった。ウクライナから購入し、訓練用として遼寧省大連で改修している旧ソ連軍のワリャーク(6万トン級)は12年には就役。20年ごろには、原子力推進型が完成する予定。いずれも海南島の三亜に配備されるとみられる。

 中国軍は、空母に搭載する戦闘機を国産で開発しており、約50人の中国人パイロットが陸上での訓練を始めている。遼寧省興城と陝西省西安には空母搭載用戦闘機の発着訓練飛行場を建設しており、湖北省武漢にはレーダーの試験をするための実物大の空母の模型が完成している。

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この記事は朝日新聞ですが、産経新聞でも中国の空母に関して記事があります。
中国、南シナ海で空母必要 すでに配備決定 

http://sankei.jp.msn.com/world/america/101216/amr1012161629007-n1.htm
 【ワシントン=古森義久】米国防総省シンクタンク「国家戦略研究所(INSS)」は15日、公表した中国海軍の作戦についての報告で中国首脳が南シナ海の領有権防衛などに航空母艦が必要だとみなし、すでにその配備を決めているという見解を明らかにした。さらに中国が数隻の空母を保有する見通しを述べ、その場合にはアジア地域での米国や日本への脅威が高まると警告した。

 同報告は「中国の域外海軍作戦」と題され、中国海軍が東アジア、西太平洋地域を越えてどのような戦略を目指すか分析している。

 同報告は中国海軍が遠隔地での作戦能力を高めるための手段の一つとして「航空母艦の攻撃艦隊と空母航空力」をあげ、中国共産党首脳がすでに中国が空母1隻は不可欠とみなし、近くその旨の公式発表をするとの予測を明らかにした

 同報告によると、中国首脳は「空母能力は遠洋に出て、南シナ海の領有権やインド洋の海上輸送路の防衛のような任務への空軍力保持ために明白な戦略上、作戦上の必要性の根拠がある」と信じている。そのために中国海軍は近い将来、単一の空母を保有するにいたるが、数隻の空母群を艦載機とともに持ち、遠隔地での主要戦闘能力を保有するのは今後10年の範囲だとみられる。

東シナ海第二列島線より東への進出のことが書いてないのはなんででしょうね。ともあれこのままでは確実に東アジアのバランスを崩しますね。