北方領土 歴史歪曲広がるロシア 日本の主張への理解者発掘が重要

http://sankei.jp.msn.com/world/europe/101223/erp1012232140010-n1.htm
 【モスクワ=佐藤貴生】北方領土問題をめぐり、ロシアのメディアは歴史的事実を歪曲(わいきょく)もしくは隠蔽(いんぺい)して報道し、「南クリール諸島(北方領土)はロシア領」という政府の戦略に沿った世論形成を進めている。日本政府は駐露大使を事実上、更迭する方向で検討に入ったが、メドベージェフ大統領の北方領土訪問といった事態に浮足立つことなく、ロシア側の誤った歴史認識という“病巣”を断つ努力も必要だろう。

 ロシアでは第二次世界大戦当時、有効だった日ソ中立条約を破ってソ連が対日参戦した事実を覆い隠し、「軍国主義からの解放」などの言葉にすり替える報道が支配的だ。それはロシアが今年、9月2日を事実上の対日戦勝記念日に制定した際にも多くみられた

 こうした傾向はいまに始まったものではない。露紙ブレーミャ・ノボステイは昨年7月、「南クリール諸島は第二次世界大戦の結果、ソ連領となった。それは1951年のサンフランシスコ講和条約を含む外交文書でさらに強化された」と伝えている。

 しかし、講和条約は日本が領有権を放棄した千島列島と南樺太の帰属先を明示していない上、ソ連は調印もしていない。こうした事実を公平に伝えるメディアは皆無だ。

 在モスクワの日本大使館では「事実誤認があるケースのほとんどに反論しており、コメントの掲載を求めることもある」という。だが、反論は、官製史観に基づく多くの記事に押し流されているようにみえる。

 北方領土は日本領、という考えを理解する人もロシアには存在する。48年から8年間、スパイ容疑のためシベリア・タイムイルの強制収容所に収容された経験をもつネト・レフ氏(85)=モスクワ在住=は産経新聞に、「ソ連軍による北方領土占拠は非人道的なものだった。高圧的なロシアの現政権の態度は健全ではなく、常軌を逸している」と述べた。

 ある日露外交筋は、こうした日本の主張への理解者を識者からも発掘し、ロシアの国内世論に反映させるべきだとの考えを示す。

 ロシアでは、政府の方針が決まるや否や、それに盲従する学者が多くを占めている。その中で歴史と真摯(しんし)に向き合い、正論を述べる層をどう構築するか。遠回りにみえるが、領土返還に向けて日本政府が避けて通れない重要な課題だ。

【イチから分かる】『北方領土問題』 露大統領訪問は方針の大転換
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101110/p5
というのもありましたね。