国連のネパール監視団撤退 国軍と毛派、対立のまま

http://www.asahi.com/international/update/0115/TKY201101150228.html
2011年1月15日20時19分

 【カトマンズ=武石英史郎】ネパールの紛争防止と民主化支援のため、2007年から駐留してきた国連ネパール支援団(UNMIN)は15日、任期の最終日となった。野党・ネパール共産党毛沢東主義派(毛派)と政府・国軍の意見対立が解消されないまま監視役が撤退することで、和平の先行きに不透明感が広がっている。

 ネパールでは、政府・国軍と毛派の間で約10年間続いた内戦の後、06年に和平協定が成立した。これを受け国連安保理がUNMINの創設を決め、日本の自衛官6人を含む18カ国約70人の非武装要員が、国内7カ所の毛派宿営地と国軍駐屯地の双方で、回収した武器と部隊の動きを監視してきた。

 駐留はネパール側の要請で7度延長されたが、国軍や与党内から、国軍が監視対象とされていることへの不満が噴出。政府は今回、毛派の反対を押し切って延長要請を見送った

 政府と毛派は国連当局者の仲介で14日、和平協定の存続と、与野党の代表者からなる委員会が監視業務を引き継ぐことで合意した。ただ、政府側には「国軍は国防省が管理すればいい。監視対象から外すべきだ」(与党ネパール会議派、ポウデル議員団長)との声がくすぶっている。国連監視下で止められていた新兵の募集や武器の輸入に国軍が踏み切った場合、毛派との関係が緊迫する可能性がある

 非毛派連立与党と、議会で最大議席を持つ毛派との対立は深刻で、和平合意で定めた憲法の制定作業や、約1万9千人の毛派軍部隊の国軍への統合は、実現の見通しすら立っていない。毛派の圧力で昨年6月、非毛派のマダブ・ネパール首相が辞任表明へ追い込まれたものの、その後、16回にわたる首相指名投票で新首相が決まらず、暫定状態の現政府が存続する異常事態が続いている。

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上は朝日新聞ですが、時事通信だと感じが違う気が。
党派対立誘発の懸念も=ネパール国連監視団が撤退

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110115-00000075-jij-int
 【ニューデリー時事】ネパールで政府と共産党ゲリラの内戦終結後、一連の和平プロセスの監視に当たってきた国連ネパール支援団(UNMIN)が15日、4年間の支援活動を終了した。同国は今後、独力で和平進展に取り組むことになるが、党派対立が深刻化し、制憲作業も全くめどが立たない状況。日本の陸上自衛隊6人を含む軍事監視要員の撤退で政治混乱が誘発される懸念が残る。

 ネパールでは2006年、政府と共産党ゲリラのネパール共産党毛沢東主義派(毛派)との間で和平協定が成立、その後共和制に移行した。UNMINは07年に設置され、当初1年の予定で活動を開始。毛派の私兵団駐屯地に71人の軍事監視要員を派遣するなどしていた。

 しかし制憲議会では、毛派の私兵団約2万人の政府軍への統合問題などが解決できず、和平プロセスが停滞。行政府の長である首相も党派間対立から昨年6月以降、不在の異常事態が続く。

 UNMINは任期を7回延長したが、業を煮やして昨年9月に撤退を決めた。同国各地に展開していた軍事監視要員も今月に入って大部分が首都カトマンズに撤収、14日には任務終了式典が開催された。

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これは業を煮やしたのが誰なのか主語を調べないといけないですね。
2010/09
<ネパール>国連は政治ミッションの任期延長に合意

http://www.asiapress.org/apn/archives/2010/09/16121644.php
2010年9月16日 12:16


内戦中の2005年12月に、ロルパ郡で開かれた人民集会で武器を誇示するマオイスト軍(人民解放軍)のゲリラたち 撮影 小倉清子

国連安保理は15日、ネパール政府の要請にしたがって、国連ネパール政治ミッション(UNMIN)の任期を来年1月半ばまで4ヶ月間延長することを決めた。

2007年1月からネパールの和平プロセスを支援してきたUNMINの任期が延長されるのは、これで最後となる。UNMINには日本の自衛隊が軍事監視要員として派遣されている。

マオイストこと、ネパール共産党毛沢東主義派は、2006年11月21日にネパール政府とのあいだで包括和平協定に調印して、10年にわたる反政府武装闘争にピリオドを打った。

2008年4月には新憲法を制定する制憲議会の選挙が実施され、マオイストが第一政党となった。同年5月28日には議会で、240年続いた王制を廃止して共和制を導入する動議が圧倒的多数で可決されている。

昨年5月に、国軍であるネパール軍との確執が原因で、マオイストのダハル首相が辞任し、マオイストが野党にまわって以降、ネパールの和平プロセスは暗礁に乗り上げていた。

その最大の障害となっているのが、和平協定に調印して以来、UNMINの監視のもとに全国28か所に設置された宿営地に滞在している、約2万人におよぶマオイスト軍兵士の処遇の問題である。

マオイストは"元ゲリラ"たちをネパール軍に統合することを求めているが、昨年5月に発足した統一共産党のネパール首相が率いる新政権の国防大臣は、就任直後にこれを拒否。

マオイスト側は、"元ゲリラ"一人一人の資格を問わず、部隊ごと統合されるべきと要求、他方、大半の政党とネパール軍の将軍らは、資格を満たした兵士のみが入隊すべきと主張している。

そうした中、与党であるネパール会議派や統一共産党は、和平協定にしたがって、ネパール軍とマオイスト軍両方の兵士と武器の監視をしているUNMINの役割に不満を表明するようになった。

任期切れが近づくと、ネパール軍のグルン参謀長はUNMINの任期を延長しないよう政治家のあいだでロビー活動を始めた。

UNMINを「マオイスト寄り」と批判する統一共産党のネパール首相は今月7日、UNMINの任務から「ネパール軍の監視」を除いて任期を延長することを国連に要請

その直後に、今度はマオイスト側が、UNMINの任務を現状維持のままにして任期を6か月間延長することを要請する手紙を別に送ったことから、国連安保理は、ネパール政府とマオイストに対して一致した見解を求めていた

国連常任理事国の大使らから圧力がかかる中、政府とマオイストは13日、UNMINの任務を現状のままとし、今回を最後として、4か月間任期を延長することに合意した。

しかし、国連安保理や周辺関係国では、政党間の対立により政治の混乱が続くネパールの情勢で、4ヵ月以内にマオイスト軍の統合が終了するか、疑念を抱いている。

6月30日にネパール首相が辞任を表明してから、議会で7回も首相選挙が行われたにもかかわらず、新首相は決まっていない。

カトマンズ 小倉清子)
    
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これが真相のようですね。まぁ国連も強制力を持ってるわけでもないだろうし、国連が支持していると権威を利用されるわけにも行かないだろうし、撤退するしかないんでしょうね。悪いことが起こらなければ良いんですけど。