<ミャンマー>「タンシュエ大統領」強まる 軍政は継続へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110131-00000070-mai-int

 【バンコク西尾英之】ミャンマーの首都ネピドーで31日開会した国会下院は、議長に現政権ナンバー3のシュエマン前軍総参謀長(63)を選出した。シュエマン氏は最高指導者、タンシュエ国家平和発展評議会議長(77)の後継者と目され、2月にも選出される大統領の有力候補の一人だった。シュエマン氏の議長就任で、大統領にはタンシュエ氏が選出される可能性が強まった

 現地からの情報によると、上下院は1日午前、副大統領3人の選出手続きに入る。このうち1人が大統領に選ばれるが、タンシュエ氏が副大統領に選出されれば大統領就任は確定的になる。

 ミャンマー国内では最近になって、タンシュエ氏自身が大統領就任に意欲を示しているとの観測が広がっていたが、本命とみられていたシュエマン氏の下院議長選出は、現地でも驚きをもって迎えられている。現地情報筋は、氏が議長を辞任して改めて副大統領に選ばれることも不可能ではないが現実的ではなく、タンシュエ氏の大統領就任の可能性が強まったとの見方だ。

 これまで独裁的権限を振るってきたタンシュエ氏が民政移管後の国家元首である大統領に横滑りすれば、民政移管が見せかけに過ぎないことがより鮮明になり、ミャンマーと米欧など国際社会との関係修復は極めて困難になる。

 一方、高齢で健康に不安を抱えるタンシュエ氏が海外での国際会議出席など大統領の職務をこなすのは困難との見方から、氏は軍を統括する国防治安評議会議長に就任して院政を敷くとの観測もある。このほかの大統領候補には現政権ナンバー4のテインセイン首相(65)らの名前が挙がっている。

 国会上院は31日、議長にキンアウンミン文化相を選出した。

 ◇多勢に無勢、論戦も困難…民主化勢力、少数民族政党

 選挙結果に基づく複数政党参加の議会としては1962年以来49年ぶりという歴史的な国会では、民主化勢力や少数民族政党が、民主化や民族自治拡大、国民経済の改善などで政権に論争を挑む構えだ。しかし軍部寄り議員が圧倒的多数を占める国会で、実りある議論が交わされる望みは薄い

 「議会ではガソリンなど燃料費の高騰や、携帯電話などの高額な通信費について議論したい」。31日、初登院を前に民族衣装で正装した民主化勢力「国民民主勢力」(NDF)のミャニャナスエ議員は毎日新聞に語った。

 上下院で少数民族系政党として最も多い計21議席を獲得した「シャン民族民主党」の議員は毎日新聞に「副大統領には少数民族議員を擁立する。我々は国会議員として自身の信じる行動を取る権利がある」と話す。

 だが議会は圧倒的に軍部寄り議員が優勢だ。11月の総選挙は民主化運動のシンボルとして国民の人気が高いアウンサンスーチーさん(65)を排除して実施され、軍事政権翼賛政党連邦団結発展党」(USDP)と、政権に近いとされる旧ネウィン政権系の「国民統一党」が、合わせて上下院とも民選枠のほぼ8割を獲得した。さらに憲法の規定で両院とも定数の25%の軍推薦枠議員が加わる

 これに対しNDFは両院合わせて12議席。地盤とする選挙区では比較的善戦した各少数民族系政党も、全体ではわずかな議席しか獲得できなかった。

 少数野党のNDFや少数民族系政党が議会で自身の要求を訴えても実現は極めて困難だ。

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一応こんな記事もありました。
ミャンマー>軍政が新国会名簿公表

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110121-00000118-mai-int
 【バンコク西尾英之】ミャンマー軍事政権は21日、国営紙を通じ今月31日に招集される新国会の軍人枠議員計166人(上院56人、下院110人)の名簿を公表した。軍の中堅幹部が中心で、最高指導者のタンシュエ国家平和発展評議会議長ら総選挙に立候補しなかった最高幹部は含まれていない

 08年の国民投票で承認された新憲法は、上下院議席の25%は無投票で軍人議員に割り当てられると規定。上下院軍人枠議員は昨年11月の総選挙で選ばれた上院民選枠議員、下院民選枠議員とともにそれぞれ1人の副大統領を選出し、3人の副大統領のうち1人が国家元首である大統領に選ばれる。

 軍人枠議員から選ばれる副大統領は議員である必要はなく、タンシュエ氏が大統領に選出される可能性は残っている

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http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110117/p1

スー・チーさんに連帯呼びかけ ミャンマーNLD議長
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20101222/p8
なども参照。

追記:
タンシュエ氏大統領はなくなったようです。
新大統領、テイン・セイン氏か=副大統領候補、タン・シュエ氏含まれず―ミャンマー

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110201-00000088-jij-int
 【バンコク時事】ミャンマー国会は1日、テイン・セイン首相ら5人を副大統領候補に選んだ。この中から大統領と2人の副大統領が決まる。焦点となっていた軍事政権トップのタン・シュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長は含まれず、大統領就任はなくなった。新大統領にはテイン・セイン氏が就任する可能性が高まった。

 タン・シュエ議長は国家元首の座を大統領に譲った後も、強い影響力を残すとみられている。今後、新政府の発足で「民政移管」は完了するが、実質的には形を変えた軍政支配が続く見通しだ。

 憲法の規定などによると、上下両院の4分の1を占める軍人枠議員とそれ以外の上院、下院各議員から計3人の副大統領が選出される。タン・シュエ議長は議員ではないが、軍人枠は議員以外からも選ぶことができるとされていた。

 候補者となったのは、下院がテイン・セイン氏ら2人、上院も少数民族政党出身者を含む2人。軍人枠は序列5位のティハ・トゥラ・ティン・アウン・ミン・ウーSPDC第1書記だけだった。

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まぁ民主化には遠いようですが。