「イスラエルとの平和条約破棄」=新政権主導へ意欲―エジプト・ムスリム同胞団

とりあえずどうまとめたらいいのか分からないので読んだ順

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000017-jij-int
 【カイロ時事】エジプト最大のイスラム原理主義勢力、ムスリム同胞団の最高幹部の一人でカイロ大学教授のラシャド・バイユーミ氏は2日までに、ムバラク大統領退陣後の政権で主導権を握ることに強い意欲を示し、エジプトが1979年にイスラエルと締結した平和条約を破棄するほか、米国の援助拒否、シャリア(イスラム法)導入など、政策の抜本的修正を目指す意向を表明した。バイユーミ氏は同胞団内で最高指導者に次ぐ幹部3人の1人。時事通信のインタビューに対し、同胞団の一致した見解として明らかにした。

 欧米諸国は親米ムバラク政権の退陣後のイスラム勢力台頭を懸念しており、バイユーミ氏の発言は欧米側を一層警戒させる材料になりそうだ。

 同氏は「最高憲法裁判所長官と協議し、暫定政権を設け、民主選挙を容認する憲法改正などを経た後、大統領選や議会選に候補を立てる」と言明。改憲については、大統領再選回数の制限のほか、宗教政党容認、シャリアに基づく犯罪処罰規則の導入を求める考えを示した。

 さらに、イスラエルとの平和条約を「平和的な条約ではなく、エジプトにとって降伏条約だ」と批判。「新政権ではパレスチナ問題の解決が最重要外交課題になる」と語った。

 米政府の巨額の対エジプト援助に関しては「米国は中東諸国を破壊する敵だ。援助を受ければ米国の意向に従う必要がある」とし、新政権入りすれば援助を拒否する姿勢を明確にした。ムスリム同胞団を弾圧してきたムバラク大統領については、退陣後に「不正蓄財や政治犯弾圧、デモ参加者殺害などの犯罪行為での訴追を求める」と述べた。 

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反大統領派に催涙弾=カイロ
少なくとも500人が負傷=エジプト
暴力行為を非難=エジプト情勢で

シャリア導入に関しては、スーダンでも内戦の原因になりましたが、エジプトにもコプト教徒がいるので、注意が必要ですね。
エジプト騒乱 ムバラク政権いよいよ崩壊か。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110202/p5
のエントリでも
【エジプト騒乱】「平和条約の維持要求を」 イスラエル首相が声明
という記事をあつかいましたが、ムスリム同胞団は真っ向から拒否ですね。
中東、長期不安定化も=エジプト情勢受け警告―イスラエル

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000023-jij-int
 【エルサレムAFP=時事】イスラエルのネタニヤフ首相は2日、議会で、エジプト情勢について、民主化を求める人々とイラン型の急進化を望む人々の間で対立が起きると予想、エジプトの混乱が中東を「何年もの間」不安定化させる恐れがあると警告した。

 ネタニヤフ首相は「自由と急進の二つからエジプトがどちらを選ぶか。この選択がエジプト、中東、そしてイスラエルの未来に極めて重要だ」と述べた。同首相はムバラク政権支持を公言している。

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反大統領派に催涙弾=カイロ
少なくとも500人が負傷=エジプト
暴力行為を非難=エジプト情勢で

民主的に選挙を行った結果が、イラン型のイスラム化(シーア派スンニ派の違いはあるでしょうが)になる可能性がおおきいのではと思います。ムバラク政権支持も上のエントリの平和条約維持をの前の話で、もうイスラエルも、ムバラク政権維持は不可能と見てると思います。

英首相、改革へ行程表を=国連総長も暴力非難―エジプト情勢

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000008-jij-int
 【ロンドン時事】キャメロン英首相は2日、訪英中の潘基文国連事務総長と会談し、エジプト情勢を協議した。首相は会談後、衝突に懸念を表明し「早期の政治改革に向け明確なロードマップ(行程表)が必要だ」と訴えた

 潘事務総長も「暴力は受け入れられない」と強調。エジプト政府に「人々の真摯(しんし)な願いに耳を傾けるべきで、国連は改革を支援する用意がある」と呼び掛けた

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ロードマップは作られるべきでしょうね。また国連の改革支援ですが、チュニジアも受けているようです。

また
エジプト騒乱 ムバラク政権いよいよ崩壊か。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110202/p5
のエントリになりますが、
チュニジア反政府デモ 死者147人に
の記事に、国連の人権問題担当チームが、「先週チュニジア入りし、革命に関する調査や暫定内閣への助言などを行っている。」とあります。
石油市場は緊急事態に陥っていない=田中IEA事務局長

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110202-00000292-reu-int
 [パリ 1日 ロイター〕 国際エネルギー機関(IEA)の田中伸男事務局長は1日、世界の石油市場は現在、緊急事態に陥っていないとの認識を示した。

 エジプトの政情不安が中東に波及することへの懸念から原油価格は急伸し、北海ブレント原油先物は2008年以来初めて100ドルを突破した。

 事務局長は「(市場に)混乱が生じれば、われわれは行動すべき」と指摘した。事務局長はIEAと石油輸出国機構(OPEC)の両方に言及したとみられる。

 また、OPECには柔軟な対応を求めていると語った。 

 スエズ運河の船舶航行は正常に行われており、スメド・パイプラインも通常通り稼動しているとした上で、エジプト情勢で運河が閉鎖されたとしても、市場で供給不足が発生することはないとの見方を示した。

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ここら辺もエジプト軍が展開して、治安維持に努めているという記事もありました。

エジプト騒乱“暫定政権”のシナリオは…まとまらぬ反政府勢力

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000504-san-int
 エジプトのムバラク大統領が任期限りでの退陣を表明したが、反ムバラク派と親ムバラク派の衝突が起きるなど、混乱が沈静化するめどは立っていない。今後、選挙までの“暫定政権”の形態としては、
(1)エルバラダイ国際原子力機関IAEA)前事務局長などの反政府勢力主体
(2)ムバラク大統領かスレイマン副大統領を軸とする現体制の存続
(3)国民から信頼されている軍の介入
−の3つのシナリオが想定される。

 今秋の退陣を表明したムバラク大統領に対し、野党勢力ムバラク氏が即時に退陣するまでは対話に応じないと強調している。

 反政府勢力の軸になるとの見方があるのがエルバラダイ氏だ。しかし国際的知名度はあっても、外国での活動が長かった同氏の国内での人気はパッとしない。

 当初は反政府勢力側の交渉役を任される方向でまとまりかけたが、主導権争いの中で一部野党が反発、広範な支持を得るには至っていない。2005年の大統領選に出馬し国内では知名度の高い野党、ガッド党代表、ヌール氏を推す声も出てきた。

 さらに、エジプト元外相でアラブ連盟事務局長のムーサ氏も、エジプト政界への復帰に意欲を示す。

 ムバラク氏が即時退陣を拒否した背景には、米欧などの諸外国がエジプトの急速な体制転換は望まないだろうという読みのほか、こうした反政府勢力の足並みの乱れもある。

 2日にはムバラク大統領を支持する集会が国内各地で開かれている。これ以上の混乱を望まない一般市民の声が反映されている可能性もある。さらに一部野党は同日、スレイマン副大統領との対話を受け入れる姿勢を見せ始めた。

 こうした中、
(1)ムバラク大統領が演説した通り自らが大統領選まで続投する
(2)ムバラク氏が即時退陣に追い込まれても、混乱回避を名目に、側近のスレイマン氏が暫定大統領に就任する
−というシナリオもまだ残っている。

 一方で反政府勢力は、イスラム教の金曜礼拝がある4日を「追放の金曜日」と呼び、先週の「怒りの金曜日」同様、大規模デモを呼びかけている。一気にムバラク大統領を辞任、亡命に追い込もうという作戦だ。

 親ムバラク派との衝突激化も懸念される事態に、目下、静観を決め込んでいる軍がどう動くのか。

 軍の制服組トップ、アーナーン参謀総長はマレン米統合参謀本部議長と連絡を取り合っているともいわれる。米国は長年、エジプトへの軍事支援を行っており、双方の軍のパイプは太い。

 軍部は現在のところ中立姿勢を貫いてはいるが、混乱が拡大すれば、自らの手で暫定政権樹立に乗り出す可能性も否定できない。

 こうした中、エルバラダイ氏が
(1)軍人と民間人からなる、民主化移行のための委員会を設置する
(2)スレイマン副大統領を暫定大統領とする新政権が上下両院を解散して新憲法を準備する
−など、折衷案ともいうべき腹案を持っているとも報じられている。(カイロ 大内清)

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ここら辺はまぁそういう動きなんだぁという感じですね。
エジプト情勢、米国が妨害=元大使派遣を非難―イラン

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110203-00000022-jij-int

 【テヘランAFP=時事】イラン外務省報道官は2日、エジプト情勢について「こそこそ話し合うため元大使を送り込み、偉大な国家エジプトで起きている活動を妨害しようとする米国の試みは、イスラム世界とエジプト市民の怒りと憎悪を生む結果になる」と述べ、ウィズナー元駐エジプト米大使のカイロ派遣を批判した。イラン学生通信(ISNA)が伝えた。 

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ウィズナー元駐エジプト米大使の名前は後でまた出てきます。とりあえずイランはエジプトのイスラム化歓迎ですね。
エジプトのムバラク大統領が9月の辞任表明、予想されるシナリオ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110202-00000423-reu-int
 [カイロ 2日 ロイター] エジプトのムバラク大統領は1日、テレビを通じて演説し、9月の大統領選での再選は目指さないが、円滑な権力の移譲に向けて任期を全うする方針を表明した。

【写真】エジプト反政府デモ、カイロに20万人超が集結

 ただ、同大統領は82歳。エジプトでは約30年にわたって独裁支配を続ける同大統領の退陣を求める大規模な反政府デモが続いており、大統領の方針表明に対して、カイロ中心部のタハリール広場に集まった市民からは、即時辞任を要求する声が上がっている。

 以下は、今後予想される展開に関する質問と回答。 

 <ムバラク政権は9月まで持続するか> 

 可能性は非常に低い。デモ参加者全員を団結させているのは、大統領の即時辞任の要求だ。

 大統領の演説を受け、市民は「われわれは立ち去らない。立ち去るのはムバラクだ」とシュプレヒコールを繰り返した。1日には約100万人が抗議に参加した。これまでの反政府デモは参加者が数百人程度だったが、1月25日から続く今回のデモは、国家機能を麻痺させ、大統領の地位を揺るがすほど大きな規模となっている。

 ただ、混乱を深める新たな要因として、大統領支持派の出現がある。1日のムバラク大統領の演説から数時間後、大統領支持派による小規模なデモが起こり、国営テレビはこれをすぐに取り上げた。強硬な支持者によって政権移譲が容易には進まない可能性が生じている。

 今後の動向はエジプト軍の対応にかかっている可能性がある。軍は、デモ参加者の要求は「正当」だとし、武力を行使しないと表明している。警察によるデモ隊の強引な取り締まりができない現状で、軍に選択の余地はない。大統領支持派と反対派が衝突した場合、軍は難しい状況で厳しい選択を迫られる可能性がある。現時点では、軍は反政府派に味方したいようだ。

 <ムバラク大統領退陣後は> 

 ムバラク大統領が退陣させられた場合、大まかには2つの展開が予想される。一つは、引き続き軍部による管理のもと、ムバラク大統領が最近指名したスレイマン副大統領、同氏が適任でなければ別の指揮官が大統領に就任する展開。

 もう一つは、選挙の準備が整い、完全な民政が樹立されるまで、移行政府が政府機能を代行する展開。最初はおそらく軍との緊密な連携が必要になる。

 <軍は権力を保持できるか> 

 抗議デモの中核メンバーは、スレイマン副大統領などムバラク大統領に近い人物は受け入れられない、と主張している。

 反政府派の勝利を意識し、次第にまとまりつつある野党勢力の立場はそれほど明確ではない。野党側はスレイマン副大統領が大統領に就任することに満足しないとみられるものの、一部では、自由選挙を準備するための移行期間の初期に設立される評議会のメンバーにスレイマン氏の名前が挙がっている

 レイマン氏が適任とされない場合には、エジプト軍のサミ・エナン参謀総長が大統領となる可能性がある。ただ、軍が米国との良好な関係を維持し、米軍から年13億ドルの軍事支援を受け続けたいならば、これはかなり大胆な人選といえる。あるシナリオでは、1985年に民衆の反乱がクーデターにつながり、軍指導者が翌年の選挙まで暫定的に国家を指導したスーダンの例にならう可能性が想定されている。

 <軍以外の権力者> 

 エジプトの登録野党は、ムバラク政権下で弱体化、分裂あるいは譲歩を余儀なくされてきた。近年生まれた反政府グループは、野党よりもはるかに素早く動き、ムバラク大統領の支配が弱まったとみて即座に集会を開いた。

 また、エルバラダイ国際原子力機関IAEA)事務局長や知識人のアフマド・ズウェイル氏など、影響力のある人物も台頭している。2氏はノーベル賞受賞者

 ただ、彼らの共通の政治的基盤がムバラク政権打倒という目標を超えて拡大する可能性はなく、政府の政策策定など詳細事項をめぐってはグループ化した途端に分裂する可能性がある。

 エジプトの民衆を取り込んだ全国的組織を唯一形成するのがイスラム主義組織のムスリム同胞団だ。この組織は長年にわたり、国の保安当局から弾圧を受けてきたが、依然手ごわさを維持している。ただ、どれほど手ごわいかは疑問だ。アナリストによると、ムスリム同胞団に対する国民の支持率は20─40%。エジプトではこれまで自由選挙がなく、信頼できる世論調査も実施されなかったため、実際は誰も分からない

 とはいえ、野党勢力が組織化を急ぐ一方、ムスリム同胞団は、政治空白を埋められるほど大量の支持者を動員することができる。

 ムスリム同胞団はすでに、多元的で民主的なイスラム国家というビジョンについて、国内で多数派のイスラム人口の支持を得ることに狙いを定めている。

 ムスリム同胞団はいま、政権に就く準備ができたと感じていない可能性、あるいは政権を望んでいない可能性がある。

 今回の大規模なデモを受け、次の政府は膨大な障害に直面し、応えるべき期待も高いとみられる。政権がつまづく可能性も高い。新政府は企業の信頼獲得や雇用創出に取り組むだけでなく、中東和平プロセスの進展に尽力する必要がある。また、国内外から非難されているガザの事実上の封鎖への対応も決定しなければならない。これらはムスリム同胞団がいま引き受けたくない仕事かもしれない。

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軍が米国と良好な関係を持っているというのは後で出てくると思います。またムスリム同胞団ですが、
エジプトデモ、最大イスラム団体も動く 政府は幹部拘束
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110131/p4
で、2005年の総選挙で88議席得ていたとありますが、この実績が評価されないのは不思議な感じがします。
ムバラク大統領が新内閣発表 軍部色強まる エジプト

http://www.asahi.com/international/update/0202/TKY201102010626.html
2011年2月2日0時58分

 【カイロ=貫洞欣寛】エジプトのムバラク大統領は31日、元空軍のシャフィク前民間航空相を首相とする新内閣を任命した。タンタウィ国防相が留任したうえ副首相を兼務。軍部色が強まる形となった。ガリ財務相、ラシード通商産業相ら経済系閣僚が更迭された。アブルゲイト外相が留任した。市民への手荒な取り締まりで批判が強かった内相は内務省出身のワグディ氏に置き換えられた。

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朝日新聞なので軍部色が強まるなんて悪いことに決まってると言いたいのかもれませんが、軍は中立を維持しエジプト国民ともいい関係を作っているといえそうですので、むしろムバラク大統領が、国民側との妥協点をみつけようとしてると言えるのかもしれません。

エジプトのデモ隊を襲撃 数百人けが 政権関与の説

http://www.asahi.com/international/update/0202/TKY201102020432.html
2011年2月3日1時27分

 【カイロ=貫洞欣寛、玉川透】エジプトの首都カイロ中心部で2日午後2時(日本時間午後9時)すぎ、ムバラク大統領の即時退陣を求めてタハリール広場でデモを続けていた野党勢力を、大統領支持を訴えるグループが包囲し、襲撃した。投石やこん棒、火炎瓶を使った大規模な衝突となり、数百人が負傷した模様だ。

 ムバラク大統領は1日夜のテレビ演説で9月の大統領選に出馬しないことを表明したが、即時辞任は否定。これに対し、野党勢力は即時辞任を求め、イスラム教の集団礼拝がある4日に再び大規模なデモを呼びかけていた。デモのさらなる拡大を阻止するため、ムバラク政権が襲撃に関与したとの指摘が相次いでいる。

 ムバラク大統領の即時退陣を求める野党勢力の「100万人行進」が前日に開かれたタハリール広場には、2日も即時辞任を求める数千人がとどまっていた。複数の目撃者が朝日新聞の取材に語ったところによると、ムバラク派が広場を包囲。内部にいた野党勢力の人々の脱出を許さず、投石などで攻撃を続けた。衛星テレビ局アルアラビアは、同局の記者が襲われた、と報じた

 目撃者の一人は、広場内で投石して野党勢力のデモ隊に包囲された私服の男が「自分は警官だ。勘弁してくれ」と叫ぶのを見た、と語った。衛星テレビ局アルジャジーラは、デモ隊を襲った男が警察官の身分証明証を持っていたと報じた。内務省は私服警官の関与を否定している。

 タハリール広場周辺には2日朝からムバラク派が広場に現れ、緊張感が高まっていた。カイロ中心部の国営テレビ周辺やカイロ西部ハンデシーン地区などではこの日、ムバラク氏支持を訴える人々が続々と集まり始めていた。午後2時ごろにはモハンデシーン地区などから数千人のムバラク派がタハリール広場に徒歩で向かい、騒乱に加わった。エジプトでは、貧困層に金銭を配って動員する官製デモが以前から起きており、ムバラク派の行動も、同様に動員された可能性がある。

 タハリール広場周辺から制服警官は撤収しており、代わりに配置されているエジプト軍は2日夕現在、衝突を制止せず静観を続けている。威嚇射撃をしたのではとの情報もある。

 エジプトの民主化運動指導者で国際原子力機関IAEA)の前事務局長エルバラダイ氏は「これはエジプトに対する犯罪だ」と政権を批判した。

 カイロでは2日朝、ムバラク支持デモへの参加を呼びかける差出人不明の携帯メールが一斉に発信され、政権側の巻き返しが始まったとみられていた。

 現場で騒乱を目撃した政府系シンクタンク、アハラム戦略研究センターのナビール・アブドルファッタル研究員は朝日新聞に「前日から、このようなことが起きる兆候が見えていた。体制エリートによってカネで雇われた貧しい人々や犯罪者らが、体制を維持するために暴れている」と指摘した。

 タハリール広場に面し、「ツタンカーメンの黄金のマスク」などが所蔵されているエジプト考古学博物館に対し、火炎瓶が投げ込まれたとの情報もある。

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ムバラク派に関しては諸説ありますが、とりあえず朝日新聞は官制デモという説。
カイロ市内のデモ、大統領支持派も応戦

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110202-OYT1T00924.htm
中東

 【カイロ=工藤武人】エジプト反体制デモの拠点、カイロ中心部のタハリール広場では、ムバラク大統領の次期大統領選不出馬表明から一夜明けた2日も数千人が詰めかけ、大統領の即時退陣を叫んだ。

 カイロ郊外ギザから来ている高校臨時教員アフメド・ハミドさん(37)は、「30年間何もしなかった大統領が残り数か月で改革なんかできるはずがない」と述べ、ムバラク氏が9月に予定される大統領選まで居座りをはかるのは許せないと憤っていた。

 一方、2日の広場周辺には大統領支持派も大挙押し寄せ、「大統領を辞めさせようなんて外国の犬だ」などとまくし立て、反体制派とつかみ合い寸前の口論を繰り広げる姿が見られた。

 大統領支持派は、食料品などへの手厚い補助金を出してきたムバラク政権の恩恵を受ける低所得者層が中心とされる。大統領の再選出馬断念で、危機感を強めているようだ。
(2011年2月2日22時14分 読売新聞)

読売新聞はムバラク派に関してムバラク政権の良い面が正当に評価された結果と見ているようですね。
退陣の裏側で何が…「内」と「外」から“引導”http://sankei.jp.msn.com/world/news/110202/mds11020222240021-n1.htm

2011.2.2 22:16

 【カイロ=黒沢潤】エジプトのムバラク大統領は1日夜、約30年にわたる独裁政権に終止符を打つことを表明した。軍がデモ参加者への武力行使を拒絶し中立な立場を取ったことに加え、米政権が大統領に“引退”を勧めたことが背景にあったもようだ。

 「去れ、去れ、ムバラク」「お前は絞首刑の対象だ」−。20万人の市民たちで埋め尽くされたカイロのタハリール広場では、大勢の若者らが大統領の演説直前、口々にこう絶叫した。

 紺色の背広姿、相手の目を射抜くような鋭い視線。広場に設けられた臨時スクリーンに、かつてイスラエルと戦った元空軍司令官の姿が映し出されると、若者たちは思わず息をのんだ。

 「この国で生まれた私は、この地で死ぬ。人は去りゆけど国は残る。エジプトよ、永遠なれ−」

 大統領の退陣決断には、自らの政権基盤だった軍の態度が影響しているとの指摘もある。軍は1日のデモを前に、「平和的な手段による表現の自由はすべての人が持つ権利だ。武力行使はしない」と言明。これを裏付けるように、広場前に陣取った戦車部隊は、「夜間外出禁止令」を無視して広場になだれ込む市民を事実上、“黙認”した。

 英紙サンデー・タイムズは、軍出身のスレイマン副大統領もムバラク氏に騒乱の長期化回避のために退陣を迫ったと報じている。

 一方、AP通信によるとオバマ米大統領が1月31日、ムバラク氏と個人的にも親しいフランク・ワイズナー元駐エジプト米大使をカイロに派遣、「そろそろ“終焉のとき”ではないか」と退陣を促したという。

 軍と米国という「内」と「外」の政権基盤から“引導”を渡されたことで、大統領は30年にもわたる独裁政権への「幕引き」を決断したとみられている。

レイマン副大統領も実は軍出身だったと。またワイズナー元駐エジプト米大使は上の方でイランが批判していた人だと思われます。しかしこの記事ムバラクは今秋まで留任するつもりなのにもうムバラク政権が終わったように書くのは気が早いのではないかと。、
独裁、貧困、過激主義…エジプト注視する中央アジア
2011.2.2 22:22 (1/2ページ)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110202/erp11020222230007-n2.htm
 【モスクワ=佐藤貴生】エジプトの反政府デモが勢いを増すなか、国内人口の大多数がイスラム教徒である中央アジア5カ国の政権は、事態の推移を注視している。長期化する独裁や貧困が蔓(まん)延(えん)している点でエジプトと類似点もあり、反政府運動の飛び火を阻止するかのような動きも現れた。

 カザフスタンで1990年から大統領の座にあるナザルバエフ氏は先月31日、来年末の任期切れを前に、大統領選を繰り上げ実施する方針を表明した。

 同国議会はこの約2週間前、同氏の任期を2020年まで延長することの可否を問う国民投票を行う法案を可決したばかりだった。大統領自らが複数の候補者による選挙実施にかじを切る姿勢を強調し、独裁への批判を回避する狙いがうかがえる。

 同国の大統領補佐官は2日、「エジプトは人口の半数が1日2ドルで暮らしている。私たちの90年代中盤の状況だ」とし、反政府運動が波及することは「あり得ない」と強調した。

 地下資源が豊富なカザフスタンは、貧困層が1割にとどまる中央アジアの“優等生”で、タジキスタンでは6割、キルギスでは4割が貧困にあえいでいる(米中央情報局=CIA=調べ)。

 さらに、両国とウズベキスタンの3カ国の国境が入り組んでいるフェルガナ盆地にはイスラム過激派の武装勢力の拠点があり、アフガニスタンの麻薬密売を資金源に勢力を拡大しているとも伝えられる。

 ウズベキスタンタジキスタンでは90年代前半から大統領が居座る独裁体制が続き、キルギスでは昨年、大統領が反政府暴動で国外に亡命するなど政情不安が続いている。

 モスクワ国立大のシズディコワ教授は中央アジアの情勢について、「権力側と社会との関係は危機的状況にあり、エジプト情勢は即座に波及しないとしても、長期的には影響を与えるのではないか」とし、どの国に“民主化ドミノ”が波及しても不思議ではない、との見方を示した。

中央アジアの記事ですが、エジプト人の半数が1日2ドルで暮らしているというのは重要ではないかと。
勢いづく同胞団 政権参加へ意欲

2011.2.2 23:43 (1/2ページ)

 【カイロ=大内清】ムバラク大統領が現在の任期限りの退陣を表明したことを受け、これまで当局による監視・弾圧対象だった非合法のイスラム主義組織ムスリム同胞団が勢いづいている。

 「請われれば新政権で一定の役割を果たす用意はある」。同胞団幹部のムハンマド・ベルタギー氏は2日、産経新聞の取材にこう述べ、悲願の政権参加への意欲を隠さなかった。

 今回の一連のデモで同胞団は当初、メンバー個人の参加は容認するとしながらも、組織としての態度ははっきりさせない方針をとった。ムバラク政権がデモを鎮圧した場合に備えての“様子見”だった。

 しかし、デモが一気に拡大した1月28日以降、徐々に「反ムバラク」色を強め、31日にはムバラク氏の退陣を明確に主張。今回の騒乱を党勢拡大の千載一遇のチャンスとみて、要求を強めているとみられる。

勢いづく同胞団 政権参加へ意欲
2011.2.2 23:43 (1/2ページ)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110202/mds11020223440023-n1.htm

 【カイロ=大内清】ムバラク大統領が現在の任期限りの退陣を表明したことを受け、これまで当局による監視・弾圧対象だった非合法のイスラム主義組織ムスリム同胞団が勢いづいている。

 「請われれば新政権で一定の役割を果たす用意はある」。同胞団幹部のムハンマド・ベルタギー氏は2日、産経新聞の取材にこう述べ、悲願の政権参加への意欲を隠さなかった。

 今回の一連のデモで同胞団は当初、メンバー個人の参加は容認するとしながらも、組織としての態度ははっきりさせない方針をとったムバラク政権がデモを鎮圧した場合に備えての“様子見”だった。

 しかし、デモが一気に拡大した1月28日以降、徐々に「反ムバラク」色を強め、31日にはムバラク氏の退陣を明確に主張。今回の騒乱を党勢拡大の千載一遇のチャンスとみて、要求を強めているとみられる。

勢いづく同胞団 政権参加へ意欲
2011.2.2 23:43 (2/2ページ)

 同胞団は1920年代後半、教師のハサン・アルバンナーによって結成され、反英闘争などではテロも実行。52年の軍事クーデターで権力を掌握した自由将校団により54年、非合法化された。

 その後は当局の弾圧を受けながら、慈善活動などを通じて社会に浸透。選挙では無所属候補としてメンバーを送り込み、2005年の人民議会(下院に相当、定数454=当時)選では88議席を獲得した。だが、昨年11〜12月の前回選では議席を失っており、このまま弱体化しかねないことへの焦りもあったとみられる。

たしかにムスリム同胞団の主張は強くなっていますね。また前回選で議席を失ったのは、弾圧に講義して選挙をボイコットしたからというのを付け加えておく必要があるでしょう。
ムバラク派の怪
2011.2.3 00:04 (1/2ページ)

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110203/mds11020300050000-n1.htm
 【カイロ=黒沢潤】エジプト・カイロのタハリール広場周辺で2日午後、数万人規模の反政府デモ参加者と衝突した親ムバラク派は数千人に達した。同派は与党・国民民主党(NDP)の支持者ら体制派とみられる。同派について、デモを主導する市民グループ「4月6日運動」の幹部はカタールの衛星テレビ局アルジャジーラに対し、「NDP党員や裕福なビジネスマン層が金銭で雇い入れた“荒くれ者”たちだ」などと語った

 この集団は、反政府デモ参加者との衝突を回避するため広場前で待機していた戦車部隊を迂(う)回(かい)する形で広場に行進。両派は、軍の車両が展開されていない路上で激しく衝突。エジプトメディアによれば、銃声も聞こえ、数十人が負傷したもようだ。

 親ムバラク派の中には、ピラミッドのあるカイロ郊外のギザ周辺から、ラクダやラバ、馬など十数頭に乗って同広場にたどりついた男たちの姿も。エジプトの主な国家収入の1つである観光産業が、連日続く民衆蜂起で打撃を受けていることに憤慨したものとみられる

 中東の衛星テレビ局アルアラビーヤは、親ムバラク派の規模がカイロ市内だけで、1万人規模に達したと伝えた。エジプト国内では数万人規模となり、各地で反政府デモ参加者らと衝突しているとみられる。全土での負傷者数などは不明。軍の介在なしにこのまま両派の衝突が続けば、社会機能がまひし、市民生活に深刻な影響を及ぼす可能性もある。

 ロイター通信によれば、軍は反政府デモ参加者らに対し、「(ムバラク大統領退陣という)当初の目的は達成されたはずだ。ただちに現場を離れ、自宅に戻れ」などと、繰り返し警告を発している

どうも産経新聞ムバラク政権はもう完全に崩壊しているという事にしたいらしくて、親ムバラク派が出てくるのは「怪」でしかないんだろうなぁという気がしてしまいます。軍が自宅に戻れと介入しているというのは産経新聞だけのようです。次のような記事もあります。
【エジプト騒乱】親ムバラク派と反ムバラク派が衝突 500人負傷 軍介入も

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110203/mds11020301310002-n1.htm

2011.2.3 01:31

 【カイロ=大内清】大規模デモが続くエジプトのムバラク大統領が今秋の退陣を表明してから一夜明けた2日、各地でムバラク大統領を支持する集会が行われ、カイロ中心部のタハリール広場では、双方数千人規模の親ムバラク派と反ムバラク派が衝突、中東の衛星テレビ局アルアラビーヤによると、少なくとも500人の負傷者が出た。

 軍は同日、声明を発表し、社会の安定のためデモ参加者に帰宅するよう要求した。デモを黙認するこれまでの方針を軌道修正した可能性もある

 また、遮断されていたインターネットが同日から復旧し始めたほか、夜間外出禁止令も緩和された

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やはり軍の介入について触れています。
また
エジプト騒乱 ムバラク政権いよいよ崩壊か。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110202/p5
ですが、そのエントリの中の、時事通信の記事でも
インターネットが回復=エジプト
というのがあります。

エジプト:両派石投げ合い血まみれ 銃声も

http://mainichi.jp/select/world/europe/news/20110203k0000m030117000c.html?inb=ra
 【カイロ和田浩明】エジプト・カイロでは2日、ムバラク大統領の即時退陣を求めて市中心部タハリール広場に集まっていたデモ隊に大統領支持派が事実上の「攻撃」を仕掛け、流血の惨事となった。市中心部ではこん棒などを持った両派の数万人が入り乱れ、相手方を激しく殴打。路面からはがしたコンクリート片や石を投げ合い、血まみれの負傷者が仲間に抱えられ次々と後方へ運ばれている。
市中心部では煙も上がっている。

 AP通信によると、反政府側デモ隊約1万人が集結していたところに、大統領支持派約3000人が襲いかかった。馬やラクダに乗り、手にむちや棒を持って襲いかかった支持派もいたが、反政府側参加者に馬上から引きずり下ろされ、路上で激しく殴打された。

 広場周辺には秩序維持のために国軍が展開していたが、衝突は防げなかった。一帯では時折、銃声が響き渡っており、兵士が事態沈静化のために空へ向けて発砲しているとの情報がある

毎日新聞 2011年2月3日 0時55分(最終更新 2月3日 1時13分)

毎日新聞ですが、こちらでも軍が静観をやめたことを匂わす記述がありますね。

まぁ相変わらず結論は無いのですが、エジプト騒乱について少しでも皆様の見通しが良くなればと思いつつエントリをしめさせていただきます。