手本はトルコ。

チュニジアとエジプト共にイランというよりはトルコをめざしているようです。東京外語大の翻訳記事からですが。
チュニジア軍、お手本はトルコ軍?・アラブ紙論評 (Milliyet紙)

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20110121_084303.html
チュニジア軍、お手本はトルコ軍?―アラブ紙論評
2011年01月20日付 Milliyet紙

アラブのメディアは、国家の政教分離の原則を守ろうとするチュニジア軍は、「アタテュルク主義の番人」といわれるトルコ国軍(TSK)をお手本にしようとしている、と伝えた。

チュニジアで、ベンアリ政権が国民の暴動によって崩壊した後、新しい国家の政治モデルに関する議論が始まった。アラブ世界で有力な新聞紙の一つ、ロンドンが拠点のアッ・シャルク・アル・アウサト紙のタールク・アル・フメイッド編集長は、先日執筆した社説でチュニジア軍をトルコ国軍にたとえた。

アル・フメイッド編集長は、記事の中で、「今、全注目はチュニジア軍に向いている。なぜならベンアリ大統領が国外逃亡する前には、抗議デモと直接対峙しないように後退していた軍部は、そろそろ、安全の確保と、失脚したリーダーの残党たちとの争いのため表舞台に戻りつつある。では、チュニジア軍の役割は何か?1980年代のトルコ軍をお手本にするのか?」という疑問を述べた。

アリ・フメイッド編集長は、「チュニジア軍は、国の独立後、治安の確保のため1978年1月26日と1984年1月3日の二回、支配権を手にした。しかし、今回はなぜ遠巻きに見守り、抗議デモに対してベンアリ大統領を守らなかったのだろうか?ひょっとしてチュニジア軍はアタチュルク主義の番人であるトルコ軍が1980年代に果たした役割を果たそうとしているのか?」と語った。編集長は、「軍が直接政権に干渉しない限り、我々にとって新しい時代に向き合っていることになる。このことも、チュニジア軍が、国家と政教分離の原則を守ることを義務とするトルコ軍をお手本にしようとしていることを証明している」と述べ、最初に質問した「チュニジア軍は1980年代のトルコ軍をお手本にしようとしているのか?」の疑問にイエスと答えた

チュニジアのAKP(公正発展党)

チュニジアで追放されていたアル・ナハダ党の指導者であるアシド・ガンヌーシ氏は、アメリカの著名な経済紙ファイナンシャル・タイムズとのインタビューでチュニジアに民主主義を定着させるため帰国の用意をしていることを語った。自分がトルコの公正発展党をお手本にしていると述べたガンヌーシ氏は、「我々の考えは公正発展党の考えに似ている。実際私の多くの著作物はトルコ語に翻訳され、良く読まれている」と語った

■メモ

*失脚したベンアリ元大統領の姉ニアメ・ベンアリ(73)が療養していたチュニジアのスセ市で心臓発作のため死去した。ベンアリ大統
領の家族33人が「チュニジアに対する犯罪のため」逮捕された。

チュニジアで、フアド・メバッザ暫定大統領が、過去とのつながりを断ち切ると語った。

チュニジアで刑務所に入れられていた政治犯は全員解放された。

*今日アラブの指導者たちがエジプトで集うサミットで、抗議デモが増えている国の低迷する経済を立て直すため、20億ドルの援助の決定が予定されている。

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(翻訳者:大久保はるか)
(記事ID:21223)

神権政治は目指さない」 チュニジアイスラム組織
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110124/p1
というのもありました。チュニジアの政変と軍の関係は
陸軍トップ、市民攻撃拒否 前大統領に引導 チュニジア
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110120/p11
などで触れました。

また、エジプトについてですが、
エジプト・ムスリム同胞団報道官「手本はトルコ、イスラム体制はめざさない」 (Zaman紙)

http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20110203_085955.html

エジプト・ムスリム同胞団報道官「手本はトルコ、イスラム体制はめざさない」
2011年02月02日付 Zaman紙

ホスニ・ムバーラク政権に対する抵抗の一環として、昨日(2月1日)数百万にも上るエジプト人が立ち上がったが、デモの影の主導者ともいえるムスリム同胞団から穏健なメッセージが届いた。

デモが行われたタリハール広場からZaman紙に語ってくれたムスリム同胞団スポークスマンのジェマル・ナッサール氏は、イスラエルや西洋勢力が主張していることとは異なり、「我々が望んでいるのはイスラム的な体制ではなく、民主的な体制である」と語った。この点で自分たちがお手本とする体制の一つが、トルコの体制であるとするナッサール氏は、「トルコは、我々が好きな、そして我々が評価する政権である。しかし、完全に有効な手本にはなりえない。なぜなら、エジプト特有の事情が問題となっているからだ」と述べた。ナッサール氏は、イスラム主義路線をとっていることに関する批判のなかで、「私たちは穏健派の団体です。暴力には絶対反対です。各組織と対話を行っています」と述べた。こうした対話をエジプト軍とも進めていると主張するムスリム同胞団のスポークスマンは、「デモにおける彼らの(軍の)態度を評価しています。我々は対話をしています。軍は私たちを拒否していません」と加えた。

ムスリム同胞団は、ホスニ・ムバーラク大統領がデモを受けて体制改革を行ったが、それを認めていない。またムバーラク後の暫定政府のトップに元国際原子力機関事務局長を務めたムハンメド・エルバラダイが就任するという事で、合意していることを強調したナッサール氏は、ムバーラク氏が任命したオメル・スレイマン副大統領と会談を行ったことを伝えた。スポークスマンのナッサール氏によれば、ホスニ・ムバーラク大統領はデモが始まったのち、紅海沿岸のリゾート地シャルム・エルシェイフに移った。そこからサウジアラビアへ逃げるつもりであるという。ムスリム同胞団幹部の一人イッサム・エルアリアン氏も、Zaman紙のインタビューに答え、現在の唯一の狙いはムバーラク大統領を国外追放にすることであると語った。アリアン氏は、ムバーラク大統領といかなる対話も断固として拒否していることも明らかにした。

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(翻訳者:智原幸穂)
(記事ID:21330)

エルバラダイ氏はムスリム同胞団も、
【エジプト騒乱】エルバラダイ氏を支持せず 次期大統領選で最大野党
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110204/p2
といっていたのですが。また、最近でも
<エジプト>エルバラダイ氏、薄れる存在感

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110207-00000102-mai-int

 【カイロ和田浩明】エジプトのムバラク大統領の早期退陣を求める反政府デモが続く中、民主化勢力の主要指導者と見られたエルバラダイ国際原子力機関IAEA)事務局長の存在感が急速に薄れている。スレイマン副大統領が6日に行った野党勢力との対話に出席しておらず、デモ参加者の間にも「次期大統領」の呼び声は高まっていないのが現状だ。

 対話には、既存野党のほか、事実上の最大野党勢力ムスリム同胞団」が参加し、改憲委員会の設置などで暫定合意した。同胞団が政府と公式協議したのは初めてで、政権側が無視できない存在となったことを示した。

 一方、エルバラダイ氏は米NBCテレビで、今回の対話を「誰が誰と話しているか分からない」と批判した。しかし、政権側がエルバラダイ氏と共闘関係にあった同胞団から一定の歩み寄りを引き出したことで、同氏の影響力が弱まったとの印象を与えている。

 ◇「海外生活長くエジプト知らない」

 また、エルバラダイ氏の支持層には、今回のデモを呼びかけたグループも含まれるが、デモ参加者の評価は割れている。「移行期の指導者としてはふさわしい」=モルシー・マンスールさん(56)、男性外科医=との声はあるが、「海外生活が長くエジプトを知らない。立派だが大統領には向かない」=ファトマ・サイードさん(46)、女性病院職員=と否定的な意見も少なくない。

 昨年2月の帰国後も民主勢力糾合に成功せず、「エジプトの変革」を呼びかけながら頻繁に国外を訪問していたことが批判につながった経緯もある。今回の騒乱の中心地となったタハリール広場に姿を見せたのも一度だけだった。

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昨年2月の事は
エジプト反体制デモ、エルバラダイ氏参加へ
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110128/p3
でも採り上げました。

まぁトルコのことをちゃんと知らないので、なんともいえないんですが、シーア派のイランより世俗派のトルコのほうが、目指しやすいようですね。トルコの本も一度読んだ方がいいかも。