パキスタンで米無人機攻撃停止 拘束米国人へ影響懸念か

http://www.asahi.com/international/update/0217/TKY201102170569.html
2011年2月17日23時26分

 【イスラマバード=五十嵐誠】パキスタン北西部で米国が激化させてきた無人機攻撃が先月23日以降止まっている。理由は不明だが、パキスタンではその4日後にパキスタン人を射殺した容疑で米国人が逮捕されており、攻撃継続が釈放問題に与える影響を米国が懸念しているのではないか、との見方がある。

 パキスタン北西部・部族地域には国際テロ組織アルカイダイスラム武装組織が潜伏しているとされる。無人機攻撃はオバマ政権下で激化した。武装組織幹部を殺害してきた一方で、パキスタン国内では攻撃で親類を亡くした住民が米側に損害賠償を要求するなど反発が強まっている。

 民間ウェブサイトによると、無人機攻撃は昨年は117件と一昨年から倍増。今年に入ってもペースは変わらず、1月23日までに9件あった。ところが、同日を最後に1カ月近く起きていない。

 パキスタンでは東部ラホールで1月27日にオートバイに乗った2人組を射殺したとして米国人レイモンド・デービス容疑者(36)が逮捕された。米側は同容疑者には外交特権があるとして、即時釈放を要求。パキスタンとの間で外交問題に発展している。

 このため無人機攻撃の中断について、パキスタン国内では「無人機攻撃の継続によって反米感情がさらに高まり、釈放がさらに困難になることを米国は懸念している」(地元記者)との指摘がある。

 一方、パキスタン政府は17日、デービス容疑者の外交特権の有無を審理しているラホール高裁に対し、政府回答の延期を要請し、認められた。政権内での意見集約が難航しているためとみられる。

 政府の見解をめぐっては、16日にこの問題でケリー米上院議員と会談したパキスタンのクレシ前外相が記者会見で「在任中に受けた報告では、全面的な外交特権はないとのことだった」と明らかにしたクレシ氏は11日にあった内閣改造で外相を外れたが、この問題でのザルダリ大統領との意見対立が一因とみられている。

ええとこの件も書こうと思ってるうちに進んでますね。

前外相の発言については、
米国人容疑者「免責ない」 パキスタン前外相が異論

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110216/asi11021621020000-n1.htm
2011.2.16 20:52


連行されるレイモンド・デービス容疑者=1月28日、ラホール(ロイター)

 パキスタン人2人を同国東部で射殺したとして米国人が逮捕され、両国の外交問題に発展していることについて、パキスタンのクレシ前外相は16日の記者会見で「在任時に受けた報告では(容疑者に)全面的な免責特権はないということだった」と述べた

 米側は逮捕されたレイモンド・デービス容疑者は大使館員で、外交上の免責特権があるとして、即時の釈放を要求。地元メディアは、クレシ氏は容疑者の処遇をめぐり、ザルダリ大統領らと意見が対立し、11日の内閣改造で外相ポストから外されたと報じていた。

 16日付の地元紙ドーンは、パキスタン政府は容疑者の免責特権を認める意見を裁判所に提出する見通しだと報道。米国が外交圧力を強める中、対応に追われる政権の混乱ぶりが浮き彫りとなっている。(共同)

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パキスタンで米職員が発砲、2人死亡 自衛と主張

という感じですね。まず過去のエントリへのリンクを張りましょう。どうも怪しい事件です。
殺人容疑の米外交官、広がる臆測=実は情報機関員? ―パキスタン
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110204/p4

CNN日本語版ではこんなあつかい。
米外交官がパキスタン人射殺、死亡した男性の妻自殺

http://www.cnn.co.jp/world/30001723.html
イスラマバード(CNN) パキスタン駐在の米外交官が現地の男性2人を射殺したとされる事件をめぐり、死亡した男性の妻が6日、農薬を飲んで自殺した。医師や家族によると、女性は事件処理の不当性を訴えていたという。

病院関係者によると、女性は同国東部ラホール近郊の自宅で自殺を図り、病院に運ばれたが間もなく死亡した。親族によれば、死の直前、事件を公正に裁いて欲しいと求め、夫を殺害した米国人を釈放しないよう訴えていたという。

焦点となっている米国人は、在ラホール米国領事館に勤務するレイモンド・デービス容疑者。自殺した女性の夫(26)ら男性2人を殺害した疑いで1月27日から勾留されている。

デービス容疑者は、車を運転中にバイクに乗った男2人に襲われ、金品を奪われそうになったと主張。在パキスタン米国大使館も、男2人は武器を持っており、デービス容疑者が射殺したのは自衛のためだったとして、外交特権を理由にパキスタン政府に対し同容疑者の釈放を求めた

この事件をきっかけにパキスタンでは反米感情が高まっている。抗議デモも発生し、政府に対し、デービス容疑者を釈放せず、パキスタン国内で起訴するよう要求している。

ラホールの裁判所は先週、政府に対し、同容疑者の勾留を少なくとも8日間延長し、出国管理リストに登録して出国を禁止するよう命じた

なんか抗議の自殺や反米感情でのデモなど、法的に問題を解決することも出来ない野蛮人という印象を付けようとしているように思えるのですが、さっきのリンク先(のさらにリンク先)を見ていただいた人はお分かりかと思うのですが、赤字にした容疑者の名前や、『在ラホール米国領事館に勤務』というところがすでに怪しいのですが、そこは全く書かないんですかという感じなのですが。

でも日本の報道も色々あってよく分かりません。

読売新聞だと、
パキスタンで2人射殺の米国人、外交問題

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110209-00000935-yom-int
 【イスラマバード=横堀裕也】パキスタンで1月末、男性2人を射殺したとして逮捕された米国人男性の処遇が外交問題に発展している。

 免責特権を持つ大使館職員として釈放を求める米国に対し、パキスタン側は拒否しており、両国の同盟関係にも影を落としている。

 地元メディアなどによると、逮捕されたのはレイモンド・デービス氏。東部ラホールで1月27日、車を運転中にオートバイのパキスタン人の2人組を射殺したとされる。米側は身分をウィーン条約上の「事務及び技術職員」としか発表していない

 デービス氏は「銃で脅迫された」と主張しているが、フロントガラスを撃ち破って2人に銃弾を命中させており、高い射撃技術からパキスタンでは「米中央情報局(CIA)の要員だ」との見方が広まっている反米感情も高まっており、政府は米側の釈放要求に容易に応じられない状況だ。

こんな扱いです。

朝日新聞によると捜査は終わっているようです。
2人射殺した米国人を審理へ パキスタン、拘置決める

http://www.asahi.com/international/update/0213/TKY201102120258.html
2011年2月13日16時17分

 パキスタン東部ラホールでパキスタン人2人を射殺したとして米国人が逮捕された事件で、ラホールの裁判所は11日、この米国人の審理を今月25日に開始することとし、それまで14日間の拘置を決めた。米側はこの米国人には外交特権があるとして即時釈放を求めており、拘束の延長に対し、外交上の圧力を強める可能性もある。

 この米国人はレイモンド・デービス容疑者(36)と報じられており、1月27日に車を運転中、銃を所持したオートバイの2人組を射殺したとされる。正当防衛を主張しているが、捜査を終えたラホール市警の幹部は11日に記者会見し、「1人を撃った後、逃げようとしたもう1人も撃ち続けた」として意図的な殺人だったと結論づけた。(クアラルンプール=五十嵐誠)
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正当防衛
レイモンド・デービス

事件がうやむやのまま風化してしまわなければいいのですが。