リビア介入、国連は動くか 「国民を保護する責任」初適用も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110227-00000099-san-int
産経新聞 2月27日(日)7時56分配信

 【ニューヨーク=松尾理也】リビア情勢をめぐる国連安全保障理事会の会合が25日開かれ、状況報告に立った潘基文事務総長は「一刻も早く、決定的な行動を起こさなければならない」と、国際社会に介入を強く促した。過去、数々の紛争をめぐって「内政不干渉」原則の前に無力さを露呈してきた国連が、今度こそ実効性のある行動に踏み出せるかどうか、今回の対応は国連にとっても試金石となる。安保理は26日午前(日本時間27日未明)、対リビア制裁決議の採択をめざし再び協議を始める。

 制裁決議草案は英仏などが作成。人道に対する罪で問題を国際刑事裁判所(ICC)に付託することや、カダフィ政権幹部に対する資産凍結や渡航禁止、武器禁輸などが盛り込まれており、早ければ26日中の採択をめざす。

 主権国家の内部で住民の虐殺などが起きた場合、国際社会はどう対処すべきなのか−。この問いをめぐり国連は、とりわけルワンダボスニアでの住民虐殺が相次いだ1990年代、無力さをさらけ出してきた。内政不干渉の原則から、目の前で起きている虐殺を見て見ぬふりをしているケースが相次いだからだった。

 こうした苦い教訓から、2005年に開かれた国連首脳会合は、「保護する責任」命名した新たな概念で合意した。国家主権は住民を保護する責任を伴い、国家がもしその責任を果たせないときは国際社会が代わって責任を果たすべきだという考え方だ。

 だがそれでも、どれほど深刻なケースなら不干渉原則を曲げてもいいのか、といった点は政治的思惑に翻弄(ほんろう)されがちだった。その点で、今回のリビアは初めて実際に「保護する責任」の考え方が適用されるケースになる、と国連外交筋は指摘する。

 介入が許される範囲をできるだけ制限したいのが本音の中国、ロシアも、歴史的な流れを形作りつつある現在の中東情勢の中では、おいそれと反対はできない。中国はまだ制裁決議の一部に難色を示しているとされるが、「拒否権行使はおろか、採決で棄権という選択をしても国際的にきわめて厳しい立場に追い込まれるのは確実」(外交筋)だ。

 こうした状況を背景に、これまで指導力不足の評が常につきまとっていた潘事務総長は、ここに来て積極的な発言を連発。同時に国連内部でも、ルワンダボスニア、あるいはソマリアコソボなどで起きた過去の失敗を繰り返さないことへの期待が急激に高まりつつある。

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最終更新:2月27日(日)7時56分

産経新聞

と内政に干渉する気満々ですね(その事に反対するわけではありませんが)。

カダフィ大佐は下のように言っていますが、もはや過去の考え方なわけですね。
リビア騒乱】「何の価値もなく無効だ」カダフィ大佐、国連決議を一蹴

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110228/mds11022809040011-n1.htm

2011.2.28 09:03

 【カイロ=岩田智雄】ロイター通信によると、リビアの最高指導者、カダフィ大佐は27日、セルビアのテレビ局RTVピンクの電話インタビューに応じ、国連安全保障理事会が採択した対リビア制裁決議について、「何の価値もなく、無効だ」と一蹴(いっしゅう)した。

 インタビューでカダフィ大佐「ある国が別の国に対して攻撃を行ったのでなければ、国連は内政に干渉することを許されていない」と反発した。さらに、国連安保理を「報道に基づいて決定を行っている」と批判し、リビアで実際に調査するよう要求した。

 国連安保理は26日、カダフィ政権に「暴力の即時停止」を求め、カダフィ大佐やその家族らに資産凍結や渡航禁止などを科すリビア制裁決議を全会一致で採択していた。

 カダフィ大佐はまた、「国民は私を支持している。反逆者の小さな集団は包囲されており、処分されることになる」と強気の姿勢を貫いた。セルビアのテレビ局は、大佐がリビアの首都トリポリの執務室でインタビューに応じたと伝えており、大佐は「私はここにいる。どこへも行ってはいない」として、政権を手放さない意志を改めて強調した。

 ただし、反体制派はリビア東部地域に加え、トリポリの西約50キロのザーウィヤなどを制圧したと伝えられている。国連安保理決議は、デモ弾圧について国際刑事裁判所(ICC)への付託を盛り込んでおり、今後、カダフィ政権は人道に対する罪に問われることになる

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ICCについては2/26以降の事が書いてある記事はないかな。
安保理リビア制裁決議を採択 無差別暴力をICCに付託

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110227-00000023-mai-int
毎日新聞 2月27日(日)18時50分配信

 【ニューヨーク山科武司】国連安全保障理事会は26日、リビアカダフィ政権による国民への無差別暴力について、「人道に対する罪」に該当するとして国際刑事裁判所(ICC)に付託することなどを柱とする対リビア制裁決議を全会一致で採択した。ICCの捜査が進展すればカダフィ大佐と一族、側近らが訴追される可能性が高い。

 中国は、内政不干渉の観点から国内の民主化や分離独立運動への政府による弾圧を、国際社会が非難することに比較的消極的だが、今回の決議案には賛成した。

 決議は、リビア政権上層部による市民への暴力や敵対行為を「断固として拒否する」とし、国連憲章第7章41条(平和に対する脅威などへの経済制裁)に基づき政権に暴力の即時停止を求めた。このほか、
リビアへの武器輸出禁止▽
最高指導者カダフィ大佐の一族や軍事部門の政権幹部計16人の国外渡航禁止▽
大佐とその子供5人の海外資産凍結
−−を決めた。

 安保理がICCへ付託したのは05年のダルフール紛争に関して決議を採択して以来。このとき中国は棄権した。

 英国のグラント大使は決議採択後、記者団に「深い懸念と怒りを盛り込んだ決議を採択できた。2カ月以内にICCの検察官が捜査状況を安保理に報告する」と語った。潘基文(バン・キムン)国連事務総長は「決議は、基本的人権の侵害は到底許されないとの強いメッセージを現政権に送ることになる」と述べた。

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以前は潘基文国連事務総長も出席した会議で、これ↓でしたからね。
アラブ連盟首脳会議>スーダン大統領支持へ…30日開幕
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090331/1238450117
またエジプト次期大統領候補として有力な、ムーサ同連盟事務局長の名前もあります。

今回はスーダンの状況にも改善を促すでしょうか。ちょっと分かりませんが。

国連憲章第7章41条は
http://www.lares.dti.ne.jp/~m-hisa/uncharter/japanese.html

第41条〔非軍事的措置〕
安全保障理事会は、その決定を実施するために、兵力の使用を伴わないいかなる措置を使用すべきかを決定することができ、且つ、この措置を適用するように国際連合加盟国に要請することができる。この措置は、経済関係及び鉄道、航海、航空、郵便、電信、無線通信その他の運輸通信の手段の全部又は一部の中断並びに外交関係の断絶を含むことができる。

ということです。

追記:
リビアに飛行禁止区域設定を協議 米EU外相

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110228/amr11022823370006-n1.htm
2011.2.28 23:36

 クリントン国務長官は28日、欧州連合(EU)のアシュトン外交安全保障上級代表と会談し、リビアカダフィ政権による外国人雇い兵や武器の流入阻止などを目的に、リビア上空に飛行禁止区域を設定することに関して協議を行った

 アシュトン代表は「飛行禁止区域について(EUと米国が)協力を行う」と述べ、EUが米国と共に監視活動を行う意向を示唆した。

 飛行禁止区域の設定に関しては、リビアのダバシ国連次席大使が国連に設定を要請。国連安全保障理事会で協議が行われる可能性もある。(共同)

飛行禁止も国連決議が必要なはずですが、水面下で話が進んでいるようですね。