リビアと国際社会。

カダフィ政権、国際調停受諾か=ベネズエラ提案、反政府側は拒否
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110305/p4
というのを書きましたが、国際社会もいろいろと動いているようです。まずアラブ連盟
ベネズエラ大統領のリビア和平案を依然「検討中」=アラブ連盟事務局長

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110304-00000154-reu-int
 [カイロ 3日 ロイター] アラブ連盟のムーサ事務局長は3日、ベネズエラチャベス大統領が提案したリビアの危機を終結させる和平案について、「検討中」と述べた。

 中東の衛星テレビ局アルジャジーラは、複数の国の代表をリビアに送るというチャベス大統領の提案を、リビアカダフィ大佐とムーサ事務局長が受諾したと報じていた

 ムーサ事務局長は3日、ロイターの電話取材で、提案を受託したかとの質問に「していない」と答え、「チャベス大統領の案について聞いているが依然として検討中だ。われわれは昨日、複数の指導者に助言を求めた」と語った。いつまでに決定するかには言及しなかった。

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反体制派もチャベス案全くの反対というわけではなくなっているようです。
リビア反体制派、チャベス仲介受け入れに含み

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110307-OYT1T00449.htm
中東

 【カイロ=大内佐紀】ロイター通信によると、リビアの反体制派組織「国民評議会」のアブデル・ゴカ報道官は6日、最高指導者カダフィ氏派との和平交渉の仲介をチャベスベネズエラ大統領が申し出ていることについて「中身が何かによる」と記者団に語って、受け入れに含みを残した

 ただ、ゴカ氏は、チャベス氏の提案の中身については「我々には誰からも接触がなく、わからない」などと述べるにとどまった。

 国民評議会は、チャベス氏が2日に「国際平和調停団」による仲介を提案した時点では受け入れを拒否する考えを示していた。しかしその後、カダフィ氏派との戦闘が行き詰まる中、方針を修正した可能性がある。

 チャベス大統領とカダフィ氏はかねて親交が深く、調停受け入れについてカダフィ氏側には特に問題はないとみられている。
(2011年3月7日11時50分 読売新聞)

ところでアラブ連盟ですが、スーダンのバシル大統領を国際刑事裁判所(ICC)に反して支持していました。
アラブ連盟首脳会議>スーダン大統領支持へ…30日開幕
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20090331/1238450117

カダフィ大佐に関してもアラブ連盟が支持という事になれば、ICCの逮捕状もなんの効力も持たなくなると思います。でICCですが、
カダフィ大佐と息子、捜査対象に=リビア反政府派弾圧―国際刑事裁

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110303-00000173-jij-int
 【ブリュッセル時事】オランダ・ハーグの国際刑事裁判所ICC)のモレノオカンポ主任検察官は3日、リビアカダフィ独裁政権による反政府デモ隊への弾圧などをめぐり、同国の最高指導者カダフィ大佐や息子らが捜査対象になるとの見方を示した。

 記者会見で明らかにしたもので、同検察官は人道に対する罪での訴追に向けた捜査着手を正式に発表した。さらにリビアのデモ隊は同国の治安部隊に攻撃された疑いがあるとした上で、「治安部隊は大佐や息子を含む側近らが事実上掌握していることを確認した」と述べた。

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リビア軍、東部空爆を続行=カダフィ大佐の反転攻勢阻止

とありましたが、カダフィ大佐以外の捜査対象は息子だけではないようです。
国際刑事裁判所 カダフィ氏の捜査開始 人道に対する罪で

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110304-00000002-maip-int
 【ブリュッセル福島良典】国際刑事裁判所(ICC)のモレノオカンポ主任検察官は3日、リビア治安部隊による反体制派攻撃が「人道に対する罪」に当たるとして、最高指導者のカダフィ大佐と側近に対する捜査の開始を宣言した。証拠集めを終え次第、逮捕状を請求する見通し。

【写真特集】リビアの混乱を写真で見る

 ICCが現職国家元首を捜査するのはスーダンダルフール紛争で09年3月に逮捕状を発行したバシル同国大統領のケース以来2例目。国際社会がICCを通じてカダフィ大佐を追い詰める包囲圧力を強めた格好だ。

 主任検察官はオランダ・ハーグで記者会見し、カダフィ大佐と息子を含む側近が「平和的なデモを攻撃した治安部隊に対する事実上の権限を持つ」と指摘した。治安機関責任者についても「指揮下の部隊が罪を犯せば責任を問われる」と警告、「最も責任の重い数人」の訴追を求める考えを明らかにした。

 主任検察官は証拠集めを急ぎ、数週間〜数カ月以内に逮捕状の発行をICC予審裁判部に請求する見通し。主任検察官は会見でICCの「中立性」を強調、反体制派の暴力行為も訴追対象になり得ると述べた。

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確かに反体制派の犯罪も訴追対象にしないと中立でないといえるかもしれません。しかしカダフィ以外も罪を問われるというのは、
反体制派がカダフィ軍事拠点への空爆を欧米に要請 国連承認下で …正義は誰の手に?
でとり上げた
リビア法相、暫定政府樹立に着手=3カ月以内に選挙、国土一体性維持

反政府デモ隊弾圧に関し、犯罪に責任を負っているのはカダフィ大佐のみで、同大佐の出身部族であるカダドゥファ族に責任はないとの見解を示した。

とは違いますね。また国連ですが、カダフィ大佐の方からせめているような。
カダフィ氏が「新大使」任命 国連事務総長、扱いに苦慮

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110306/erp11030615290004-n1.htm
2011.3.6 15:28


5日、リビア中部ベンジャワド近郊で高射砲を発射する反体制派(ロイター)

 リビアの最高指導者カダフィ大佐が、自分を「虐殺者」と非難した国連大使を解任し、トレキ前国連総会議長を新大使に任命したと国連に伝達、潘基文事務総長が対応に苦慮している。すんなり認めれば、住民の武力弾圧を続けるカダフィ氏の「信任」と受け取られ、認めなければ「内政干渉」との批判がロシアなどから出かねないためだ。

 国連加盟国の大使は任命後、自国政府の元首らの信任状を事務総長に提出し、手続きが完了する。潘氏にとって厄介なのは、カダフィ氏は国際社会から「住民殺害」を批判され即時退陣を求められている身だが、まだ「国連加盟国リビアを代表する正統な元首」(外交筋)である点だ。

 潘氏の本音は新大使を認めないこととみられ、あらゆる法的側面から検討させているという。リビア情勢が劇的に動く可能性もにらみ、しばらく塩漬けにするかもしれない」(外交筋)との臆測も出ている。(共同)

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リビア情勢動くとしてもカダフィにとって有利な方に動いているような気もします。また、
リビア介入、国連は動くか 「国民を保護する責任」初適用も
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110301/p2
で、『「拒否権行使はおろか、採決で棄権という選択をしても国際的にきわめて厳しい立場に追い込まれるのは確実」(外交筋)』とあった事から見ればだいぶ国連が後退している感が否めません。

カダフィ大佐は国連に対して何も隠し立てする気はないようです。
国連調査団のリビア訪問を=カダフィ大佐、仏紙と会見

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110306-00000100-jij-int
時事通信 3月6日(日)22時31分配信

 【パリ時事】リビアの最高指導者カダフィ大佐は6日付の仏紙ジュルナル・デュ・ディマンシュとのインタビューに応じ、国連安保理の対リビア制裁決議を「無効だ」と非難するとともに、実情把握のため「国連やアフリカ連合AU)の調査団によるリビア訪問を希望する」と述べた。

 この中で大佐は「安保理は内政問題に権限がないのに、(反政府派弾圧の)報道やうわさを根拠に逸脱した」と批判。安保理が介入するなら調査団を派遣すべきだとし、調査団が来れば「何の制約もなしに国内視察を認める」と述べた

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しかし上でもリンク貼った、
リビア介入、国連は動くか 「国民を保護する責任」初適用も
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110301/p2
では内政問題にもある程度干渉できるという考えのようですが。

また国連の調査団は直ちに派遣されるようです。
<国連>リビアに人道調査チーム派遣へ

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110307-00000052-mai-int
 【ニューヨーク山科武司】国連の潘基文(バン・キムン)事務総長は6日、リビアのクーサ外相と電話協議。事務総長は同国の人道状況を調査するチームを直ちにトリポリに派遣することを提案し、クーサ外相は受け入れた

 同国の人道状況の調査に関しては、チュニジアリビア国境を視察した国連の人道問題調整事務所(OCHA)のエイモス室長が5日、国連による現地視察をリビア側に求めていた。

 電話協議で事務総長は、事態の深刻化を憂慮し、戦闘停止を改めて求めた。また事務総長は6日、周辺諸国と事態の協議・調整を行うリビア担当の特使にヨルダンのハティーブ元外相を任命した。

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まぁ人道問題というと広すぎて何を調査するつもりなのかいまいち分からないという面もあるのですが。国境で難民があふれているのも人道問題だろうし、反体制側が攻撃されてるのも人道問題だろうし。

とりあえず、今のところこんな感じのようですね。

追記:
一応国連の特使も決まっているようです。
ヨルダン元外相、リビア問題の国連総長特使に

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110307-OYT1T00411.htm
中東

 【ニューヨーク=柳沢亨之】国連は6日、潘基文(パンギムン)事務総長が、リビアカダフィ政権による武力弾圧問題担当の事務総長特使にヨルダンのハティブ元外相を任命した、と発表した。

 特使は今後、リビア国内の人道状況と弾圧に伴う問題に関してカダフィ政権や周辺国と協議を行う。反体制派と接触を図る可能性もある

 一方、潘事務総長は6日にリビアのクーサ外相と電話会談し、人道状況に関する国連調査団の即時受け入れを要請。外相は受諾した。カダフィ政権が2月中旬に武力弾圧を始めて以来、国際調査団の受け入れは初めて。反体制派が暫定政権樹立への動きを早める中、カダフィ政権も調査団受け入れで自らの正統性を国際社会に訴えたい狙いとみられる。
(2011年3月7日11時38分 読売新聞)

しかし反体制派と接触するのは当たり前のような気がするのですが、「可能性もある」程度の事なんでしょうか。