リビア飛行禁止区域設定は出来るか?

リビア飛行禁止区域設定にはただ「飛ぶな」といっても無意味なので武力行使が必要でしょうから、三つのハードルがあると思っています
1. 国連決議
2. NATOの合意(加盟28カ国の全会一致が原則)
3. アラブ圏からの支持

しかし、これらが全て必要と言う事ではないでしょう。
リビア騒乱】「国連決議は不可欠ではない」 飛行禁止区域で英外相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110303/p3
というエントリを依然書きました。またカダフィに対して武力を使う国が必要ですから、とりあえずNATOと書いていますが、NATOが動く必要が絶対あるという事でもないと思います。

ただ問題は3つ目に書いたアラブ圏からの支持でしょうね。
反体制派がカダフィ軍事拠点への空爆を欧米に要請 国連承認下で …正義は誰の手に?
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110305/p3
に、

国連の承認があっても外国軍による介入は、反体制派の蜂起を「リビア占領を狙った西側の謀略」と位置付ける大佐の術中にはまる可能性があり「大きなリスクを伴う」と指摘

とある通りだと思います。デモに空爆することが、そもそも滅茶苦茶なのですが、滅茶苦茶であるがゆえに、その行動を止めるにはリスクがあると思います。

そもそも既存の政治体制に不満があるというデモが起こっているわけですから、既存のアラブ連盟の支持をとりつけても、それをもってアラブ圏の人々に支持されたと見なせるかどうか微妙だと思います。支持されなければテロなどで反撃される恐れがあります。

<米国>アルバニア系のテロ計画に衝撃 ニュージャージー州
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20070514/1179146386
というのもありましたし。

アラブ連盟に関しては新たな記事がありました。
飛行禁止区域を支持=リビア情勢を協議―アラブ連盟
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110313-00000019-jij-int

時事通信 3月13日(日)1時17分配信

 【カイロ時事】アラブ連盟(21カ国・1機構加盟)は12日、当地で外相級会合を開き、内戦状態が続くリビア情勢について協議した。AFP通信が外交筋の話として伝えたところによると、同連盟は、反政府勢力に対するリビア軍の空爆を防ぐため、飛行禁止区域設定への支持を決めた

 同連盟のムーサ事務局長は設定に前向きで、各国の同意が得られるかが焦点だった

 加盟国中、サウジアラビアを含む湾岸協力会議GCC)6カ国などが賛成し、反対派のシリアやアルジェリアを多数決で押し切ったリビアは加盟資格を凍結されており、参加できなかった。

 また、同連盟は今後、リビア反政府勢力の連合組織「国民評議会」と交渉する方針を決めた。 

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とりあえずNATOの現状に関しては記事二本、
リビア騒乱】NATO、軍事介入を協議へ 作戦立案ほぼ完了

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110309/mds11030916070006-n1.htm
2011.3.9 16:06


対空砲火を撃つ反カダフィ派の男性=8日(ロイター)

 北大西洋条約機構NATO)は10、11の両日、ブリュッセルで国防相理事会を開き、カダフィ政権による反体制派への軍事攻撃が続くリビアに対する軍事介入について協議する。

 NATOは、リビアに飛行禁止区域を設定するケースなどを想定した作戦立案をほぼ完了。国連安全保障理事会の要請があれば「短期間で介入できる」と強調し、空中警戒管制機(AWACS)によるリビアへの監視活動を強化するなど、カダフィ政権に対する圧力を強化している。

 ただ、国防総省が飛行禁止区域の設定に慎重であることに加え、アフガニスタンに派遣した軍部隊の撤退を急ぐ欧州各国も「リビア派兵は望んでいない」(NATO外交筋)のが本音。加盟28カ国の全会一致が原則のNATOが早期介入を決断するかについては懐疑的な見方も根強い。(共同)

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NATOリビア飛行禁止空域」用意で合意 軍事介入も視野

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110311-00000008-maiall-int
 【ブリュッセル福島良典】北大西洋条約機構NATO、加盟28カ国)は10日、ブリュッセルで国防相会議を開き、アラブ諸国の支持などを条件にリビア軍の空爆から反体制派を守る「飛行禁止空域」の設定などの作戦立案を急ぐことで合意した。アラブ諸国の地域機構・アラブ連盟は12日に支持を打ち出す見通しで、米英などは国連安保理決議案の採択に向けた道筋を付け、カダフィ政権への圧力を強めたい考えだ。

 ラスムセン事務総長は「必要なら人道支援以外も検討する用意がある」と軍事介入の可能性に言及した。加盟国は地域諸国の支持に
加え
(1)カダフィ政権による反体制派への無差別空爆化学兵器の使用などを阻止する「人道的介入」の必要性
(2)安保理決議などの明確な法律上の根拠
−−が整った段階で介入するとの原則で一致した。

 リビア全土上空を飛行禁止にするには空軍力の長期展開と膨大な費用が必要となるため、禁止空域を北部地中海沿岸に限定する案が有力視されている。大規模空爆を避けてアラブ世論の反発を緩和、軍事介入に反対のトルコや、空域設定に慎重なロシア、中国、ドイツなどを説得する狙いもあるとみられる。

 NATO空中警戒管制機(AWACS)で上空からカダフィ政権の動きを24時間態勢で監視している。01年の米同時多発テロ以降、地中海で対テロ作戦に参加している艦船・航空機を飛行禁止空域の設定に振り向けることもできるが、任務変更が必要になる。

 飛行禁止空域のほか、リビア沖で武器流入などを監視する海上軍事作戦も立案されている。欧州連合(EU、加盟27カ国)も10日、特別外相会議を開き、リビアからの避難民の救援などの人道支援策を協議した。

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短期間で介入できると言う反面、安保理決議などが必要と言っているわけですね。

国連に関してはこの二本。
リビア騒乱】英米仏が上空の飛行禁止設定に向け、国連決議案に着手

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110308/mds11030807010001-n1.htm
2011.3.8 09:30

 【ニューヨーク=松尾理也】米CNNテレビは7日、米国、英国、フランスが共同で、リビア上空に飛行禁止区域を設定する国連安保理決議の草案作成に着手したと報じた。早ければ今週中にも安保理での協議に持ち込まれる可能性があるという。

 安保理は先月26日に対リビア経済制裁決議を全会一致で採択しているが、武力行使を容認することになる飛行禁止区域の設定をめぐっては、慎重論を唱える中国やロシアなどとの間で議論が対立する可能性もある。

 カダフィ政権側による反体制派への空爆が続く中、リビア国内の反体制派がつくる「国民評議会」やアラブ連盟などからも国際社会に対し、飛行禁止区域設定の要請が上がっている。設定にはこれまで英仏が最も積極的な姿勢をみせている。

 一方、ロシアのラブロフ外相は「現在の経済制裁の実行に全力を挙げるべきだ」として飛行禁止区域設定に否定的な態度を示している。経済制裁をめぐっては一枚岩の結束を示すことができた安保理が今回も一致するかどうかは微妙な情勢だ。

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「国民評議会」はこう言っています。
国連未承認でも飛行禁止を=EUに正統性承認迫る―リビア反体制派

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110309-00000163-jij-int
 【ブリュッセル時事】仏ストラスブール欧州連合EU欧州議会を訪れたリビア反政府勢力連合組織「国民評議会」のジェブリル危機管理委員会委員長は9日の記者会見で、「重要なのはカダフィ政権による殺りく行為を止めることだ」と述べ、国連安保理決議がなくてもリビア上空に飛行禁止区域を設定し、政権側による空爆を阻止する必要があると強調した。

 同委員長は「自国民への攻撃を始めた政権に正統性はない」とカダフィ政権を批判。同評議会をリビア国民の唯一の正統な代表」として直ちに承認するようEUに迫った

 欧州議会の有力議員によると、同議会はEUが同評議会をリビアの正統な政府として承認するよう求める決議案を一両日中にまとめる方向。同委員長らと会談したEUのアシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)は、10日のEU外相理事会や11日のEU首脳会議で反体制派の承認をめぐる意見交換が行われるとの見通しを示した。

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自国民への攻撃を始めた政権に正統性はないと言ってしまうと中国が… という気がします。

ロシアの記事も見つけました。
露、飛行禁止区域検討に一定の理解 リビア騒乱

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110311-00000129-san-int
 ロシアのラブロフ外相は10日、欧米諸国が検討しているリビア上空での飛行禁止区域の設定について、「提案が(国連安全保障理事会に)持ち込まれた場合には過去の経験に照らして研究するだろう」と記者会見で語った。国営テレビ・ロシア24が伝えた。外相は「内政干渉いわんや軍事介入は容認されない」との立場を強調しながらも、飛行禁止区域の議論には一定の理解を示した形だ。ラブロフ氏は検討作業に当たり、安保理特使によるリビア情勢の客観的評価や、飛行禁止区域での武力行使の規則を詳細に把握することが不可欠だと指摘した。(モスクワ 遠藤良介)

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これをロシアが一定の理解というのは、最初にリンクした
リビア騒乱】「国連決議は不可欠ではない」 飛行禁止区域で英外相
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110303/p3

決議がなくても、飛行禁止区域の設定が合法的で、国際的にも正当化されたケースが過去にもあった」として「(決議の有無は)現場の状況次第だ」

という意見がありましたが、合法的で正当化されるようなものなら国連決議に賛成してもよいと理解されているのでしょうか。

この問題の初期の頃の、
リビア介入、国連は動くか 「国民を保護する責任」初適用も
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20110301/p2
で、『「拒否権行使はおろか、採決で棄権という選択をしても国際的にきわめて厳しい立場に追い込まれるのは確実」(外交筋)』という状態が維持されているのなら上のような理解でいいのかも知れませんが、その後後退しているような気がしているのでなんとも言えません。

まぁなんでこんな事を書き出したかというと、この↓記事を読んだからなんですけどね。地震の影響で時間が経ってしまったのでうまくまとめるような事に挑戦しようと思ったのですが、うまく行ってないですよねw

リビア、一貫性欠く米政権 「国益損なう」批判も

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110311-00000122-san-int
 【ワシントン=犬塚陽介】事実上の内戦状態にあるリビア情勢をめぐり、オバマ米政権内で一貫性を欠く発言が目立っている。軍事介入も辞さない強硬姿勢を示す一方で、飛行禁止区域設定では作戦の困難さを強調。見解のぶれが、リビアの反体制勢力や国際社会の混乱や不信を招き、「米国の国益を損なっている」との批判も出始めている。

 「数多くの矛盾したメッセージが、リビアへの圧力を弱め、米国の信頼性をぐらつかせている」。米紙ニューヨーク・タイムズは9日付の社説で、政権のリビア政策を厳しく批判した。

 ホワイトハウスは表面上、カダフィ政権に強硬な姿勢を続けている。オバマ大統領は「軍事面を含むすべての手段を検討している」と強調し、カーニー大統領報道官は、反体制派への武器供与も選択肢の一つとの見解を示している。

 しかし、クリントン国務長官は9日、飛行禁止区域設定などをめぐって「国連の決議があることが非常に重要」と発言。ロシアや中国が難色を示す国連決議へのこだわりは、軍事的な選択肢に消極的な姿勢の表れとの観測が広がった。

 すると、カーニー大統領報道官が単独行動の権利もあることに言及し、方向性のつかみにくい発言が政権中枢から相次いでいる。

 米シンクタンク外交問題評議会のハース会長は米紙への寄稿で「リビアは政治的にも石油市場への影響でも、米国の最重要国とは言い難い」と述べ、「曖昧な定義による介入」を回避すべきと指摘している。

 ただ、カダフィ大佐側の残虐行為がエスカレートすれば、米国の態度がやり玉に挙がる危険もある。

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いつの間にか洗濯が終わっているようなのでこの辺で。