米英と仏に不協和音 宙に浮く指揮権の移譲先

昨日はリビア空爆を肯定するようなエントリしか作れませんでしたが、その続き。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110322/amr11032221230011-n1.htm
2011.3.22 21:19 (1/2ページ)


リビア北東部ベンガジとアジュダビヤの間で、多国籍軍による空爆を受け、爆発する政府軍車両=20日(ロイター)

 【ロンドン=木村正人、ワシントン=犬塚陽介】米軍指揮下の多国籍軍によるリビア軍事作戦をめぐり、主力を担う米英両国とフランスの間で“亀裂”が表面化、指揮権の移譲先が宙に浮いたままになっている。北大西洋条約機構NATO)への指揮権移譲を唱える米英に仏が異を唱えているためで、NATO大使級会合は決裂。多国籍軍参加国の足並みも乱れている。

 19日に始まったリビア空爆は、ドイツ南西部シュツットガルトの米アフリカ軍司令部が米英仏などの攻撃を調整、指揮している。

 NATO大使級会合は21日、多国籍軍の指揮権を米アフリカ軍司令部のハム司令官からNATO欧州連合軍最高司令部のスタブリデス最高司令官(米国)に移譲することについて協議。フランスが突然、「NATOが表に出るとアラブ諸国の反発を買う」と反対し、紛糾した。

 22日付の英紙フィナンシャル・タイムズによると、ラスムセンNATO事務総長がその場で、軍事作戦への参加を拒むドイツとともにフランスを非難すると、両国大使は途中退席、険悪なムードが流れたという。

 パリで19日、米、欧州連合(EU)加盟国、アラブ連盟代表らを招いてリビアに関する緊急首脳級会議を開いたフランスは、会議終了2時間後にリビア空爆。米英両国はフランスから事前に十分な連絡を受けていなかったと報じられるなど、来年大統領選を控えるサルコジ仏大統領の独断専行ぶりが浮き彫りになっている。

 指揮権をめぐる混乱を前に、国内の基地を多国籍軍に提供しているイタリアは「米英仏の三頭態勢は無政府状態となっている」として、NATOが指揮を執らないのであれば基地提供を見直す考えを表明。ノルウェーも指揮系統が明確になるまで、派遣している戦闘機6機の作戦参加を先送りする方針を示している。

 一方、オバマ米大統領は21日、「指揮権を数週間でなく数日中に移譲する」と明言しており、英仏のいずれかが司令官を出しNATOの指揮系統を使う代案も急浮上している。

フランスの独断専行ぶりは他にも表れていると思います。
リビア空爆安保理決議前に偵察飛行 仏空軍

http://sankei.jp.msn.com/world/news/110323/erp11032300280001-n1.htm
2011.3.23 00:27

 フランスのフィヨン首相は22日の国民議会(下院)審議で、リビアへの武力行使を容認する国連安全保障理事会決議の採択に先立ち、フランス空軍が今月4日からリビア上空で偵察飛行を行っていたと述べた。安保理が決議を採択したのは17日で、採択前に主権国家の領空で「作戦行動」を行った事実は今後問題となる可能性がある。(共同)

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またちょっとさかのぼりますが、攻撃の開始もフランスでした。
リビア軍事介入、仏英は石油利権・復権に思惑

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110321-00000562-yom-int
 【カイロ=鶴原徹也】フランスが主導し、米英両国が加勢して始まった対リビア軍事介入は、従来の米国主導の軍事作戦とは一変した構図を描く。

 米国は軍事行動の統合指令を担っているが、自らの役割を「限定的」としている。積極介入する仏英には、リビアの石油利権確保という国益に加え、国際的な復権という思惑がある。

 仏政府報道官は21日、「我々は過去48時間の空爆カダフィによる市民虐殺の進行を食い止めた」と述べ、人道介入の側面を強調した。実際、19日の軍事介入の口火を切ったのは、リビア反体制派の拠点ベンガジに迫るカダフィ派の戦車、装甲車両に対する仏軍機の空爆だった。飛行禁止空域設定のための対空施設破壊ではなく、「人道目的」の攻撃だったことが、軍事行動の性格を物語る

まぁちょっと『思惑』とか『性格を物語る』とかどうして言い切れるのかなとは思うのですが、ともかくフランスが積極的なわけですね。会社行く前に風呂に入りたいのでこの辺で。