<シリア核疑惑>安保理付託へ決議案 欧米、IAEAに

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110601-00000011-mai-int
 【ウィーン樋口直樹】6日から始まる国際原子力機関IAEA、本部ウィーン)の定例理事会で、欧米がシリア核問題の国連安保理付託に向け決議案を提出することが31日、毎日新聞が入手した決議草案で明らかになった。シリアが極秘裏に原子炉を建設していた疑いが濃厚と断じた、天野之弥事務局長報告を受けたものだ。

 草案は、シリアの行為がIAEAとの保障措置(査察)協定の「不順守」に当たると言明。「国連安保理の権限に相応する疑問に達した」と結論付けた。西側外交筋は「安保理付託に向け決議案を準備中だ」と語った。

 天野氏は先の報告で、07年にイスラエル軍空爆されたシリア東部デリゾールの施設について「原子炉だった可能性が非常に高い」と指摘していた。

 IAEA理事会は35カ国で構成し、決議案の採択には過半数の賛成が必要。06年にはイラン核問題を安保理へ付託する決議を採択。対イラン制裁に発展した経緯がある。

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核開発疑惑のシリア、IAEAに全面協力との書簡送付=外交筋

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110531-00000317-reu-int
 [ウィーン 30日 ロイター] 外交筋によると、核開発疑惑が持たれているシリアは前週、国際原子力機関IAEA)の天野之弥事務局長宛てに書簡を送り、査察を希望しているIAEAに対し全面的に協力するとの意向を示した。

 問題となっているのは、2007年にイスラエル軍による攻撃を受けた「ダイル・アッザウル」施設。米国諜報機関は、この施設はシリアが核兵器向けのプルトニウムを製造するために、北朝鮮の支援を受け建設していた原子炉だった疑いがあると報告。IAEAも、同施設は原子炉だった可能性が高いとする報告書を5月24日に配布している。

 シリアは2008年にIAEAの査察を1回受け入れたものの、その後の査察は拒否している。

 欧米諸国は6月6─10日にウィーンで開催されるIAEA理事会で、シリアの核開発疑惑について国連安全保障理事会に付託する決議の採択を目指している。このため、シリアがこの時期にIAEAに全面的に協力するとの書簡をIAEA事務局長宛てに送付したことは、安保理付託回避を狙った動きと見られている

 ただ西側外交筋の間では、同書簡によるIAEA理事会の決定への影響はほとんどないとの見方が出ている。ある外交筋は、同書簡は「決議採択と安保理付託の回避を狙って協力を誓ったもので、IAEAの査察を過去3年にわたり拒否してきたシリアの状況を何ら変えるものではない」と語った。

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