イラン原油生産、制裁で打撃=7月は300万バレル割れ―米社推計

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120807-00000036-jij-int

 【ニューヨーク時事】米資源情報会社プラッツが6日発表した石油輸出国機構OPEC)の7月の原油生産推計によると、イランの産出量が核開発に対する米欧の制裁を受けて前月比20万バレル減少し、日量290万バレルに落ち込んだ。イランは今年1月時点では同352万バレルを生産していた。

記事によって数字にばらつきがあって、始め理由が分からなかったんですけど、産出量と輸出量の違いでした(分かれよすぐにと思いつつ)。

イランの石油を輸入しているといえば、中国、インド、トルコあたりでしょうか、日本もしてますけど。ちょっとどんな記事があるか調べてみます。
まず中国。

2012/01あたりには中国の輸入量増えてたんですけどね。
中国のイランからの石油の輸入、84%増 (Jam-e Jam紙)
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20120109_104944.html

中国のイランからの石油の輸入、84%増
2012年01月07日付 Jam-e Jam

 中華人民共和国は2011年の9ヵ月間で、イランからの石油購入費用として158億5000万ドルを費やしたことが分かった。

 イラン国営通信が伝えたところでは、中国石油省が公表した最新の統計によると、同国はこの間、イランからの石油の輸入を前年同期比で84.5%増加させたという。イランは中国にとって、サウジアラビアアンゴラに次ぐ第三位の原油供給国
である。

 中国国営石油公社の統計では、2010年にイランは一日に42万バレルの石油を中国に輸出していた

 中国税関の発表によると、2011年における中国のサウジアラビアアンゴラ両国からの石油輸入量は、それぞれ19.7%、0.28%増加している。

 中国税関の統計が示すところでは、中国はアメリカに次ぐ世界第二位の石油消費国で、2011年の11ヵ月間で2億3186万トンの石油を輸入したとのことだ。これは昨年比で6%以上の増加を意味している。

関連記事(ヨーロッパ各国、意見に相違:イランの石油に対する制裁をめぐって)
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(翻訳者:8405127)
(記事ID:25120)

ちょっと何を根拠に84%増と言っているのか分かりませんね。158億5000万ドルというのが根拠でしょうか。日本が年間一兆円くらいと言っているので、たしかに多い数字です。

2012年08月には中国減っているそうです。
中国の7月イラン産原油輸入は前月比28%減=税関当局
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120821-00000095-reut-int

[北京 21日 ロイター] 中国の税関当局が発表したデータによると、7月のイラン産原油輸入は193万トン(日量約45万4500バレル)となり、6月から28%減少した。前年同月比では30%減。6月の輸入は日量約63万2618バレルだった。

イランの7月の原油輸出が日量110万バレルだったことから、中国向けが約41%を占めていたことになる。

ジュネーブに拠点を置くコンサルタント会社ペトロロジスティクスは、7月の中国のイラン産原油輸入について、中国着ベースで日量59万バレルと予想していた。

1月─7月の輸入は日量43万3450バレルと前年同期比で22%減少した。
契約条件を巡る両国の対立から第1・四半期に輸入が急減していた。

インドの場合は
インドの石油企業がイラン産原油をルピーで決済
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/30788

インドの複数の石油企業が、インドの通貨ルピーによるイラン産原油の代金の決済を開始しました。

ロイター通信によりますと、インドの国営石油企業、ヒンドゥスタン・ペトロリアムは3日金曜、「今年5月に輸入したイラン産原油の代金の一部を、初めてインドの通貨、ルピーで支払った」と表明しました。

インドでイラン産原油を最も多く輸入している別の国営石油企業も、「イラン産原油の代金をルピーで支払っている」と発表しました。

ヒンドゥスタン・ペトロリアムはイラン産原油の代金の45%をルピーで支払い、残りの55%をトルコのある銀行を仲介し、ドルで決済しています。

アメリカとEU諸国の一方的な制裁の後、イラン産原油の需要は増加していることから、制裁を実施した国がその目的を果たせないことが明らかになっています。こうしたことから駐テヘランのイタリア大使は、イランに制裁を加えている国が結果的に良好な市場を手放しているだけであることを認めています。

実際にどれくらいの量を買っているかは分かりませんが、トルコにもイランと決済している銀行があるのですね(日本はUFJが大半の決済をしているそうですが)。

ただトルコ自体はイランとの取引量を減らしているようです。
イラン産原油輸入20%減へ
http://www.el.tufs.ac.jp/prmeis/html/pc/News20120331_091308.html

2012年03月30日付 Hurriyet紙

アメリカ大使フランシス・リチャルドーネが、イランからの原油輸入に関して「トルコの決断が下るのを待っている」と述べた直後、エネルギー天然資源大臣タネル・ユルドゥズはイランから輸入している石油の一部をリビアから確保するよう調整が開始されたと明らかにした。

■20%減へ

トルコ大国民議会でユルドゥズ大臣は、新聞記者の質問に返答して、ここのところ焦点となっているイランからの石油輸入問題における新たな措置を明らかにし、次のように述べ た。

「対イランと、(エネルギー資源の)多様化政策をもとにトルコ製油所株式会社(テュプラッシュTu"pras,)と行った会談で、イランから輸入している原油100万トン分を今年はリビアから輸入する方向で決断した。この決定を両者との会談後におこなった。トルコは、イランからの原油輸入を20%減らす。」

■アラビアにも原油はある

 ユルドゥズ大臣は、ここ暫くこの問題に携わっているとし、次のように述べた。

「同様にサウジアラビアから随意契約また長期間契約を同時におこなう調整を進めているといっておこう。イギリス、フランスといった欧州連合諸国がイランから輸入している原油量は、全体のおよそ2%ほどである。しかし、われわれはほぼ半分をイランから買っている。このため、彼らと我々とでは輸入停止の意味は異なる。国際社会ではこのことは明白である。」

■トルコ製油所株式会社(テュプラッシュ)を通して買う

 リビア原油をテュプラッシュを通して購入するとしたユルドゥズ氏は、次のように述べた。

「テュプラッシュには、(エネルギー上の)安全保障や原油準備に関してトルコにはいかなる支障も存在しないと伝えた。このことには可能な限り注意を払う必要があり、またすべての要望に対応するためには我々の要望を明確にする必要があると伝えた。」

■昨年は輸入しなかった

ユルドゥズ大臣は、昨年リビアから輸入していないと述べ、「今年リビアから原油輸入を開始する。リビアの正常化と両国の貿易規模拡大を目指すので、この決定が正しいと信じている。このため、イランからの原油輸入量は落ちるだろう」と続けた。

■11カ国から石油、5カ国から天然ガスを買っている

現在5カ国から天然ガス、11カ国から原油を輸入しているとしたユルドゥズ大臣は、次のように述べた。「国際経済情勢、再調整、イランに関する制裁について伝えた。国連の決定は法的にわれわれを拘束する。」

■テュプラッシュ:イランからの輸入を20%減らす

 トルコ大国民議会でのユルドゥズ氏の発言直後、テュプラッシュは、世論啓蒙プラットホームへ行った発表により、イランからの原油輸入を20%減らすと伝えた。テュプラッシュは次のように述べた。「事態の展開により、削減部分は他から確保される。」

『イランから輸入している原油100万トン分を今年はリビアから輸入する方向で決断』との事ですが、原油100万トンはをバレルに換算すると、
石油およびエネルギーに関する諸換算表
http://www001.upp.so-net.ne.jp/dewaruss/oilenergyconversion.htm

1000キログラム(メートルトン)=比重0.9の場合6.99バレル、比重0.85の場合は7.4バレル

との事なので、699万バレル〜740万バレル?なんか多すぎませんかね?勘違いしてるのかな。

とりあえず次にいくとして、日本は駆け込みって感じで6月は増えていたみたいですね。
日本の6月イラン産原油輸入量、前月比+60.5%
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120730-00000080-reut-bus_all

[東京 30日 ロイター] 財務省が30日発表したデータによると、日本が6月に輸入したイラン産原油量(通関ベース)は前月比60.5%増の81万2693キロリットル(日量17万0389バレル)となった。制裁によるイラン産原油の輸入停止を前に精製業者が輸入量を増やした。前月の輸入量は日量10万6162バレルだった。前年比では33.9%減少した。

日本はイランにとって3番目の主要原油輸出先となっているが、欧州連合(EU)が域内の保険会社に対しイラン産原油の輸送タンカーへの保険適用を7月1日から禁止する制裁を発表したことで、6月初めから原油の積載を停止しており、7月はイラン産原油の輸入がゼロになる可能性が高い。

その後
日本タンカー、米艦船と衝突の件、イランの事などふくめて。
http://d.hatena.ne.jp/navi-area26-10/20120818/p2
にも取り上げたとおり、
日本、7月はイラン産原油輸入せず8月再開へ=関係筋
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120705-00000016-reut-int
となるんですけどね。8月以降の日本のイラン産原油輸入については、あったのかどうかまだ把握してません。

あとは陸路ですかね。『イランはアフガニスタンパキスタンイラクのような国境を接する国々に陸上輸送で〔石油を〕輸出しようと試みているという。』そうです。
■イラン、制裁への対抗措置を検討
2012年07月03日付 Mardomsalari紙

【イラン外交】EUによる対イラン石油禁輸措置が、日曜日から完全な形で行使されるなか、イラン政府は制裁を打破するために、中国とのバーター取引やガソリンのような石油精製品の隣国への販売強化を図っている。

 ウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道によると、イランはこの戦略を注意深く検討しているという。というのも、それが失敗に終わった場合、イランは自国の油井の一部を閉鎖せざるを得なくなるからだ。こうしたなか、先週木曜日にはアメリカ合衆国がイラン中央銀行に対する制裁を開始している。これによりイラン中央銀行と取引のある海外の金融機関ないし企業は、アメリカによる制裁を受けることになる。

 他方ヨーロッパはイランからもはや石油を購入しておらず、イラン産の石油を輸送するタンカーも〔ヨーロッパの保険会社による〕保険の対象外に置かれる見込みだ。本日(火曜日)、イスタンブールでイランとG6〔安保理常任理事国とドイツ〕の間で実務者協議が開かれることになっているとはいえ、この協議がイラン核問題の解決に成果を挙げる望みはほとんどないの現実である。

〔‥‥〕

 こうしたなか、イラン側は制裁に対抗するために完璧な準備を整えていると述べている。イランのロスタム・ガーセミー石油相は同省のウェブサイトで公表された発言のなかで、制裁に対抗するために可能なすべての選択肢がすでに政府内で検討されていることを明らかにした。その一方で、イランは石油カルテルOPECによる緊急会議の開催を要請しており、また国営イラン石油公社のアフマド・ガルエバーニー代表は、今年の後半におけるイランの石油輸出量は2割から3割減少する見込みで、その原因はEUによる制裁だ、と述べている。

 ウィーンにあるGBCエネルギー機構が金曜日に発表した報告書によると、イランの石油生産は1989年以来最低レベルにあるという。それによると、イランは6月に1日300万バレルの原油を生産していたが、イラン国内の石油産業への投資がEUによる制裁の対象となっていなかった2010年の同時期には、イランの1日の原油生産量は370万バレルだった。また、イラン政府の収入の半分を構成している同国の原油輸出量も、6月には約20%減少し、1日120万バレルになっているという。

海上輸送から陸上輸送へ

 EUによる保険禁止措置やイランが保有するタンカー数の制約を考えるならば、イランが海上輸送によって〔原油の〕輸出を図ることは困難になっている。こうしたことから、一部の報道によると、イランはアフガニスタンパキスタンイラクのような国境を接する国々に陸上輸送で〔石油を〕輸出しようと試みているという。これらの国々の銀行業界も、アメリカの圧力を受けづらいとされる。というのも、これらの国々は中国などと比較して、アメリカにおける経済的利害はわずかであるからだ。

まぁまだイランの事もすぐに決着が付く感じがしないですね。