テロ指定を解除=イラン反体制派MKO―米

上記見出し記事に関連して、イランの反体制組織であるムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)という組織について調べてみようと思います。

■テロ指定を解除=イラン反体制派MKO―米

 【ワシントン時事】クリントン国務長官は28日声明を出し、イランの反体制派組織、ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)をテロ組織指定から外す決定を下したと発表した。これにより、米国内のMKO資産の凍結が解除されるほか、米国の組織・個人とMKOの取引も可能となる。

 同長官は制裁解除の理由として、MKOが非暴力化し、テロ活動を10年以上行っていないことなどを挙げた。また、MKOは2002年、米国に対し、イランの核開発情報を提供。これにより、イラン核問題が明るみに出た。

これより古い記事は分からなかったのですが、2003年末にイラクに4000人いたようですね。

■イラン・ゲリラの追放決定=「テロ組織」は年内に出国を−イラク(時事通信)

 【カイロ10日時事】イラク統治評議会は9日、声明を出し、旧フセイン政権時代の1986年以来イラクにかくまわれ、処遇が問題となっていたイラン反体制武装組織ムジャヒディン・ハルク(MKO)の年内追放を決めたと発表した。評議会はMKOをテロ組織と批判、約4000人のメンバーに対し、年内に出国しなければ追放するとした。 
時事通信)[12月10日21時9分更新]

しかしこの2003年以内の出国は殆ど行われなかったようです。2004/07に3800人いたようですから。

反体制派兵士を法的保護 米決定にイランの反発必至(共同通信)

 【ワシントン27日共同】米国務省は26日、イラクを本拠に隣国イランに越境ゲリラ攻撃を行い、昨年のイラク戦争で米軍が武装解除したイラン反体制組織ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)の兵士約3800人に対し、捕虜や非戦闘員の保護を定めたジュネーブ条約に基づく法的地位を与えたことを明らかにした。

 しかし、MKOを敵視し身柄引き渡しを求めるイランが今回の米国の決定に反発するのは必至で、イラク暫定政権も「厄介者扱い」するMKOの処遇をめぐり、米国は当面頭を悩ませることになりそうだ。

 エアリー同省副報道官は、米国がテロ組織に指定するMKOの兵士について、イラク戦争における「交戦相手」とはみなさないとの最終判断を米政府が下したと指摘。「メンバーがイラク国内外で脅威にならないよう」多国籍軍が引き続き努力する考えを強調した。
共同通信)[7月27日17時36分更新]

翌日の新聞ですが、イラン反発しています。このときにはMKOはアメリカにとってテロ組織なのですから当たり前だと思います。

反体制派兵士を法的保護 米決定、イランは反発(共同通信)

 【ワシントン27日共同】米国務省は26日、昨年のイラク戦争で米軍が武装解除したイラン反体制組織ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)の兵士約3800人に対し、捕虜や非戦闘員の保護を定めたジュネーブ条約に基づく法的地位を与えたことを明らかにした。MKOはイラクを本拠にしてイランに越境ゲリラ攻撃を行っていた。

 MKOを敵視し身柄引き渡しを求めるイラン側では、外務省報道官が27日、米国が「テロリストへの支援を法的に正当化しようとしている」と反発。米国がMKOを「良いテロリスト」として分類し直したと非難した。イラク暫定政権も「厄介者扱い」するMKOの処遇をめぐり、米国は当面頭を悩ませることになりそうだ。
共同通信)[7月28日0時29分更新]

じっさいこれが2004/10になるとフセインがMKOを支援していた事が報道されました。

テロ組織援助の証拠に沈黙 調査団報告書で米政権

 【ニューヨーク14日共同】米誌ニューズウィーク(電子版)は14日、イラク大量破壊兵器を捜索した米調査団の報告書がフセイン元大統領によるテロ組織援助の証拠を示したのに、ブッシュ政権はほとんど沈黙を守っていると報じた。

 それによると、援助を受けたのは米国務省がテロ組織と指定しているイランの反体制組織ムジャヒディン・ハルク(MKO)。MKOは2001年の米中枢同時テロとも国際テロ組織アルカイダとも無関係で、過去にアシュクロフト司法長官や共和党有力議員らがMKOを支持した経緯がある。

 報告書は、フセイン政権が国連管理下の「石油・食料交換計画」に基づいて石油販売権を与えた外国の友好的な企業や組織として、MKOを含む13件の秘密リストを示していた
共同通信) - 10月15日12時21分更新

「石油・食料交換計画」というのはイラクが最低限の食料は買えるように石油を売ることを認めていた仕組みですね。フセイン政権はMKOを外国の友好的な企業や組織とみなしていたと。それを使ってイランに対抗していたわけですね。
2007/04には
■旧フセイン政権がアルカイダと協力していなかったことが、イラク進攻前に「確認」されていた
という報道はありましたけどね。むしろフセインと協力関係にあったテロ組織を優遇していると。

しかしイラクとしても米軍保護下のMKOはどうにも出来ないようです。
2004/12

■イラク国境警備隊支援、具体策で合意できず

 イラク支援を話し合う周辺7か国とイラクの内相会議が、テヘランで行われ、最終日の1日、来年1月予定の国民議会選支援などをうたった共同声明を採択、閉幕した。ただ、テロリスト侵入防止のための国境警備など、具体策については合意できなかった。

 30日に始まった同会議では議長国イランが、イラク国境警備隊支援を申し出た。その一方で選挙直後の米軍撤退やイランの反体制組織「ムジャヒディン・ハルク」(MKO)のイラクからの追放も要求これに反発するイラクは結局、イランの国境警備隊支援案を拒否した。(カイロ支局)

結局イランからMKOに大赦が与えられイランに帰国する人も出で来るのですが、人数的に言うと少ないです。

■イラン反体制派組織メンバー、大赦受け帰国
 [テヘラン 1日 ロイター] 国外に逃れていたイラン反体制派組織ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)のメンバー100人近く が、2003年の大赦を受け、2月28日にイランに帰国 した。

 西部国境地帯の町の町長が国営イラン通信(IRNA)に語ったところによると、来週にも新たにMKOメンバー133人 が、赤十字の支援で帰国する予定 という。

 MKOは1960年代に結成され、79年のイラン革命後に当時のイスラム指導者と対立し、80年代にイラクに逃れた。 メンバーは4000人近くに上り、イラン国内を標的とした爆弾事件や越境攻撃を実行していた。

 しかし、攻撃の効果が年々低下したうえ、2003年に米軍がイラクに侵攻してからは、メンバーの非武装化が進んでいた。

 イラン当局は、MKOメンバーがイラン国内の重大な犯罪に関与していなかったとの見解を示したうえで、大赦を与える方針を明言。これまでに数十人が応じる姿勢を示していた。
(ロイター) - 3月1日20時45分更新

でもイラクにとってMKOが厄介者なのは明らかなようですね。

■イラク:イラン反体制派メンバー2人を拉致 米軍ら捜査
 イラク駐留米軍は14日、イラン反体制派組織ムジャヒディン・ハルク(イスラム人民戦士機構、MKO)のメンバー2人がバグダッド東部で拉致されたと発表した。米軍がイラク警察などとともに捜査している。

 米軍によると、2人は4日にバグダッドに向かっている際に何者かに拉致された。AP通信によると、MKOは2人がイラク内務省の特殊部隊によって拉致されたと主張しているが、内務省は否定している。

 MKOは1979年のイラン革命後に聖職者指導部と対立し、イラクに逃れた。イラク戦争後は約3800人が武装解除され、ジュネーブ条約に基づき米軍の保護下にある。イラン政府はMKOをイラクから追放するよう求めている。
(カイロ共同)

MKOがイランの核開発を暴いたというのはこういう経緯だったようです。
2007/01

イラン:核開発情報売り渡した男逮捕
 【テヘラン春日孝之】イランのファルス通信は9日、同国情報省が核開発に関する国家機密を反体制派に売り渡した男を逮捕したと報じた。国会議員に外交政策などを助言する「国会研究センター」に01年から勤務していたという。

 AP通信によると、国営ラジオは「男は核開発活動を含む機密情報を偽善者(反体制派組織)に売却した」と伝えた。この反体制派組織はパリ郊外に拠点を置く「ムジャヒディン・ハルク」(イスラム人民戦士機構=MKOで、イラン反体制派組織が連携する「国民抵抗評議会」(NRC)の中心メンバーNRCは02年にイランが同国中部ナタンツの核施設で秘密裏に進めていたウラン濃縮関連活動などを暴露し、現在の核問題の端緒を作った

 AP通信によると、イランは04年にも核開発に関する機密をイスラエルや米国に漏らしたとして軍幹部や核関連産業従事者ら10人を逮捕した。

毎日新聞 2007年1月10日 20時32分

NRCはあまり新聞には出て来ていないようなのですが、このような記事があります。
2010/06

■イラン反体制派がパリで大集会 数万人が集結

 イランの国民抵抗評議会(NRC)など反体制各派は26日、パリ郊外で大規模な集会を開き、主催者側発表によると、欧米からの参加者を含めて数万人がイラン現政権の抑圧に抗議の声を上げた。

 NRC指導者のマリアム・ラジャビ氏は、フランス語で「イランのイスラム独裁、宗教的抑圧体制に抗議する」とした上で「イラン人は独裁体制を転覆するまで戦い続けるだろう。それは武力によってではなく、民主的な体制変換によってだ」と演説。参加者から「自由を、自由を」の叫びとともに拍手を受けた。

 集会に参加したボルトン元米国連大使は「イランは軍事独裁体制であり、昨年の大統領選後の弾圧は犯罪だ」と強く非難した。(共同)

僕も本当に「武力によってではなく、民主的な体制変換によって」変わるのなら文句ないのですが。

ちょっと戻りますが2009/01EUはMKOをテロ組織解除してました。

■イラン反体制派の指定解除=テロ組織リストから−EU
 【ブリュッセル26日時事】欧州連合EU)は26日、当地で外相理事会を開き、イランの反体制派組織、ムジャヒディン・ハルク(MKO
、別名・イラン人民ムジャヒディン機構)をテロ組織指定から外すことで合意した。

 MKOは、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム原理主義組織ハマスや、スリランカの反政府武装勢力「タミル・イーラム解放
のトラ(LTTE)」などとともに、EUのテロ組織リストに載せられ、資産が凍結されている。しかし、欧州第1審裁判所(ルクセンブルク
)が先に、EUの措置を無効とする判断を示したのを受け、外相理は指定解除を決めた。

長いので今日はここまで。